日本版バズフィード編集長が発表されたけれど、他国版の編集長は一体どんな人たち?
10月16日、日本版バズフィード(媒体名は未定)の創刊編集長に元朝日新聞記者の古田大輔さんが就任したことが発表されました。リリースは今冬を予定。古田さんは東南アジア特派員、シンガポール支局長を経て、朝日新聞デジタルの編集者になった人物。「withnews」でニュースアプリやネットメディアについて精力的に取材・執筆をされていました。
伝統的なメディアの最良の部分とインターネットの文化やテクノロジーを融合させる。そして、良質なニュース&エンターテインメントを世界中のより多くの人々に提供し、シェアしてもらう。これがBuzzFeedの目標です。日本の編集部から国内のみなさんにコンテンツを届けるだけでなく、世界にも発信していきたいと思います(古田さんのコメント)
バズフィードは、月間訪問数2億人を数え、動画の再生数も月間15億回を超えるネットメディア。プレスリリースには「オリジナルニュース、エンターテインメントコンテンツやビデオコンテンツの制作、配信を行うグローバルメディア企業。広告の領域においても、ソーシャルメディアへの最適化とテクノロジーに基づいたコンテンツ重視の制作方針を明確にし、新しい広告のあり方を提唱しています」と書かれています。
2006年の創刊以来、バズフィードはアメリカ、イギリス、オーストラリア、ブラジル、カナダ、ドイツ、スペイン、フランス、インド、メキシコに展開。バズフィード編集長はポリティコ出身のBen Smithさんです。おかげでネコ記事やリスト記事が多かったバズフィードにニュース記事が増えていったのです。
このブログ記事では、世界に広がるバズフィードの各国編集長(Founding Editorや地域によってはEditorを含む)がどんな人たちなのかを見ていきたいと思います。
(バズフィードより)
イギリス:Janine Gibson
2015年6月、イギリス版編集長に就任したのが元ガーディアン米国版編集者のJanine Gibsonさん(1972年生まれ)です。ガーディアン時代にはスノーデン報道にもかかわっていました。
イギリス版自体は2013年3月のスタートでしたが、編集長を置くことで多くの読者を取りに行く、グローバル展開への注力が明らかに見える発表でした。編集長就任時にイギリス版は月間1800万訪問数という規模感です。50名ほどのスタッフをたばねる編集長が女性というのがいいですね。
オーストラリア:Simon Crerar
2013年9月にオーストラリア版編集長となったのがSimon Crerarさんです。News Corpオーストラリア版にてビジュアルストーリーエディターからの転身です。紙もネットも経験しています。
ちなみにオーストラリアは人口2300万人ほどのうち、フェイスブック利用者が1400万人を超えており、この高普及率から、バズフィードと相性のよい国ということができそうです。
ドイツ:Juliane Leopold
イギリス版に続いて2014年にローンチしたドイツ版も女性編集長です。Juliane Leopoldさんは、ドイツ最大規模の週刊紙「Die ZEIT」のオンライン版「ZEIT ONLINE」にてソーシャルメディアエディターを務めていた人物。ドイツ版の規模は月間300万訪問数を超えています。
フランス:Cecile Dehesdin
フランス版編集長も女性。さらには20代です。ルモンドやポリティコなどのインターン、Slateのフランス版などを経てバズフィードへ。フランス版は現状、およそ月間200万訪問数です。
カナダ:Craig Silverman
2015年4月にカナダ版の編集長になったのがCraig Silvermanさん。コロンビア大学のジャーナリズム研究機関を経て、メディア好きにはおなじみのメディア「Poynter」などにも寄稿しています。『Mafiaboy』『Regret the Error: How Media Mistakes Pollute the Press and Imperil Free Speech』などの著書もあります。
スペイン:Alfredo Murillo
スペイン語版の創刊編集長はAlfredo Murilloさん。Hail! Popというカルチャーサイトの編集をしていた人物です。バズフィードではスペイン語版のローンチをすすめる一方で、南北アメリカ大陸やカリブ海などスペイン語圏に向けてサイトはすでにあります。
このリージョナルディレクターを務めるのは、Conz Pretiさん。1983年生まれの女性です。コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールを終了後、UnivisionやMashableなどのニュースサイトで経験を積みました。
メキシコ:Javier Aceves
2015年3月からメキシコ版の創刊編集長にはJavier Acevesさんが就任しています。コピーライター、編集者、コンテンツディレクター経験をもち、フリーランスとしても長く活動してきました。ヴァイスなどでもコラムを書いているとのことです。
ブラジル:Manuela Barem
