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海外ウェブメディアの最前線を進む「バズフィード」が実践する4つのポイント(そして迫り来る新興メディア)

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Jonah Peretti(Founder & CEO of BuzzFeed)photo: TechCrunch via photopin cc

月間読者1.3億人を数えるウェブメディア

2006年にハフィントンポスト共同創業者Jonah Peretti(ジョナ・ペレッティ)氏らが中心となって立ち上げたウェブメディア「BuzzFeed(バズフィード)」。 

月間読者8500万人を超えるサイト「バズフィード」に見る、これからのウェブメディアに重要な7つのポイントという記事で、ウェブメディアの最前線を進む同メディアのポイントをまとめました。

quantcastで調べてみると、直近の月間訪問数は1.3億人というデータとなっています。モバイルからが7割ほど。また、これまでに4300万ドルほどの投資も受けており、順調に成長につなげることができていることが伺えます。

アメリカ版、イギリス版、フランス版、スペイン版、ブラジル版と、どんどん他言語、グローバル展開を行っているところです。

今回は、このバズフィードを4つのポイントに絞って深堀りするとともに、迫り来る新興メディアについても紹介していきたいと思います。

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1. リスト記事

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バズフィードの真骨頂は「Listicle(List+Article)」とも呼ばれているリスト(まとめ)記事です。日本でも、NAVERまとめやnanapiなどでもリスト系の記事をよく目にしますが、バズフィードの場合は特にGIFを使ったものが受けていました。

そこで、スポンサーには、Google+(グーグルプラス)を迎え、「GIF Feed」カテゴリーを開設しました。グーグルプラスの月間アクティブユーザーは5.4億人以上で、毎週15億枚もの写真がアップロードされているそうです。その中の機能の一つ「Auto Awesome」ではGIF画像も作成でき、「GIF Feed」の右上には同機能を使ったGIFもコンテンツとして掲載されています。

バズフィードのバイラル力とGIF画像のコンテンツ力によって、どれだけグーグルプラスのプロモーションになっていくのか、引き続き見ていきたいカテゴリーです。 

リスト記事(Listicle)についてはバズフィードの存在感が増すにつれて議論されるようになってきました。以下に挙げたものだけでも、「ジャーナリズムを変える」「リスト記事の時代」とか大きく出たような記事が見られます。

リスト記事は若い人が読者の多くを占めるバズフィードでは強みとなり、情報発信の形にも少しずつ影響力を持ち始めているのです。

リスト記事系の新興メディアでは、20歳が立ち上げ、2000万人以上に読まれている「Distractify」1人で運営し、3000万PVほどを記録した「Viralnova」から目が離せません。

2. ネイティブ広告

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バズフィードはバナー広告をもたず、企業からのスポンサードコンテンツを販売しています。「バイラル」に強みを持っているので、広く人に読まれる広告を制作できるのです。

英ヴァージングループ傘下のプリペイド方式の携帯電話サービスを手掛けるVirgin Mobileの広告では、Facebookでも5万いいね!を超えており、60万PVほど読まれています。

バズフィードの広告制作チームは40名いるそうです(全体スタッフ数は300名ほど)。同メディアは昨年だけでも600〜700本ほどの広告コンテンツを制作しており、唯一の収入源としています。
それでも6000万ドルの収益を上げていて、2014年にはその倍の1.2億ドルの売り上げを見通しているという発表もされています。
ネイティブ広告で言うと、先ほども紹介したバズフィードを後追いする「Distractify」「Viralnova」などの新興メディアがどれだけ広告を取ってくるのかにも注目していきたいところです。特にDistractifyは、広告チームのためのクリエイティブ人材の獲得に力を入れているようなので、注目していきます。

3. 動画 

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2014年、動画メディアが来るなんてことをちらほら聞くことがあります。バズフィードでは2013年春から動画についての取り組みもスタートしているのです。

同メディアはCNNとタッグを組んだ、YouTubeチャンネル「CNNBuzzFeed」を開設し、毎週1本のペースでコンテンツをアップしています。

これまでに登録者は3万人を超え、約600万回再生を突破する規模にまで広がりました。1分ほどのニュースサマリーから、30分を超えるようなインタビューまで、多様なコンテンツを実験しています。

これは旧メディアと新メディアの融合として注目ですが、BuzzFeedはオリジナルのチャンネルも持っているのです。ネットワークの合計は7億回再生を超えるに至っています。

また、2番目で紹介した広告ともつながりますが、バズフィードでは動画広告も仕掛けています。2013年の2月にはすでにGEをスポンサーを迎え、動画を制作し、約90万回再生と成功を収めているのです。

さらに、ペット用品のピュリナの動画広告は380万回再生を超えています。

動画のジャンルの新興メディアでいうと、キュレーション系は、UpworthyFaithit、ニュース制作&発信系では、NOWTHIS NEWSNEWSYTOMO NEWSなどが注目だと思います。日本でもオリジナル動画コンテンツをつくるメディアが生まれたらかなりアツいですね。

また、トレンド予測としてはVineInstagram動画を活用したニュース、ジャーナリズムの取り組みが熱を増してくるような気がします。実際、海外テックメディアのMashableでは、NOWTHIS NEWSでVineをはじめとする動画ニュースを手がけていたJeff Petriello氏などをヘッドハントして短い動画コンテンツの発信に注力する姿勢を見せているのです。

4. 長文コンテンツ&調査報道

バズフィードが最近力を入れ始めた分野の一つに「調査報道」があります。2012年にPOLITICOで活躍していたBen Smith(ベン・スミス)氏を編集長に迎え、政治、ビジネス、調査報道、長文ジャーナリズムの分野にも積極的にコンテンツ展開が行われるようになりました。

2013年10月末には、調査報道で知られる非営利メディア「プロパブリカ」においてピューリッツァー賞受賞した記者Mark Schoofs(マーク・スクーフ)氏を調査部門に迎えられ、調査部門を率いることになりました。

彼が元々、プロパブリカに加わることになったのは2011年。それ以前は、ウォールストリートジャーナル紙の報道レポーターで活躍し、それよりももっと前、「The Village Voice」在籍時の2000年にはアフリカにおけるエイズに関する報道で、ピューリッツァー賞を受賞しているのです。

移籍した理由については、「バズフィードがアメリカの伝統的なジャーナリズムとデジタルの融合を図りたいと考えていること」、そして「調査部門の立ち上げをチャレンジしたい」という2つを挙げています。

130名以上のジャーナリストを抱える同メディアが、バズを起こして広告などを稼ぎ、そのお金を調査報道など社会性の高く時間とコストがかかる部分につぎ込んでいくという姿勢です。どのような記事が出てくるのか注目していきましょう。

また、バズフィードは長文ジャーナリズムにも注力しています。最近でも、スピン誌の編集者だったSteve Kandell(スティーブ・カンデル)氏をヘッドハントしたりと、この動きは加速していることが伺えます。

現状のところ調査報道までいかずとも、長文コンテンツは「LONGFORM」カテゴリーで読むことができます。読み応えありなコンテンツが多いです。電子化なども視野に入れているのでしょうか。

この分野の新興メディアについては、イーベイ創業者が立ち上げる「First Look Media」や長文コンテンツを多く掲載している「Narratively」「Longreads」などが注目でしょう。

以上、4つのポイントでバズフィードや新興メディアを振り返りました。

バズフィードの概要などは下のスライドもチェックしてみると理解が深まると思います。このメディアの思想や見据えるところなどについても、別の機会に深堀りしてみたいです。