メディアの輪郭

更新するだけ健康になれる気がしています

BuzzFeed(バズフィード)直近の3つの動き:発行人交代と記事フォーマット・ニュースアプリ開発

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バズフィードが大きく、かつ、着々とさまざまな動きを見せているので、3つにしぼって紹介します。それぞれ発行人交代、フォーマット開発チーム、ニュースアプリ開発(とそれに合わせた人材獲得)です。 

1. グロースハッカーを発行人に

バズフィードのグロースを担当していたDao Nguyen氏が発行人になりました。月間訪問者を2800万人から1億5000万人へと伸ばした立役者の就任は、新しい発行人像としても注目が集まります。

スマートニュースの藤村さんも、「次にメディア組織の中心に座る者/グロースハッカーがメディアを変える」と題した記事で、バズフィードのグロースを支えた彼女の抜擢に注目されています。

今回、BuzzFeed が読者開発に次いで、重要な職責としてグロースハッカーを打ち出したことは、21世紀型のメディア運営にとりデータを駆使して読者を拡大する施策とそれを推進できる能力に大きな注目が集まってきていることを示す動きとして注目すべきです。

次にメディア組織の中心に座る者/グロースハッカーがメディアを変える | 藤村厚夫 Media Disruption

今回はバズフィードCEOによる内部メモが出ているのですが、海外はよくこういったメモが記事になっていることが多い気がします。日本だとあまりないような。

また、こちらも本題と関係ないですが、国内におけるメディアやアプリのグロースハック関連では、よく以下の記事あたりを読み返しています。

2. イギリスにフォーマット開発チーム設置

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28 Before And Afters That Show The Transformative Power Of Makeupより)

バズフィードは、新しいストーリーの伝え方、読者へのエンゲージメントの手法を考える開発チームをロンドンに置きます。率いるのは、バズフィード英国版の編集ディレクターのTom Phillips氏。実験的で新しい記事フォーマット開発に取り組みます。

同氏は、バズフィードの前にはトリニティ・ミラーの実験的なメディア「Us Vs Th3m」にいた経験をもつので、まさに今回のチームを主導するのに適任だと思います。

また、上記の画像は、夏くらいに生まれたフォーマットのひとつ。ビフォーアフター的なコンテンツで活用しているスライド式の画像コンテンツです。バズフィードの創業時にはリスト記事などを積極的に発信してきましたが、ソーシャル時代にはクイズをはじめ、さまざまなコンテンツを試しています。

そのほか、広範囲のコンテンツに(再)利用できるツールCMS開発もおこなうと同時に、来年にせまった選挙など一度きりのツールも開発していく計画です。

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この記事を書くのにバズフィードのサイトを見ていると、ページの右側に、画像について「すばらしい」「つまらない」の2択を選び、結果をシェアできるというシンプルなコンテンツも現れていました。昔はなかったので、最近できたのでしょうか。nanapiがかつてやっていた「まるばつnanapi」みたいですね。

今後のフォーマット開発からには注目です。読者開発も重要ですが、メディア全体としてはフォーマット開発のインパクトのほうが大きい気がしています。

3. ニュースアプリ開発に向け人材獲得

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ニュースアプリ「BuzzFeedNews」の開発にも動きがでています。

9月にはThe New RepublicからNoah Chestnut氏をプロダクト責任者として、直近ではフィナンシャル・タイムズでコミュニティづくりを担当していたStacy-Marie Ishmael氏の参画が明らかになりました。Ishmael氏は編集・編成を担当します。

ニューヨークタイムズもニュースアプリ「NYT Now」などをリリースしたりと大手紙も続々と新しいアプリを出しているなかで、バズフィードがどのようにアプローチしていくのかは興味深いです。

すでに長らくバズフィード単体のアプリはあるため、ニュースキュレーションアプリとなります。そういう意味では、米国進出をしているグノシーやSmartNewsなどにも領域的にかぶるので注目です。

 

このようにさまざま動いているバズフィード。過去にいくつか記事も書いているので参考までに。また、先日のピュー・リサーチセンターの調査によれば、バズフィードはリベラルからも保守からも信頼されていないというデータも出ていて、なんとも興味深いです。

バズフィードの最近の動向ーー新社長就任、資金調達、ゲーム参入など

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今年5月、バズフィード社長ジョン・スタインバーグ氏が退任するというニュースがありました。ついに新社長が決まったようです。

新社長のグレッグ・コールマン氏はアドテク系のエキスパートで、ヤフーを経て、AOLへの売却前のハフィントンポストの広告事業を成長させたキャリアを持っています。組織経営はもちろん、ネット広告のスペシャリストとしてビジネス成長にも注力していくようです。

バズフィード社の公式発表によれば、「ハフィントンポストやクリテオ(コールマン氏のアドテク企業)で業界を変える一助となっていた。そしていま、ソーシャル広告はグローバルで拡大し、ブランドのマーケティング戦略に欠かせないものとなっている」と、バズフィード共同創業者のペレッティ氏。「この3年で業界を変えてきたバズフィードの有能なチームに加わることができて嬉しい」とコールマン氏は述べています。

Capital New Yorkの記事では、コールマン氏への短いインタビューを掲載しています。バズフィードとハフィントンポストではどちらも急成長したメディアではあるものの、手法が違うこと、10億ドルでディズニーが買収を試みていたことに対しては、インディペンデントなメディアという部分へのこだわりも見せているなど、今後の方向性についても垣間見えるものとなっています。また、直近では5000万ドルの資金調達もおこなっています。 

資金調達の動きはITmedia ニュースをはじめ、さまざまなメディアで取り上げられていましたね。ライフスタイル部門、動画部門ソーシャルメディア専門コンテンツの制作、ネイティブ広告、グローバル展開と抜かりないです。

