2014年、ウェブメディアはさらに盛り上がる! 注目の海外メディア4選
昨年はAmazonCEOのジェフ・ベゾスによるワシントンポスト買収やバイラルサイト「Upworthy」の急成長などメディア界の話題は多くありました。2014年は、さらにウェブメディアは盛り上がる年になることでしょう。
この記事では、個人的に2014年注目したい海外のウェブメディアをピックアップしてみます。
1. Distractify
2013年10月に弱冠20歳が立ち上げたばかりのウェブメディア「Distractify」。その1ヵ月後、ユニークユーザー数が2100万人を記録したことでも話題となりました。
その後、デザインも洗練されていき、現在1.3億人ほどの月間読者を抱える「BuzzFeed(バズフィード)」を追いかけるメディアとしてかなり注目しています。記事コンテンツは、バズフィードでもおなじみの動物まとめなど、リスト型の記事が多くを占めています。
先行するバイラルメディアの流れに乗って立ち上がった「Distractify」。スタート後、1ヵ月で2100万もの訪問数、3300万ページビュー、そして流入の9割がFacebookからとのこと。
このメディアを立ち上げたQuinn Huは、20歳の若者。Youtubeクリエイターとして活躍後、「Distractify」をつくりました。チームは3人からスタートし、現在は編集者やクリエイティブ周りの人材を多く加わっているようで、今後はネイティブ広告にも力を入れていくようです。
また、かねてからオリジナルの記事発信をしていくと言っているので、2014年、どれだけ成長していくのか、大手メディアを脅かす存在になるのか楽しみです。
2. Re/code
昨年の海外メディアに関するニュースの一つに、ウォールストリートジャーナル傘下のテックメディア「AllThingsD」を支えていた、ウォルト・モスバーグ氏とカラ・スウィシャー氏が契約を終えたことから、同メディアから離れることがありました。
以前から2014年1月1日にその2人が新メディアを立ち上げることが言われていましたが、「Re/code」というテックメディアがリリースされています(ニュース専門放送局「CNBC」のパートナーサイト)。一方のウォールストリートジャーナルでは「AllThingsD」をリニューアルし、「WSJD」となっています。
テックニュースやレビューに加え、AllThingsDで行っていたようなカンファレンスも「The Code Conference」として行っていくようです(5月に開催で、IntelやBlackberry、UberのCEO、その他豪華スピーカーが参加予定)。
また、AllThingsD時代からのブロガー/ライターも新メディアに参画しています。新しいテックメディアとして、2014年最も動向が注視されるメディアではないでしょうか。
3. The Information
ウォールストリートジャーナルで7年間ほどシリコンバレーを取材していたジェシカ・レジン氏が独立し、昨年末に立ち上げたのが「The Information」というメディアです。
同メディアは、現在8名ほどのチームで運営され、月額課金のニュースサイトに挑戦。年400ドルに設定しており、課金しないとほとんど機能しないサイト設計になっています。
課金系のウェブメディアには先例もあります。例えば、Andrew Sullivan氏が主宰し、10名ほどで更新している政治メディア「The Dish」は、年間100万ドル(約1億円)ほど集まっているのだとか(月額2ドル、年間20ドルという金額設定)。
このように海外の新興メディアの課金への挑戦は引き続き注目すべきところだと思います。
日本でも有料課金のウェブメディアとして「MyNewsJapan」の会員が2000人を突破したことが話題となっていたばかりです。その他、週150円で読み放題の「cakes(ケイクス)」のようなメディアも引き続き注目したいと思います。
4. First Look Media
CIA元職員のエドワード・スノーデン氏からのリークを受け、米国家安全保障局(NSA)の情報収集活動について、一連の暴露報道を行った英国ガーディアン紙の元コラムニスト、グレン・グリーンワールド氏。
2013年10月には、イーベイ創業者ピエール・オミダイア氏のニュースメディア立ち上げに参画することが明らかになりました。先日、メディア会社の名前が「First Look Media」に決定したばかりです。
オミダイア氏とグリーンワールド氏に加え、ドキュメンタリー映画制作者でスノーデン事件の際にも話題となったローラ・ポイトラス氏と調査報道記者で作家のジェレミー・スケイヒル氏が加わることも発表されています。
さらには、ローリングストーン誌の編集責任者であったエリック・ベイツ氏、ニューヨーク大学教授でメディア批評家のジェイ・ローゼン氏、ハフィントンポストでワシントン特派員を務めていたダン・フルームキン氏、The Nation誌の編集者リリアーナ・セグラ氏、インディペンデント・ジャーナリストのRyan Devereaux氏、ガーディアン紙やアルジャジーラにおいて外交政策を主として書いているムルタザ・フセイン氏、ブルックリン在住ライターのアンドリュー・ジャレル・ジョーンズ氏、非営利組織「電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)」で科学技術者だったミカー・リー氏など、蒼々たる面々が参加することになっているのです。
オミダイア氏は資金面とともに、発行人として携わる予定。「First Look Media」は、政治、スポーツ、エンタメ、ライフスタイル、アート、カルチャー、ビジネス、テクノロジー、そして調査報道、とかなり幅広いトピックをカバーしていくとのことです。
立ち上げるサイトは非営利(NPO)として運用していくようですが、一方でオミダイア氏とグリーンワールド氏の2人が中心となり、"メディアテクノロジー"を基軸とした会社も創業する予定。つまり、「First Look Media」は営利会社と調査報道を中心に据えた非営利の2軸で展開されるのです。オミダイア氏は市民参加型ニュースサイト「Civil Beat」を運営した経験もありますし、その手腕から目が離せません。
引き続き公式サイトの発表を楽しみにしたいですね。
以上、4つの注目メディアを紹介しました。
「Distractify」のようなバイラルサイト、「Re/code」のような大手メディアから出たチームでスタートする新興メディア、「The Information」のような課金メディア、そして「First Look Media」のような新しいマスメディア、調査報道メディア。
一年を通して、これらのメディアがどのように新しいウェブメディアの地平を切り拓いていくのか、楽しみでなりません。