ブラジル版は2013年からあり、語学学習プラットフォーム「Duolingo」を活用して運営されてきました。いまでは新聞社「Jornal O Estado de Mato Grosso do Sul」やいくつかのネットメディアで経験を積んだManuela Baremさんが編集長を務めています。そんなブラジル版はアメリカ版とイギリス版に次ぐ規模感だそう。
インド:Rega Jha(editor)
インド版の編集をしているRega Jhaさん。20代半ばの女性編集者として、バズフィード以前にはコンデナストやTime Out New York、The New Yorkなどでインターンを経験するなどうらやましい経歴です。
インドはハフィントンポストやクオーツなども進出しているほかScoopWhoopなど有力なバイラルメディアも出ています。もちろん人口が多いですが、それだけ各社が読者を取りにきている国でもあるのでバズフィードがどのように展開するのかも調べてみたいです。
以上、アメリカ含む10カ国の編集長/編集者を紹介しました。バズフィードのアクセスの半数ほどは米国以外からというデータもあります。引き続き、今後の国際展開(中国やナイジェリアには進出するそうですが)に注目したいです。
個人サイトとしてはじまった「ViralNova」の躍進——20名体制で月間訪問数「1億」超え
2013年の終わりに「立ち上げ半年で3000万PVのメディア『ViralNova(バイラルノバ)』は1人体制らしい」という記事を書いたことがあります。バズフィードやアップワーシーなどバイラル/キュレーションメディアが注目を集め、その後追いサイトが多くでてきたころで、バイラルノバもその一つでした。
最近、このサイトにフォーチュンなどの海外メディアが再び焦点を当てています。先述の記事では「運営1人/月間3000万PV」ということで十分キャッチーでしたが、その後も成長を続け、月間1億訪問数とのこと(ちなみにバズフィードは2億)。
2013年冬には売り先を探していたようですが、いまでは外部からCEOも雇い、メディア企業として生まれ変わりました。個人で運営していたときのオハイオからニューヨークに移動し、オフィスを開設。20名以上のスタッフが加わり、規模拡大に成功しました(バズフィードは900名弱)。スタッフはTumblrやYouTube、Reddit、Imgur、Twitterなどに張り付いて話題を拾っているとフォーチュンの記事でも言及されています。
バイラルノバはネイティブ広告に本腰を入れ、さらなる収益化に向かいます。トップ画像においても右下の記事はスポンサードコンテンツとなっているように、ところどころ広告が入っていることを確認できます。昨年は1000万ドル(12億円)の売上を記録したようですが、今年は倍増を計画しているとのこと。
メディアの規模としてもさらなる飛躍を目指します。DIYやサイエンス、動物など特定のジャンルも強化しており、それぞれにフェイスブックページを開設。バイラルノバのメインのフェイスブックページには200万以上のいいね!が集まっていますが、それぞれのジャンルでも潜在的なファンを囲っていくのはバズフィードなどもやってきたやり方でもあるので、今後の伸びも楽しみです。
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動画キュレーションメディア「Upworthy」の年間売上は1,000万ドル超え——通常記事より閲覧・反応されるネイティブ広告プログラム
動画キュレーションメディア「Upworthy」のネイティブ広告プログラム「Upworthy Collaborations」がうまくいっているようです。Adweekによれば、2014年の広告売上はプログラム開始9ヵ月で1,000万ドル(約12億円)を超えたとのこと。
バイラルやキュレーション文脈で昨年あたりによく並べられたバズフィードは1億ドル超えなので、10分の1程度の売上です。Upworthyはオリジナルの記事制作はほとんどおこなわず、キュレーションとネイティブ広告プログラムに徹しているので、そこまで人件費などはかからないのかもしれません。
ただ、「海外メディア『BuzzFeed』と『Upworthy』のルーツとは?」という記事で紹介したように、アルゴリズムやエッジランクなどによって一面的な情報しか取得しなくなってしまうような「フィルターバブル」を問題意識として持っています。そのため、ニューヨーク・タイムズ編集次長を獲得するなど、硬派な人材獲得にも力を入れています。
Upworthyのネイティブ広告は通常のコンテンツよりも3.5倍閲覧され、2.9倍もアテンション時間を獲得しているというデータは興味深いです。また、ブランドイメージが15〜25%ほどポジティブになったという見方もあるのだとか。ネイティブ広告の多くが50万閲覧数、10万いいね!/シェア/コメントを獲得しているというのも広告の広がりを裏付けます。ユニリーバの「The Project Sunlight」が有名な事例なのでのぞいてみるとどのようなページ、コンテンツの置き方をしているのか分かると思います。
単価であったり、Upworthyの広告チームがどのような体制なのか、気になる点はいくつもあります。独自のコンテンツ評価の指標づくりや社会的なコンテンツ発信など積極的におこなう姿勢はますます注目されていくのではないかと思います。