 米バイラルメディアのBuzzFeed10+ 件は8月11日(現地時間)、米ベンチャーキャピタル大手Andreessen Horowitzから5000万ドル(約51億円)を調達し、同VCのクリス・ディクソン氏を取締役に迎えたと発表した。

 資金は日本を含む海外への進出、動画コンテンツの強化、主要な収入源であるネイティブ広告部門の拡充、企業買収などに活用する。

日本進出のソーシャルニュースBuzzFeed、5000万ドル調達 - ITmedia ニュース

ソーシャルカンパニー市川さんもいち早く、バズフィードの動きを伝えていました。資金調達やグローバル展開以外の最新の動向は以下になります。

・月間訪問者数:約1億5000万人
・サイトへのソーシャルメディアからの流入比率:75%
・猫の写真やセンセーショナルなリスト記事(○○すべき26の○○など、クリックせずにはいられなくするようなタイトル記事)で知られているメディア企業がジャーナリストを大量に採用し伝統的なメディア企業に対抗すべく次々と手を打っている
・社員数550名でありながらスタートアップのような企業文化を維持している。
・ネイティブ広告に力を入れており、75名ものスタッフを擁する専門のチームがブランド企業のための洗練された動画コンテンツやリスト系の記事を作成している。(2014年上半期の売上げは2013年の既に2倍を超えており、2014年を終える迄には3桁台の売上げを見越しているとのこと(約100億円以上) 
月間訪問者1億5千人、ソーシャル流入75%、市場価値850億円、勢いが止まらないBuzzFeed

日本にも年内に上陸とのことですが、どのタイミングで、どのような体制、どのような目的で現れるのか楽しみですね。

先日、「BuzzFeed(バズフィード)が4000本もの記事を削除した理由」でバズフィードが規律を持った、よりジャーナリスティックなメディアに変わろうとしている動きの一部をお伝えしましたが、どのようなメディアとなっていくのでしょうか。

最近では、ゲーム業界にも参入するという記事がありました。現在、ウェブ/モバイルゲームの開発者を募集しています。自社のゲームなのか広告主などのためのゲームなのか分かりませんが、バズフィードの新展開としては興味深いところです。

また、バズフィードの今後に向けた発想については「“バイラル”の次にくるもの/「分散型 BuzzFeed」構想の衝撃」という記事が参考になります。ウェブサイトもアプリもいらないかもしれない、というのはかなり驚きですが、分散型・配信型というのは真剣に考えるべきテーマとなっていくのでしょう。

海外事例から捉えるバイラルメディアについての資料もぜひご覧になってみてください。 

BuzzFeed Hires Huffington Post Veteran As Its New President | Business Insider

 

バズフィード元社長、「Daily Mail」にCEOとして参画

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(出典:ADWEEK

バズフィード社長がまもなく退任、ベンチャーキャピタルへ」という記事で紹介した、バズフィード社長兼COOだったJon Steinberg(ジョン・スタインバーグ)氏。

退任後はバズフィードなどメディア関連に多く投資しているレーラー・ベンチャーズに参画予定でした。加えて、Daily Mail(デイリーメール)にジョインするとのこと。

彼は、グーグル→バズフィード→デイリーメールと渡り歩いていることになります。イギリスではかなりの存在感を誇るデイリーメール(ガーディアンの倍くらいの規模)、スタインバーグ氏は同メディアのアメリカ版を運営する会社「Daily Mail North America」でCEOに就任。

デイリーメールのアメリカでのビジネス推進をしていくとのこと。バズフィードの初期から、ネイティブ広告で売上を立てていった手腕が買われたのでしょう。

1896年にタブロイド紙を創刊誌、現在まで続いている伝統メディアで、どのような活躍をされるのか楽しみです。

 

【参考】

BuzzFeed COO Jon Steinberg Running Daily Mail’s Web Site | Re/code

ソーシャル時代のパブリッシャーとして圧倒的な地位を築いた「BuzzFeed(バズフィード)」

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(出所:newswhip

「BuzzFeed(バズフィード)」が、ソーシャル時代のパブリッシャーとして圧倒的な地位を築いています。

同メディアは、リスト記事やモバイル特化、アプリ、動画、調査報道、グローバル展開、ネイティブ広告など、様々な強みを武器にトラフィックを伸ばしており、1.5億以上のPVを世界中で集めています。

ソーシャル時代に強いメディアということはデータでも明らかです。上のグラフは2014年4月における各メディアのフェイスブックのシェア数を表したもの。

バズフィードは1ヵ月のうちで1000万回以上のシェアを獲得し、2位以下を大きく話しています。ABCやFOX、NBC、Guardian、NYT、CNNなど伝統メディアのウェブがまだまだソーシャルでは遅れているのかなと思わせます。

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(出所:newswhip

この図は各メディアの月間の記事本数とフェイスブックの各数値を並べてあるもの。

バズフィードは1日100本ほど、ハフィントンポストは1日500本ほど、アップワーシーは圏外(12位)ですが1日10本以下です。

バズフィードは社長も交代しますし、SoundCloudを活用した音声コンテンツを実験してみたりと、今後がさらに楽しみです。今年は1.2億ドル以上の売上が見込まれるというネイティブ広告も圧倒的。

バズフィードがどのような特徴を持ったCMSを使っているのかや、どのようなソーシャルメディア、コンテンツ戦略を立てているのか一度行って知りたいものです。

音声だけでバズるのか? バズフィード、音声プロデューサーを起用

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リスト記事や調査報道など両極端なコンテンツ制作を行っているメディア「バズフィード」。インド版もまもなく立ち上がり、日本語版もローンチする予定です。

そんなバズフィードが、Julia Furlan氏を音声プロデューサーに迎え、画像や動画以外にも音声だけのコンテンツも実験的にスタートしました。彼女が手がけた記事は、音声や動画のキュレーションもありますが、音声編集を行った記事もあるのです。