Upworthyは感情を軸にコンテンツを広げていますが、クチコミをもとに流行を生み出す方法はいくつか確立されています。関心のあるかたはぜひ、「クチコミから流行を生み出す6原則とは? 感情や物語、トリガーなどをコンテンツに組み込む重要性」という記事も読んでみてください。
米ニュースサイト「バズフィード」、オバマ大統領インタビュー実施へ
(photo credit: Obama speaking via photopin)
米ニュースサイト「バズフィード」のベン・スミス編集長が2月10日、ホワイトハウスにてオバマ大統領にインタビューを予定していると、バズフィードがプレスリリースを出しています。サイト上でインタビューが公開されることに加え、バズフィードの動画部門「BuzzFeed Motion Pictures」が制作する動画でも大統領が登場予定とのこと。
バズフィードは2012年1月に政治メディア「ポリティコ」からスミス編集長を迎えて以来政治ニュースの報道に注力し、大統領選を追えるまでになりましたが、大統領に直接インタビューをおこなうのは初めて。インタビューに先立ち、メールやフェイスブック上でも質問を募っています。
ネコの写真まとめなどのバイラル実験からはじまり、社会的なニュースやビジネストピックをカバーし始め、いまでは200名ものジャーナリストを雇い、オリジナルの比重を高めながら、存在感を大きくしていったバズフィードが大統領をインタビューできるまでになったことがなにを意味するのか。
オバマ大統領は過去にRedditでAMAセッション(バラク・オバマだけど質問ある?)を開くなど、伝統的でない新しい対話のフォーラムを摸索し、実施してきました。他方、バズフィードはISIL(いわゆるイスラム国)の問題やウクライナ情勢など国際ニュースから国内のファーガソン暴動などさまざまなトピックを若者にリーチする形でカバーしてきました。今回のインタビューが若者と政治の新しい接点となることにも注目したいです。
バズフィードが大統領にインタビューということも話題ですが、実はニュース解説メディア「ヴォックス」は1月23日にインタビューをおこなっており、最近、記事と動画がアップされました(ヴォックスもオバマ氏へのインタビューは初)。
編集長のエズラ・クラインやエグゼクティブ・エディターのマシュー・イグレシアスが国内情勢や外交についてインタビューをおこなっています。記事はワンカラムで左右の余白を注釈や詳細説明に活用していることも理解につながりますが、動画についてもグラフィックやアニメーションをふんだんに用いていてそのクオリティに驚きました。動画はすべてこちらから視聴できます。バズフィードの大統領インタビューがアップされたら、合わせてチェックしたいですね。
良質な情報消費が良質なメディアコンテンツをつくる? バイラルの先のメディアに問われること
毎号購入しているハイパーローカルなシティカルチャーガイド『TOmagazine』。つい最近発売されたばかりの墨田区特集号も読みました。自分が住んでいない区について独特のアングルで切り取られるディープな内容が好きなのですが、今回はメディアのトピックが掲載されていたのでご紹介します。
KAI-YOUの元ディレクター・武田俊さんの「UPDATE TOKYO」という連載にて、ニューヨーク在住ライターの佐久間裕美子さんと「(バイラルの先の)メディアの未来はどこにある?」というテーマで対談がおこなわれています。
「雑誌は家に届くもので、新聞の延長」
武田さんは先日「『情報はつねに広がりたがる』とは? メディアの成熟とコンテンツづくりの行方」という記事で模様を紹介したイベントでも登壇されており、このときの話ともつながる部分がありました。
記事は矜持を持った編集者が丹念に雑誌をつくり、それが文化を生み出すという武田さんの話からはじまり、佐久間さんは雑誌について「見たことのない世界を見せてくれる窓」と表現。
しかし、雑誌のマネタイズが広告主導になるにつれ、クライアントの方を向いてしまい、読者が置き去りになったとしています。広告モデルが進行しすぎた昨今では『KINFOLK』のような小さなコミュニティに向けた雑誌が出てきたことを紹介。たしかに特定のターゲットに向けた雑誌やウェブメディアは増えているように感じます。
ニューヨーク在住の佐久間さんは日米の違いとして、地理的な問題もあることから、アメリカのほうが定額購読モデルが普及しており、本文では「雑誌は家に届くもので、新聞の延長」とも語っています。
「読者や消費者もその消費の仕方でものづくりに加担している、しないといけない」
その後、話題はバイラルメディアに移り、武田さんはバイラルメディアのシーンは3年で淘汰されるけれども、それらがもたらすディストピアを防ぎたいと言います。
ただ3年の間に、15歳のスポンジみたいな感性の少年が18歳の青年になっちゃうんですよ。その間に触れた情報がバイラルメディアやニュースアプリ経由のものばかりだったら、コンテンツの価値自体がさらに無視される方向にぶれちゃう。(167ページ)
佐久間さんもこのような受動的な情報消費のスタイルでは、プッシュ通知やレコメンド、サジェスチョンのなかにとどまり、新しいものや素敵なものと出会うことができない、と語っています。実社会では「賢い消費者(スマートコンシューマー)」という言葉が叫ばれた時期もありましたが、バイラルメディアやニュースアプリを対象としてもこの言葉は当てはまりそうです。
しかしながら、ウェブメディアでもマネタイズは広告モデルが先行しているので、そこにどのように編集者がかかわっていくのかということもテーマのひとつ。佐久間さんは「Webとコマーシャルの世界に対して、うまく立ち回らないといけない」、武田さんは「メディアコンテンツに携わる人間がもっとコマーシャルの世界をハックすべき」とそれぞれ語っています。
バナーやネイティブ広告だけでなく、コミュニティ、ひいては新しい文化をつくりながら、定額購読でメディアを運営するモデルが理想的なのではないかと思いました。現状のメディアコンテンツの流通や消費の仕方の揺り戻しとして、定額購読に挑戦するメディアや編集者は増えていくのでしょう。
対談の最後のほうには、佐久間さんは「読者や消費者もその消費の仕方でものづくりに加担している、しないといけない」という言葉を、武田さんは「メディアを通して僕は粋な消費者を増やしたい」という言葉を残しています。
バイラルやソーシャルがコンテンツ流通のひとつのルールにもなりつつあるなかで、ここをどのようにうまく使っていくのか、もしくは完全に逆張りでコンテンツづくりをしていくのか。あらためて、メディアコンテンツにかかわる人の立ち位置や姿勢が問われているように感じました。
さて、TOmagazineの墨田区特集に関係のない部分を紹介してしまいましたが、メディアに興味がなくとも、先日、歴代最多優勝記録を更新した白鵬関のインタビューや、「祭りが生まれる時」「欲しくなる、墨田区。」といったページもたいへんおすすめです。
「バズフィードはただのサイトではなく、流通までのプロセス全体」——創業者が語る
(photo credit: Moth via photopin cc)
2014年の収益が1億ドル突破したウェブメディア「BuzzFeed(バズフィード)」。テックメディア「The Verge」がバズフィード創業者、ジョナ・ペレッティ氏にインタビューをおこなっているので印象的な部分を少し紹介します。
バズフィードは先月、アプリ開発会社Hyper IQを買収し、新しいニュースアプリを開発を進めています。検索からソーシャルへ、そして次はアプリへ。これからのメディアビジネスを考える上で、ペレッティ氏の考えやバズフィードの動向を知ることは重要なのかもしれません。
「読者にとってなにがベストなのかをいちばん気にかけている」
ペレッティ氏はバズフィードのニュースアプリの開発などに合わせて、従来のメディア企業との違いを語ります。従来では(現在でも)それぞれの企業がコンテンツをもち、別の企業が流通を担っていました。Yahoo! ニュースであったり、ニュースアプリなどもそうでしょうか。
しかしバズフィードは、自社でコンテンツ制作から流通も手がけるモデルを目指しているとのこと。これはコンテンツに関しても、特定のカテゴリーだけでなく政治もエンタメも扱い、表現方法もテキストや動画、GIFなどを組み合わせ、コンテンツの長さも長文からクイズまで幅広くチャレンジすることで、このモデルが機能しているようです。
CMS開発や記事のレコメンド、ほかのプラットフォームへのコンテンツ配信などを含め「コンテンツ制作/流通におけるテクノロジーの重要性」を指摘していることや、「コンテンツがどこで生きるべきかについて、固定観念はもっておらず、アプリなのかウェブなのか、モバイルなのか、読者にとってなにがベストなのかをいちばん気にかけている」といった姿勢も印象的でした。
それこそ多様なシーンでコンテンツに接する読者(視聴者がいる)動画は月間8億回再生を超えており、FacebookやYouTube、AOL、Yahooなどさまざまなプラットフォームに配信しているそうです。動画ビジネスについては「超成長(hyper growth)」にあるとし、150名のスタジオで自社スタジオで制作しているとのこと。
それぞれコンテンツに触れるタイミングやデバイス、プラットフォームが異なるなかでそれを想定しながらコンテンツを発信していくことが、伝統メディアと比較して新興のテックメディア企業の有利な部分だとも発言しています。
「3年前はネコのサイトだったから」
これから(3年後)のバズフィードのかたちについての質問について、「3年前はバズフィードはほとんど記者がおらず、2年前は動画もほとんど手を付けていない、1年前は海外の特派員(海外展開)がいなかったから。そして3年前はネコのサイトだったから」と変化を予測することの難しさを挙げています。
ここでは、「ただのサイトというよりは、ウェブやモバイル、アプリのうえでニュースや話題なもの、暮らしなどのコンテンツを流通させるプロセス全体」という言葉を残しています。
ソーシャルメディアに最適化したコンテンツ流通できればサイトさえいらないかも、といった実験的なアイデアをもっていることを紹介した以下の記事もぜひ参照していただけたらと思います。
バズフィードはさまざまなプラットフォーム/ソーシャルメディアをうまく活用することで新しい境地を拓いています。「アートとサイエンスを結びつけることができれば、バズフィードはさらに抜きん出る」。だからこそ、プラットフォームやテクノロジーへの投資に積極的であり、そこが主軸なのでしょう。