それが、「10 Sounds That Used To Be Mundane And Are Now Terrifying」という記事。

いろんなメディアがYoutubeチャンネルに力を入れるように、バズフィードは無料音楽クラウドサービス「SoundCloud」に力を入れ始めています。

すでに10万フォロワー、46本のコンテンツを制作しています。この記事はソーシャル上で170シェアほどと、なかなか制作時間とは割に合っていなさそうですが、メディアの新しい取り組みとしては注目かもしれません。

動画コンテンツとの差別化や、音声ならではのコンテンツ制作を突き詰めていくと、有効になっていくことでしょう。

BuzzFeed(バズフィード)がこれまでに掲載したネコに関する記事は「22,500本」

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photo credit: Sean Molin Photography via photopin cc

BuzzFeed(バズフィード)に見る、これからのウェブメディアに重要な7つのポイント」という記事でバズフィードの特徴を詳細に解説しました。

かわいいネコやイヌのリスト記事や動画、GIF画像のまとめ記事でトラフィックを稼いでいますが、いったいどの程度の量を発信しているのでしょうか。

1年分弱がネコの記事

Poynterの記事によれば、2006年の設立以来、ネコに関する記事を22,500本も発信しています。2012年以降では、12,200本です。

バズフィードは月間2〜3000記事を発信している(参照:NewsWhip)ので、年間3万本の記事をアップしているとしましょう。すると、1年弱分のコンテンツがネコの記事ということが分かります。

硬派コンテンツも多め

一方で、政治や歴史についても多く発信してるようです。

2012年以降の数字では、政治に関する記事は11,700本、歴史は7,900本となっています。

最近では調査報道部門を設けたり、ピューリッツァー賞受賞記者が移籍したりとと、硬派なジャーナリズムに向けて体制を整えていますが、まだまだ軽いコンテンツが目立つところです。

今後どのようにして、メディアブランディングを行っていくのか、コンテンツ戦略をとっていくのか、楽しみにみていきたいです。

BuzzFeed(バズフィード)の価値は10億ドル? ディズニーが買収を試みていたことが明らかに

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バイラルメディア「BuzzFeed(バズフィード)」の買収に向け、今年始めにディズニーが交渉していた(のちに決裂)と、フォーチュン紙が報じました。

全世界で1億人以上の読者を持ち、米国以外にも展開しているバズフィードは、現代において最も注目のウェブメディアの一つです。メディアの輪郭でもたびたび取り上げています。

2013年1月に企業価値評価2億ドルで、1900万ドルの投資を受けていました。今回の交渉では、ディズニーはバズフィードを10億ドルで評価(10億ドルと言えばInstagramTumblrもそうでしたね)。

様々なエンターテイメント事業を手がけるディズニーと、かわいい動物のリスト記事でトラフィックを稼ぐ一方で、「ピューリッツァー賞受賞記者、栄光引っさげ『バズフィード』に移籍」という記事でも紹介したように、硬派な面もわずかながらですが強めています。

ネイティブ広告を獲得し、1.2億ドルのマネタイズに成功しているバズフィードは、独立系のメディアとして優秀な人材の獲得も、コンテンツの拡充も、他メディアとのパートナーシップも、グローバル展開(他言語化)もうまくいっているように見えます。

現状ではまだ買収される理由もなさそうですね。米英では非常にうまくいっているバズフィードですが、今年から来年にかけての日本やインドでの展開が気になります。

圧倒的なBuzzFeed(バズフィード)、フェイスブックでの存在感はハフィントンポストの2倍

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先日、スクーに登壇した際に、「バズフィード」についてお話ししました。その際のスライドが以下になります。

 

いいね! 2115万、シェア1307万、コメント1641万

スクーの授業の中でも紹介したのが、バズフィードのフェイスブックでの存在感です。

2014年2月のデータ(以下の図を参照)では、1ヵ月間でフェイスブックのいいね!が 2115万、シェアが1307万、コメントが1641万となっており、想像できないレベルの数字を記録しています。

2位のソーシャルニュースサイトのハフィントンポストをも大きく上回っていることが分かります。さらには、ABC News、CNN、ニューヨークタイムズなどの大手メディアとは歴然の違いが見られるほど。

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(出所:NewsWhipより) 

この数字の背景には、ソーシャルメディアでの受けが良いクイズ人気があるようです。

記事数少ないバイラルメディアも存在感を見せる

このランキングを見ると、「海外バイラルメディア・トッププレイヤー解説」という記事でも紹介したUpworthyやIndependent Journal Reviewなども名を連ねており、バイラルメディアのソーシャル上での人気も伺えます。

圧倒的な記事数の少なさでこれだけフェイスブックでの数字を獲得しているのはやはりすごいことではないでしょうか。

ソーシャル時代に最適なメディアとはどんなものなのか。バズフィードやそのほかのバイラルメディアをヒントに考えてみたいことでもあります。

バズフィードについては、以下の記事も参考にしてみてください。

バズフィード編集長が語る、未来のジャーナリズムのポイント5つ

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バズフィード編集長のベン・スミス氏がプレイボーイ誌に「Is Social Media the End of Journalism?」という記事を寄稿しています。彼の語るジャーナリズムに関する5つのポイントをざっくりと踏まえつつ、国内外のウェブメディアについて色々考えていきたいと思います。

バズフィードや今年注目のメディアなどについては以下も参照ください。

政治メディア「Politico」からバズフィード編集長に抜擢されたベン・スミス氏は、"ジャーナリズムはインターネットによってすでに破壊された"と言います。2008年の大統領選にはブログやツイッターが活用され、非常に盛り上がりを見せました。

ツイッターのシンプルさ、コミュニケーションの取りやすさがコンテンツの広がりを見せるため、ブログよりも有用なツールとなった転換期とも言えるかもしれません。その後フェイスブックも流行し、ソーシャルウェブの流れが強くなってきました。