インタビューを全文読んでみるとこれからのメディア企業としてのあり方やコンテンツの流通への姿勢などを知ることができるかと思います。バズフィードはアメリカからはじまり、イギリスやドイツなどのヨーロッパ、オーストラリア、ブラジル、インドなど各大陸に展開しており、2015年は引き続きの世界展開とニュースアプリのリリースに注目が集まりそうです。
海外ウェブメディアの最前線を進む「バズフィード」が実践する4つのポイント(そして迫り来る新興メディア) - メディアの輪郭
バズフィード編集長が語る、未来のジャーナリズムのポイント5つ - メディアの輪郭
この1年で動画視聴回数が8倍以上に——バズフィードと変容するメディア環境を理解するための4つのデータ - メディアの輪郭
ニューヨーク・タイムズ編集次長がバイラルメディア「Upworthy」に移籍、編集ディレクターに就任
(YouTube動画より)
ニューヨーク・タイムズの国際部門の編集次長を務めていたエイミー・オリーリ氏がバイラルメディア「アップワーシー」の編集ディレクター(編集のトップ)になりました。アップワーシーの公式ブログが伝えています。
オリーリ氏は今年8月にアップワーシーの編集ディレクターが抜けたことを受け参画。昨年、米メディア業界で話題となったニューヨーク・タイムズの「イノベーションレポート」にもかかわっていた人物です。
ニューヨーク・タイムズは2011年のペイウォール設置から4年で87万人の有料読者を獲得し、ニュースアプリなどを通じて若者読者の獲得にアプローチするなどし(失敗に終わったが)、2014年第3四半期で有料購読者が4.4万人増えるなど重要なようです。
オリーリ氏は編集者として、気候変動や収入格差、変更や移民など社会的・国際的な問題をカバーしてきたそうなので、アップワーシーの扱うトピックやミッションと合致するでしょう。アップワーシーは「国連気候変動サミット」のスポンサードページを設置するなど国際機関ともコラボレーションしています。
PVに代わる指標「アテンション時間」なども導入しているアップワーシーが、ニューヨーク・タイムズという伝統メディアから編集者を獲得することでどのように変わるのか。これからの人材の獲得も合わせて楽しみですね。
BuzzFeed(バズフィード)、2014年の収益が1億ドル突破
海外メディア「バズフィード」の2014年の収益が1億ドル突破したとのことです。Capital New Yorkなど多くのメディアが取り上げています。バズフィードCEOのジョナ・ペレッティによる社内向けメモから明らかになりました。
ネイティブ広告を武器に、2013年は6000万ドルを売り上げ、2014年は1.2億ドルを想定していましたが、おおよそ計画通りとなっています。
バズフィードのスタッフは700名を超えており、24万ドルほどのボーナスもあるのだとか。そして、月間2億訪問数や月間の動画再生回数が7.5億回といった数字が達成されると、Apple Watchが配られるのだとか。この2つの数字を達成したいようです。
バズフィードの動きとしては、ウェブメディアとの連携を減らしてオリジナルニュースなどに回帰しつつ、テレビのネットワークなどとは積極的に協働しています。引き続き、動向が気になるところです。
BuzzFeed(バズフィード)直近の3つの動き:発行人交代と記事フォーマット・ニュースアプリ開発
バズフィードが大きく、かつ、着々とさまざまな動きを見せているので、3つにしぼって紹介します。それぞれ発行人交代、フォーマット開発チーム、ニュースアプリ開発(とそれに合わせた人材獲得)です。
1. グロースハッカーを発行人に
バズフィードのグロースを担当していたDao Nguyen氏が発行人になりました。月間訪問者を2800万人から1億5000万人へと伸ばした立役者の就任は、新しい発行人像としても注目が集まります。
- BuzzFeed Names Dao Nguyen Publisher | Re/code
- BuzzFeed’s choice of publisher says a lot about how the site looks at media — Tech News and Analysis
スマートニュースの藤村さんも、「次にメディア組織の中心に座る者/グロースハッカーがメディアを変える」と題した記事で、バズフィードのグロースを支えた彼女の抜擢に注目されています。
今回、BuzzFeed が読者開発に次いで、重要な職責としてグロースハッカーを打ち出したことは、21世紀型のメディア運営にとりデータを駆使して読者を拡大する施策とそれを推進できる能力に大きな注目が集まってきていることを示す動きとして注目すべきです。
今回はバズフィードCEOによる内部メモが出ているのですが、海外はよくこういったメモが記事になっていることが多い気がします。日本だとあまりないような。
また、こちらも本題と関係ないですが、国内におけるメディアやアプリのグロースハック関連では、よく以下の記事あたりを読み返しています。
- ユーザ指向とデータドリブンーーユーザのためになることを徹底的に実践する「nanapi」のグロースハック #on_lab - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
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まずは根性、そして「ユーザー体験の最大化」を考えろ!iQONの投稿数を40倍に急成長させたグロースハックの考え方-VASILYセミナー前編 | アプリマーケティング研究所
2. イギリスにフォーマット開発チーム設置
(28 Before And Afters That Show The Transformative Power Of Makeupより)
バズフィードは、新しいストーリーの伝え方、読者へのエンゲージメントの手法を考える開発チームをロンドンに置きます。率いるのは、バズフィード英国版の編集ディレクターのTom Phillips氏。実験的で新しい記事フォーマット開発に取り組みます。
同氏は、バズフィードの前にはトリニティ・ミラーの実験的なメディア「Us Vs Th3m」にいた経験をもつので、まさに今回のチームを主導するのに適任だと思います。
また、上記の画像は、夏くらいに生まれたフォーマットのひとつ。ビフォーアフター的なコンテンツで活用しているスライド式の画像コンテンツです。バズフィードの創業時にはリスト記事などを積極的に発信してきましたが、ソーシャル時代にはクイズをはじめ、さまざまなコンテンツを試しています。
そのほか、広範囲のコンテンツに(再)利用できるツールやCMS開発もおこなうと同時に、来年にせまった選挙など一度きりのツールも開発していく計画です。
この記事を書くのにバズフィードのサイトを見ていると、ページの右側に、画像について「すばらしい」「つまらない」の2択を選び、結果をシェアできるというシンプルなコンテンツも現れていました。昔はなかったので、最近できたのでしょうか。nanapiがかつてやっていた「まるばつnanapi」みたいですね。
今後のフォーマット開発からには注目です。読者開発も重要ですが、メディア全体としてはフォーマット開発のインパクトのほうが大きい気がしています。
3. ニュースアプリ開発に向け人材獲得
ニュースアプリ「BuzzFeedNews」の開発にも動きがでています。
9月にはThe New RepublicからNoah Chestnut氏をプロダクト責任者として、直近ではフィナンシャル・タイムズでコミュニティづくりを担当していたStacy-Marie Ishmael氏の参画が明らかになりました。Ishmael氏は編集・編成を担当します。
ニューヨークタイムズもニュースアプリ「NYT Now」などをリリースしたりと大手紙も続々と新しいアプリを出しているなかで、バズフィードがどのようにアプローチしていくのかは興味深いです。
すでに長らくバズフィード単体のアプリはあるため、ニュースキュレーションアプリとなります。そういう意味では、米国進出をしているグノシーやSmartNewsなどにも領域的にかぶるので注目です。
このようにさまざま動いているバズフィード。過去にいくつか記事も書いているので参考までに。また、先日のピュー・リサーチセンターの調査によれば、バズフィードはリベラルからも保守からも信頼されていないというデータも出ていて、なんとも興味深いです。
バイラルメディア「Upworthy」、「国連気候変動サミット」のスポンサードページを設置
政治や政策、社会課題の認知向上に務める動画キュレーションメディア「Upworthy(アップワーシー)」。アルゴリズムなどのフィルターによって偏った情報ばかりを得てしまう「フィルターバブル」に対抗するメディアとしても注目を集めています。
少し前の話題となりますが、そんなアップワーシーが9月に開催された「国連気候変動サミット」のスポンサードページを設置していました。スポンサーにはユニリーバ(Project Sunlight)が付き、環境問題を中心としたコンテンツをキュレーションしています。
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U.N. Climate Summit(Upworthy)
このページは公開から1週間で1000万人にエンゲージし、1つのコンテンツは平均40万ページビューを記録したとのこと。
カテゴリーにスポンサーが付くという感じが、ハフィントンポストのスポンサードにも少し似ていると思いました。海外では多いかたちですが、日本ではNewsPicksがカテゴリーを販売している例もありますし、注目です。
今回のスポンサードページは、間接的に国連ともコラボレーションしていることになるので、バイラルメディアとしてユニークな事例とも言えそうです。とはいえ、国連は人権領域でバイラルメディアを立ち上げていたりするので、情報発信に柔軟なのでしょう。
最近では、米国務省(United States Department of State)が「ShareAmerica」というバイラルメディアを立ち上げている事例もあります。国連や行政におけるキュレーションの活用も進んでいるようですね。
昨年、「月間読者数4600万人を突破したメディア『Upworthy』がゲイツ財団とコラボーースポンサードコンテンツで世界の健康と貧困を伝える」という記事を書いたことがありましたが、ちゃんとしたパートナーを迎えて社会課題を認知や解決にコミットするアップワーシーのメディアの姿勢はとても好きだなあと改めて実感しました。
(参照)
バズフィードよりシェアされるバイラルメディア「PlayBuzz(プレイバズ)」とは?