そんなソーシャルウェブを体現するウェブメディアとして登場したのが「バズフィード」なのです。リスト記事やGIF、動画、長文記事などウェブメディアならではの発信を続ける同メディア(やソーシャルメディア)がジャーナリズムを救うとスミス氏は主張します。以下に5つの理由を紹介します。

ソーシャルウェブ時代のジャーナリズム5つのポイント

1. 流通はものすごく安い

新聞などのオールドメディアが若者からすると読みづらいこともあり、オンラインのツールを利用するようになっています。そのため、現在では約1.3億人のアメリカ人がフェイスブックを利用し、ストーリーを共有するようになっています。

このようなソーシャルウェブのコンテンツ流通は、誰でも利用できて、誰でも書くことができ、素晴らしいことをすれば(書けば)シェアされる。その意味で、テレビや新聞等に比べて、コンテンツ流通が安くなっているのです。

2. シェアがキーワードに勝る

これは、シェアがSEOの存在を超えるということです。最近は様々なバイラルメディアも増えています。国内でも以下のものを含め40以上のバイラルメディアが登場しています。

そのほとんどが動画や写真とシェアボタンという設計で、テキストがほとんどないというもの。グーグルのような検索エンジンに引っかかりづらい一方で、コンテンツをソーシャル上で広げることでトラフィックを稼いでいくというわけです。

一方で、「バイラルメディア「Upworthy」のシェア数が急減中ーーランキング圏外へ」という記事でも紹介したように、バイラルメディアのアクセス数の上限はかなり激しいようです。

3. 長文ジャーナリズムの復権

2012年、バズフィードの最も人気のあったコンテンツは11,000ワードの長文でした(内容はロムニーの父親の再評価についての記事)。このような長文記事の人気は、Longform.orgLongreadsNarrativelyといったプレイヤーが続々と出てきています。

バズフィードも「LONGFORM」カテゴリーを設け、長文記事、さらには調査報道に乗り出しています。米テックメディア「PandoDaily」も調査報道に注力することを発表し、新興メディアによる調査報道への参入が相次いでいます。

ウェブ時代時代に長文ジャーナリズムが復権するという文脈はまた別の機会に紹介したいです。

4. ジャーナリズムという職業も(再び)脚光を浴びる

このように長文記事を出すこともできるウェブメディアが出てきたこともあり、ジャーナリストという職業を進む人も増えているのだとか。ジョージア大学の調査では、昨年よりも多くの(66%の)ジャーナリズム専攻の大学院生がフルタイムの仕事に就けているようです。

バズフィードやポリティコ、ビジネスインサイダーなどの新興メディアが多くのジャーナリスト/記者を求めていることもこの理由の一つとなっているとのこと。海外ではジャーナリズムスクールが具体的にどのような役割を果たせているのかなどは気になるところです。

5. 新しいビジネスモデルの出現

SEO重視のジャーナリズムはバナー広告と相性が良いモデルでした。しかしながら、ソーシャルウェブ時代にバナーなどの広告に慣れてきた読者には見てもらえなくなってきています。

そこで登場するのが、スポンサードコンテンツ(ネイティブ広告)の存在です。海外メディアのスポンサードコンテンツの制作体制については「スポンサードコンテンツ」を支える広告制作チームとは/海外ウェブメディア4事例という記事も参照いただけたらと思います。

また、「2014年、ウェブメディアはさらに盛り上がる! 注目の海外メディア4選」という記事でも少し触れた課金メディアもジャーナリズムを支えるビジネスモデルになり得ます。

その他、NPOメディアとして寄付モデルで運営をしています。Pro Publicaなどはピューリッツァー賞を獲得するほど重要な調査報道を行うことができています。

新興メディアの勃興と大手メディアの実験に注目

以上、バズフィード編集長が語る、未来のジャーナリズムのポイント5つでした。日本と違う部分もありますが一つの参考にはなりそうです。

ソーシャルウェブ時代のコンテンツの広がりはいいものを広げる一方で、悪い(デマなど)ことを広げる側面もあるので、このあたりは心得ておきたいですね。

個人的には上記のような流れに沿っている部分もありますが、新興メディアの勃興と大手メディアの実験的な取り組みについて追っていきたいと思います。

 

【参考】

海外ウェブメディアの最前線を進む「バズフィード」が実践する4つのポイント(そして迫り来る新興メディア)

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Jonah Peretti(Founder & CEO of BuzzFeed)photo: TechCrunch via photopin cc

月間読者1.3億人を数えるウェブメディア

2006年にハフィントンポスト共同創業者Jonah Peretti(ジョナ・ペレッティ)氏らが中心となって立ち上げたウェブメディア「BuzzFeed(バズフィード)」。 

月間読者8500万人を超えるサイト「バズフィード」に見る、これからのウェブメディアに重要な7つのポイントという記事で、ウェブメディアの最前線を進む同メディアのポイントをまとめました。

quantcastで調べてみると、直近の月間訪問数は1.3億人というデータとなっています。モバイルからが7割ほど。また、これまでに4300万ドルほどの投資も受けており、順調に成長につなげることができていることが伺えます。

アメリカ版、イギリス版、フランス版、スペイン版、ブラジル版と、どんどん他言語、グローバル展開を行っているところです。

今回は、このバズフィードを4つのポイントに絞って深堀りするとともに、迫り来る新興メディアについても紹介していきたいと思います。

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1. リスト記事

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バズフィードの真骨頂は「Listicle(List+Article)」とも呼ばれているリスト(まとめ)記事です。日本でも、NAVERまとめやnanapiなどでもリスト系の記事をよく目にしますが、バズフィードの場合は特にGIFを使ったものが受けていました。

そこで、スポンサーには、Google+(グーグルプラス)を迎え、「GIF Feed」カテゴリーを開設しました。グーグルプラスの月間アクティブユーザーは5.4億人以上で、毎週15億枚もの写真がアップロードされているそうです。その中の機能の一つ「Auto Awesome」ではGIF画像も作成でき、「GIF Feed」の右上には同機能を使ったGIFもコンテンツとして掲載されています。

バズフィードのバイラル力とGIF画像のコンテンツ力によって、どれだけグーグルプラスのプロモーションになっていくのか、引き続き見ていきたいカテゴリーです。 

リスト記事(Listicle)についてはバズフィードの存在感が増すにつれて議論されるようになってきました。以下に挙げたものだけでも、「ジャーナリズムを変える」「リスト記事の時代」とか大きく出たような記事が見られます。

リスト記事は若い人が読者の多くを占めるバズフィードでは強みとなり、情報発信の形にも少しずつ影響力を持ち始めているのです。

リスト記事系の新興メディアでは、20歳が立ち上げ、2000万人以上に読まれている「Distractify」1人で運営し、3000万PVほどを記録した「Viralnova」から目が離せません。

2. ネイティブ広告

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バズフィードはバナー広告をもたず、企業からのスポンサードコンテンツを販売しています。「バイラル」に強みを持っているので、広く人に読まれる広告を制作できるのです。

英ヴァージングループ傘下のプリペイド方式の携帯電話サービスを手掛けるVirgin Mobileの広告では、Facebookでも5万いいね!を超えており、60万PVほど読まれています。

バズフィードの広告制作チームは40名いるそうです(全体スタッフ数は300名ほど)。同メディアは昨年だけでも600〜700本ほどの広告コンテンツを制作しており、唯一の収入源としています。
それでも6000万ドルの収益を上げていて、2014年にはその倍の1.2億ドルの売り上げを見通しているという発表もされています。
ネイティブ広告で言うと、先ほども紹介したバズフィードを後追いする「Distractify」「Viralnova」などの新興メディアがどれだけ広告を取ってくるのかにも注目していきたいところです。特にDistractifyは、広告チームのためのクリエイティブ人材の獲得に力を入れているようなので、注目していきます。

3. 動画 

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2014年、動画メディアが来るなんてことをちらほら聞くことがあります。バズフィードでは2013年春から動画についての取り組みもスタートしているのです。

同メディアはCNNとタッグを組んだ、YouTubeチャンネル「CNNBuzzFeed」を開設し、毎週1本のペースでコンテンツをアップしています。

これまでに登録者は3万人を超え、約600万回再生を突破する規模にまで広がりました。1分ほどのニュースサマリーから、30分を超えるようなインタビューまで、多様なコンテンツを実験しています。

これは旧メディアと新メディアの融合として注目ですが、BuzzFeedはオリジナルのチャンネルも持っているのです。ネットワークの合計は7億回再生を超えるに至っています。

また、2番目で紹介した広告ともつながりますが、バズフィードでは動画広告も仕掛けています。2013年の2月にはすでにGEをスポンサーを迎え、動画を制作し、約90万回再生と成功を収めているのです。

さらに、ペット用品のピュリナの動画広告は380万回再生を超えています。

動画のジャンルの新興メディアでいうと、キュレーション系は、UpworthyFaithit、ニュース制作&発信系では、NOWTHIS NEWSNEWSYTOMO NEWSなどが注目だと思います。日本でもオリジナル動画コンテンツをつくるメディアが生まれたらかなりアツいですね。

また、トレンド予測としてはVineInstagram動画を活用したニュース、ジャーナリズムの取り組みが熱を増してくるような気がします。実際、海外テックメディアのMashableでは、NOWTHIS NEWSでVineをはじめとする動画ニュースを手がけていたJeff Petriello氏などをヘッドハントして短い動画コンテンツの発信に注力する姿勢を見せているのです。

4. 長文コンテンツ&調査報道

バズフィードが最近力を入れ始めた分野の一つに「調査報道」があります。2012年にPOLITICOで活躍していたBen Smith(ベン・スミス)氏を編集長に迎え、政治、ビジネス、調査報道、長文ジャーナリズムの分野にも積極的にコンテンツ展開が行われるようになりました。

2013年10月末には、調査報道で知られる非営利メディア「プロパブリカ」においてピューリッツァー賞受賞した記者Mark Schoofs(マーク・スクーフ)氏を調査部門に迎えられ、調査部門を率いることになりました。

彼が元々、プロパブリカに加わることになったのは2011年。それ以前は、ウォールストリートジャーナル紙の報道レポーターで活躍し、それよりももっと前、「The Village Voice」在籍時の2000年にはアフリカにおけるエイズに関する報道で、ピューリッツァー賞を受賞しているのです。

移籍した理由については、「バズフィードがアメリカの伝統的なジャーナリズムとデジタルの融合を図りたいと考えていること」、そして「調査部門の立ち上げをチャレンジしたい」という2つを挙げています。

130名以上のジャーナリストを抱える同メディアが、バズを起こして広告などを稼ぎ、そのお金を調査報道など社会性の高く時間とコストがかかる部分につぎ込んでいくという姿勢です。どのような記事が出てくるのか注目していきましょう。

また、バズフィードは長文ジャーナリズムにも注力しています。最近でも、スピン誌の編集者だったSteve Kandell(スティーブ・カンデル)氏をヘッドハントしたりと、この動きは加速していることが伺えます。

現状のところ調査報道までいかずとも、長文コンテンツは「LONGFORM」カテゴリーで読むことができます。読み応えありなコンテンツが多いです。電子化なども視野に入れているのでしょうか。

この分野の新興メディアについては、イーベイ創業者が立ち上げる「First Look Media」や長文コンテンツを多く掲載している「Narratively」「Longreads」などが注目でしょう。

以上、4つのポイントでバズフィードや新興メディアを振り返りました。

バズフィードの概要などは下のスライドもチェックしてみると理解が深まると思います。このメディアの思想や見据えるところなどについても、別の機会に深堀りしてみたいです。