創設たった10ヵ月のイスラエル発のバイラルメディア「PlayBuzz(プレイバズ)」が勢いを見せています。クイズやリスト記事に特化したサイトなのですが、9月のフェイスブックでのシェア数でバズフィードを抜きました。
1位はハフィントンポストで945万シェア、2位がプレイバズで759万シェア、そして3位がバズフィードで627万シェアとなっています。プレイバズがこの2つのメディアに食い込んでいることはもちろん、ニューヨークタイムズやガーディアンなどの大手紙にも勝っているのは象徴的です。
(出典:The Biggest Facebook Publishers Of September 2014)
以前、「バズフィードの人気コンテンツは『クイズ』ーー上位10記事中9つを占める」という記事を書いたことがありますが、プレイバズはまさにクイズ(日本でいう性格診断)が多く掲載されているエンタメサイトです。リスト記事もあり、CGM的なアプローチも見られます。
バズフィードは月間1.5億UUですが、プレイバズは7000万UUほど。簡単にクイズがつくれたり、記事の埋め込みができることから大手メディアも活用しているとのこと。バズフィードクローンがバズフィードを抜いたのは興味深いですね。
また、フェイスブックで人気のあった(アクションがあった)記事の上位にはプレイバズの記事が多く占めています。
(出典:The Biggest Facebook Publishers Of September 2014)
プレイバズがバズフィードを抜いたことは、海外でも話題になっており、多くのメディアが報じている事態となっています。スマホ&ソーシャル時代のメディアを考える上で伝統メディアの参考になりそうですね。
- Playbuzz Announces Crazy Facebook Traffic In September - Business Insider
- The Startup That Outbuzzed Buzzfeed - Businessweek
- Meet PlayBuzz, the Israeli clickbait farm that just beat Buzzfeed — and is coming for you next - The Washington Post
- PlayBuzz Is Beating BuzzFeed at Its Own Game, But Would Rather Be YouTube
- PlayBuzz Is the New Upworthy and Maybe a Little Grosser
ちなみに、プレイバズを立ち上げた起業家のShaul Olmert氏(39)は、前イスラエル大統領の息子なのだとか。 なんかいろいろとすごいです。
USA Todayが運営する、月間900万UUのスポーツサイト「For The Win」
スポーツゲームサイト「Fantasy Score」を公開するなど、新しいメディアづくりを実験している大手メディアのひとつUSA Today。モバイルやソーシャル時代に沿った読者の獲得にも力を入れています。
特に「For the Win」というスポーツサイトは、月間訪問数が900万人ほどと好調なようです。2年前にヤフーからUSA Todayのスポーツ部門に移籍したジェイミー・モットラム氏を中心に立ち上がったメディアです。
同氏のヤフーでの経歴などは、ビジネスインサイダーの記事(2011年)に掲載されていますので、関心ある方はぜひチェックしてみてください。
さて、For The Winの話題へ。このメディアは、バイラルメディアにヒントを得て、ソーシャルとモバイルに特化。写真やGIF画像、ツイート埋め込み、リスト記事など、さまざまな記事フォーマットの実験と実践をおこなっています。
その結果、月間平均で900万人が訪問するまでになったのです。ESPNの「Grantland」や Sports Illustratedの「MMQB」など、他の競合スポーツサイトよりも数倍多いとのこと。
「ソーシャル上でのコンテンツ拡散」と「モバイルでのコンテンツ消費」の2点を考えてりると、モットラム氏は言います。実際、75%のトラフィックはモバイルからとのこと。
ユニークなのは、記事における文字数も300ワード以下に抑えることを意識している点や、モバイルのプレビューも見れるようにCMSも工夫されていること。そのほかにももちろん、タイトルや写真、リスト記事、ビジュアライゼーション、ソーシャル上での文脈なども気にかけているようで、海外メディアのモバイル・ソーシャル対応は引き続き調べたいですね。
バズフィードの最近の動向ーー新社長就任、資金調達、ゲーム参入など