 

「スポンサードコンテンツ」を支える広告制作チームとは/海外ウェブメディア4事例

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メディアを運営していると、耳にすることも多いかもしれないスポンサードコンテンツ(ネイティブ広告)。

ざっくり言うと、広告掲載されるサイトやページのデザインなどに適したコンテンツを提供するような広告手法です。

記事広告のような形式はもちろん、フェイスブックのフィード広告やツイッターのプロモーションツイートなど様々ですが、コンテンツ性が高いことが特徴でもあります。

「スポンサードコンテンツ」チームについて

そんな中、海外の広告やメディアについて発信するメディア「AdAge」が海外メディアの「スポンサードコンテンツ」に携わるチーム概要などに関して紹介していましたので、かいつまんでお伝えします。

BuzzFeed(バズフィード)

バズフィードについては、「バズフィード」に見る、これからのウェブメディアに重要な7つのポイントという記事やBuzzFeed、非営利メディア「プロパブリカ」記者を調査部門に迎える成長止まらない「バズフィード」ーー月間訪問者数が1.3億人を突破!といった記事で何度か紹介しました。

そんなバズフィードの広告チームは40名。全体スタッフ数が300名ほどですので1割強が広告制作に携わっています。バズフィードは今年だけでも600〜700本ほどのスポンサードコンテンツを制作しており、これを唯一の収入源としているのです。

唯一と言っても、6000万ドルの収益を上げているのでウェブメディアの額としてはすごいです。来年はその倍の1.2億ドルの売り上げ見通しという発表もされています。

Gawker Media(ゴーカーメディア)

ゴーカーメディアは16名とのこと。そのうち4名がライターで、広告コンテンツの執筆にあてられているそうです。

残りのメンバーは、戦略やデザインなどを担当。ゴーカーメディアは昨年あたりから明確にスポンサードコンテンツに注力する方向性をとっています。

The Washington Post(ワシントンポスト)

広告チームは「WP BrandConnect Studio」というところが行っており、広告主のコンテンツ制作を支援しています。実際の広告例などはサイト上でも見ることができます。

具体的なチーム編成は、デザイナー、プロデューサー、映像作家、ライター、技術者となっているようです。

Hearst(ハースト)

ハーストでは、たった5名とのことです。編集経験者が多数で、給与などは固定給+ページビューに応じたボーナスがあるのだとか。

スポンサードコンテンツも圧倒的なバズフィード

以上、4つの海外メディアの「スポンサードコンテンツ」のちょっとした概要でした。

ハフィントンポストやアップワーシーなども行っているので、そのあたりも機会があれば見てみたいですね。

それにしても、バズフィードの40名体制で、6000万ドルの収益というのは圧倒的ですね。。

成長止まらない「バズフィード」ーー月間訪問者数が1.3億人を突破!

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12月3日、急成長を続けるバイラルメディア「バズフィード」の月間訪問者数が1.3億を突破したことが発表されました。

昨日も「月間読者8500万人を超えるサイト「バズフィード」に見る、これからのウェブメディアに重要な7つのポイント」という記事で紹介しましたが、2006年のローンチ以来、かなり伸びているようですね。

毎年350%成長で1.3億訪問数に到達

この数字は毎年350%成長なのだとか。恐ろしい成長率ですね。訪問数などが計測できる「quantcast」を使って、2009年あたりからの成長具合も見てみてました。

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2009年は月間訪問数がだいたい100万ほど、2010年は300万ほど、2011年は1000万ほど、2012年は3500万ほど(PCとモバイルが半々)、そして2013年11月が1.3億訪問数(PC5700万、モバイル7700万)となっています。

Facebookとその他SNSからの流入が成長要因

この1.3億という数字の背景には、Facebookのアルゴリズム、特に良質なパブリッシャーのコンテンツを評価するようになったことが関係しているとのこと。12月2日にFacebookはニュース重視のアルゴリズムに変更したことを発表しています。

同社が「高品質なコンテンツ」と呼ぶ内容、つまりその時に話題となっているイベントやスポーツ、人々の関心を引く出来事に関連したニュース性の高い記事へのリンクを今より多く表示しようとしている。記事へのリンクをクリックすると、News Feedに表示されていた記事と一緒に関連記事が最大3件表示される。

Facebook、ニュース記事重視のアルゴリズムに変更へ - CNET Japan

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BuzzFeedの記事でもグラフを交えてFacebookからの流入が急増していることが触れられています。グラフを見てみると、2013年9月を境にかなりトラフィックが増えており、10月には1600万件ほどになっています(数値はバズフィード+ニューヨークタイムズやハフィントンポストなどの提携メディアを含めたもの)。

このFacebookの変化はウェブメディアに関わる方は見逃せない部分になりそうですね。

11月のバズフィードはFacebook以外にもTwitterGoogleからの流入もこれまでで一番多く、Twitterからの流入はこの一年で180%も増えたとのこと。 

また、11月は30記事が100万PV越えを達成し、動画コンテンツも1.1億回再生、300万人以上の購読者、そして11本のコンテンツが100万回再生越えとのことです。動画に力を入れていることはこれからもバズフィードの強みになることでしょう。

非英語圏への展開でさらなる成長となるか?

さて、気になるのは、どこまでバズフィードが成長していくのかということ。10〜11月にかけて、フランス、スペイン、ブラジルの各国版を公開していますので、さらに多くの読者を巻き込んでいくことは間違いなさそうです。

今年はハフポスト日本版が立ち上がった年でしたが、どこかの日本メディアが動いて「バズフィード日本版」立ち上げなどもあったら面白くなりそうですね。 

バズフィードについてはこれまで何度か紹介していますので、いくつか記事をチェックいただけたらと思います。

BuzzFeed(バズフィード)に見る、これからのウェブメディアに重要な7つのポイント

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2006年にローンチされ、今では月間読者が8500万人を超えているバイラルメディア「BuzzFeed(バズフィード)」。CEOジョナ・ペレッティはハフィントンポストの共同創業者の1人としても知られています。

今回は、The Independentで紹介されていたバズフィードの11のポイントから特にこれからのウェブメディア運営において重要になりそうなものを7つ紹介したいと思います。

1. グローバル展開

バズフィードは、10月にフランス、スペイン、ブラジル(ポルトガル語)の各国版を公開しました。

この非英語圏への展開(メディアのグローバル化)の中で特徴的なのが、ウェブで翻訳作業を手伝いながら英語が学べるサービス「Duolingo(ドウリンゴ)」を活用しているということ。

もちろんオリジナルコンテンツを制作する編集者はいますが、メディアのグローバル展開と翻訳(学習)プラットフォームのコラボという動きはこれから増えてきそうです。

2. 調査報道

バズフィードが最近力を入れ始めた分野の一つに「調査報道」があります。2013年10月末には、調査報道で知られる非営利メディア「プロパブリカ」においてピューリッツァー賞受賞した記者を調査部門に迎えるという動きがありました。

バズを起こして広告などを稼ぎ、そのお金を調査報道など社会性の高く時間とコストがかかる部分につぎ込んでいくという姿勢です。どのような記事が出てくるのか注目していきましょう。

参考までにですが、海外では調査報道が盛んになりつつあり、それを支えるクラウドファンディングも出てきています。

3. 政治ニュースの発信

バズフィードは政治ニュースの発信にも力を入れています。お得意のリスト型(まとめ型)記事や、クイズなど、同メディアならではの発信の仕方で政治のトピックをうまく消費させています。

このようにポップに政治ニュースを伝え、バズを起こすことができる媒体は日本でも必要かもしれませんね。

4. 長文ジャーナリズム

調査報道とも重なる部分ですが、バズフィードは長文ジャーナリズムにも注力しています。

スピン誌の編集者だったSteve Kandell氏をヘッドハントしたり、政治メディアポリティコのブロガーBen Smith氏を迎え入れるなど、この動きは加速しているように見えます。

5. リスト記事

バズフィードの真骨頂はそのリスト記事で「listicle(List+Article)」という言葉が生まれるほど。

日本でも、NAVERまとめやnanapiなどでもリスト系の記事をよく目にするのではないでしょうか。バズフィードの場合は特にGIFを使ったものが受けていて、グーグルプラスのスポンサードのものでGIFカテゴリーをつくるまでに至っています。

6. モバイル

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公式アプリも出していて、スマホ対応をしています。創設者のジョナ・ペレッティは「モバイルで見ることができないと、コンテンツは広がらない」と言っています。

日本でもたとえば、ITmediaは、スマホでの閲覧専用に特化した「ITmedia News スマート」を打ち出していますし、スマホ / ソーシャルへの対応はやりようがたくさんありそうです。

7. ブランドコンテンツ

バズフィードの広告については、サンケイビズの記事にもありましたので以下に紹介します。

バズフィードはバナー広告を売らない。収益源は企業からのスポンサー提供を受けたコンテンツ、主に記事体広告だ。彼らはバイラル性を生むコンテンツを作り上げる専門家だ。

もちろん、すべての記事が確実にヒットするとはかぎらないが、それなりに流行すれば一般のメディアサイトでインプレッション(広告の露出回数)ごとに料金を課されるよりも、企業は明らかに低価格で効果をあげられるだろう。

【ITビジネス最前線】拡散が保証されるコンテンツを配信 (2/5ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

東洋経済オンラインなどもブランドコンテンツを行っていたりと、日本でもバナーではなくブランドコンテンツやネイティブ広告の流れになると思いますので、国内外での広告の取り組みは引き続き注視していきたいですね。

バイラルメディア「BuzzFeed(バズフィード)」、フランス、スペイン、ブラジルの各国版を公開

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10月上旬の話題ですが、メモ的に残しておきます。 

BuzzFeedのグローバル展開

バイラルメディア「BuzzFeed(バズフィード)」が現在の英語に加え、フランス、スペイン、そしてポルトガル語(ブラジル)の3ヵ国語へと展開していくようです。

英語で発信していて、月間8500万人以上の読者を集めているバズフィード(2013年8月)。「ブックエディター」を設置して本のカテゴリーをつくったり非営利メディア「プロパブリカ」記者を調査部門に迎えて調査報道に注力する姿勢を見せたりと様々な方向に動いています。

翻訳プラットフォームとのパートナーシップ

そんな中で、さらなる拡大を目指して計画されているのが、今回の非英語圏への展開なのです。

具体的には、ウェブで翻訳作業を手伝いながら英語が学べるサービス「Duolingo(ドウリンゴ)」を活用してコンテンツを翻訳していくのに加え、展開国の言語が堪能なエディターを雇用してオリジナルコンテンツの発信もしていくとのこと。

主にブラジル人をターゲットにしたポルトガル語版は10月18日、スペイン版は10月21日、そしてフランス版は11月4日に公開されました。

メディアのグローバル展開と翻訳(学習)プラットフォームのコラボレーションというのはこれからのメディア運営における一つのヒントになりそうです。

 

【参考記事】

  • BuzzFeed to launch French, Spanish and Portuguese editions

http://www.rawstory.com/rs/2013/10/14/buzzfeed-to-launch-french-spanish-and-portuguese-editions/

  • The Virality of Evil. How BuzzFeed’s translation project will hurt foreign news.

http://www.slate.com/articles/technology/future_tense/2013/10/duolingo_buzzfeed_partnership_the_translation_project_is_terrible_for_foreign.html

  • Associate Editor in French, Spanish or Portuguese at BuzzFeed in New York, NY

http://www.jobscore.com/jobs/buzzfeed/associate-editor-in-french-spanish-or-portuguese/bfyQ3O8WGr4RAeiGakhP3Q

 

【過去記事】

 

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動画ニュースサイトの幕開けとなるかーーハフィントンポスト共同創業者らが立ち上げたメディア「NOWTHIS NEWS」とは

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動画ニュースサイトは、これから新時代を迎えます。

2012年11月に、元ハフィントンポストCEOらが立ち上げたメディア「NOWTHIS NEWS(ナウディス・ニュース)」がその理由です。

いま見るべきニュースを短い動画で届ける「NOWTHIS NEWS」

日本でも「いまでしょ!」という言葉が流行していましたが、ニュースもタイミングを逃したら見ないまま終わっていきます。そんな、まさにいま見てほしい、いま見るべき重要なニュースなどを短い動画で届けているのが「NOWTHIS NEWS」なのです。

元々、ハフィントンポストに関わっていたメンバーであるKen Lerer氏(ハフポ共同創業者/BuzzFeedの会長)が中心となり、ベンチャーキャピタルからの500万ドルの支援を受けて設立。18〜34歳あたりの、常にオンラインで、常にソーシャル、常にシェアするような読者(視聴者)に向けて、鋭く訴えかけるコンテンツを発信しています。

動画ニュースサイトがなかったから立ち上げた

そもそものメディア立ち上げのきっかけは、モバイル時代のニュースを考えていた時に、モバイルに適したフォーマットの動画ニュースがなかったこと。

その着想から、「Planet Daily」という名前でBuzzFeedとの戦略的パートナーシップを組んだメディアづくりを宣言しました。その後、ネーミングを「NOWTHIS NEWS」と変え、iPhone&iPadアプリ、Androidアプリを次々ローンチし、大手メディアへのコンテンツ配信もしていきました。

1日20〜25本のオリジナル動画ニュースを配信

新時代のニュースサイトとして、「NOWTHIS NEWS」は、人々が接するデバイスの変化に伴って、コンテンツやニュースのあり方を摸索しながらも挑戦しています。

CNNやABC News、Washington Postなどの大手メディアに携わっていた人を多く引っ張ってきており、30名ほどの編集&技術チームを組んでいます。その結果、1日に20〜25本の動画ニュースを配信することができているのです。

そのようなプロが編集したニュース動画コンテンツは、おおよそ1〜2分のものが多くあります。このような動画ニュースサイトがスマホ時代、ソーシャル時代にどのように受け入れられていくのか、受け入れられないのかは注目です。

「NOWTHIS NEWS」のオリジナル動画ニュースは非常に価値があり、BuzzfeedやMSN、Forbes、そしてMashableなどの巨大メディアにコンテンツ配信をしています。ニュースを埋め込みできるのもとてもいいです。

「これでもか!」というほどのマルチメディア展開

ウェブメディアとして、Twitter(2.5万フォロワー)やFacebook(11万いいね!)の活用は当然のことですが、Instagram(5.6万フォロワー)も動画機能があるので15秒の動画ニュースを伝えるツールとして活用しています。

さらにはVine(5万フォロワー)においては、Vineで85万人以上のフォロワーを抱えるクリエイティブディレクターのCody Johns氏をNOWTHIS NEWSのVineアカウントのVJ(ビデオジョッキー)として迎え入れています。6秒という制約を生かしつつ、動画コンテンツを作成しているとのことです。

また、10秒以内に消滅する写真を送れるアプリ「Snapchat」も活用している(おそらくジャーナリズムでは初利用)など、日本のメディアでは想像できないほど、ソーシャルメディアを使いこなしています。

たくさんのツールを使いこなし、かつ使い分けもしています。ウェブサイトやアプリではテレビのようなナレーションも入ったり、詳細なアニメーションを用いていたり、その他ソーシャルメディアでは早口な声で、シンプルなデザインを用いて伝えています。

シェアされること、動画であることが強み

「NOWTHIS NEWS」の登場によって、ウェブメディアにおける、"読む"ニュースから"観る"ニュースへの移行も進んでいくのかもしれません。

Twitterで記事を見つけて読むことと、「NOWTHIS NEWS」で短いニュースを観ることはそれほど大差はないと思います。また、動画ニュースはオリジナルであるので価値がありますし、これまでのニュース体験では味わえなかった体験も与えられると思います。

さらに言えば、BuzzFeedやMashableとも提携している同メディアは、コンテンツがシェアされることが多いので、今後のメディア戦略次第では動画ニュースサイトというジャンルを勢いづけるものとなっていくでしょう。

 

【参考記事】

  • Can NowThis News Crack Mobile Video?

http://digiday.com/publishers/can-nowthis-news-crack-mobile-video/

  • NowThis: Snapchatting the News

http://digiday.com/publishers/snapchat-the-news/

  • Instead of shoehorning it in, NowThis News is building video content that fits in where the audience lives

http://www.niemanlab.org/2013/09/instead-of-shoehorning-it-in-nowthis-news-is-building-video-content-that-fits-in-where-the-audience-lives/

  • Now This News: HuffPost Veterans Bake A Delicious Web Video Muffin Top

http://www.forbes.com/sites/jeffbercovici/2012/09/11/now-this-news-huffpost-veterans-bake-a-delicious-web-video-muffin-top/

  • ‘Planet Daily’ Gets a New Name and a Partnership with BuzzfeedRead

http://betabeat.com/2012/09/planet-daily-gets-an-exec-team-a-new-name-and-a-partnership-with-buzzfeed/

  • NOWTHIS NEWS HIRES ITS FIRST VINE VJ

http://www.fastcompany.com/3018059/fast-feed/nowthis-news-hires-its-first-vine-vj

  • NowThis News takes a fresh approach on reporting via Instagram and Vine

http://www.mediamiser.com/2013/10/25/nowthis-news-takes/

 

【過去記事】

 

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