今年5月、バズフィード社長ジョン・スタインバーグ氏が退任するというニュースがありました。ついに新社長が決まったようです。
新社長のグレッグ・コールマン氏はアドテク系のエキスパートで、ヤフーを経て、AOLへの売却前のハフィントンポストの広告事業を成長させたキャリアを持っています。組織経営はもちろん、ネット広告のスペシャリストとしてビジネス成長にも注力していくようです。
バズフィード社の公式発表によれば、「ハフィントンポストやクリテオ(コールマン氏のアドテク企業)で業界を変える一助となっていた。そしていま、ソーシャル広告はグローバルで拡大し、ブランドのマーケティング戦略に欠かせないものとなっている」と、バズフィード共同創業者のペレッティ氏。「この3年で業界を変えてきたバズフィードの有能なチームに加わることができて嬉しい」とコールマン氏は述べています。
Capital New Yorkの記事では、コールマン氏への短いインタビューを掲載しています。バズフィードとハフィントンポストではどちらも急成長したメディアではあるものの、手法が違うこと、10億ドルでディズニーが買収を試みていたことに対しては、インディペンデントなメディアという部分へのこだわりも見せているなど、今後の方向性についても垣間見えるものとなっています。また、直近では5000万ドルの資金調達もおこなっています。
資金調達の動きはITmedia ニュースをはじめ、さまざまなメディアで取り上げられていましたね。ライフスタイル部門、動画部門、ソーシャルメディア専門コンテンツの制作、ネイティブ広告、グローバル展開と抜かりないです。
米バイラルメディアのBuzzFeed10+ 件は8月11日(現地時間)、米ベンチャーキャピタル大手Andreessen Horowitzから5000万ドル(約51億円)を調達し、同VCのクリス・ディクソン氏を取締役に迎えたと発表した。
資金は日本を含む海外への進出、動画コンテンツの強化、主要な収入源であるネイティブ広告部門の拡充、企業買収などに活用する。
ソーシャルカンパニー市川さんもいち早く、バズフィードの動きを伝えていました。資金調達やグローバル展開以外の最新の動向は以下になります。
・月間訪問者数:約1億5000万人
・サイトへのソーシャルメディアからの流入比率:75%
・猫の写真やセンセーショナルなリスト記事(○○すべき26の○○など、クリックせずにはいられなくするようなタイトル記事)で知られているメディア企業がジャーナリストを大量に採用し伝統的なメディア企業に対抗すべく次々と手を打っている
・社員数550名でありながらスタートアップのような企業文化を維持している。
・ネイティブ広告に力を入れており、75名ものスタッフを擁する専門のチームがブランド企業のための洗練された動画コンテンツやリスト系の記事を作成している。(2014年上半期の売上げは2013年の既に2倍を超えており、2014年を終える迄には3桁台の売上げを見越しているとのこと(約100億円以上)
月間訪問者1億5千人、ソーシャル流入75%、市場価値850億円、勢いが止まらないBuzzFeed
日本にも年内に上陸とのことですが、どのタイミングで、どのような体制、どのような目的で現れるのか楽しみですね。
先日、「BuzzFeed(バズフィード)が4000本もの記事を削除した理由」でバズフィードが規律を持った、よりジャーナリスティックなメディアに変わろうとしている動きの一部をお伝えしましたが、どのようなメディアとなっていくのでしょうか。
最近では、ゲーム業界にも参入するという記事がありました。現在、ウェブ/モバイルゲームの開発者を募集しています。自社のゲームなのか広告主などのためのゲームなのか分かりませんが、バズフィードの新展開としては興味深いところです。
また、バズフィードの今後に向けた発想については「“バイラル”の次にくるもの/「分散型 BuzzFeed」構想の衝撃」という記事が参考になります。ウェブサイトもアプリもいらないかもしれない、というのはかなり驚きですが、分散型・配信型というのは真剣に考えるべきテーマとなっていくのでしょう。
海外事例から捉えるバイラルメディアについての資料もぜひご覧になってみてください。
BuzzFeed Hires Huffington Post Veteran As Its New President | Business Insider
伝統メディアも踏み出す、バイラルメディア立ち上げ
海外では、伝統メディアもソーシャルからの流入を目指して、バイラルメディアを立ち上げる事例も出てきています。今回は3つの事例の紹介です。
ワシントンポスト:KnowMore
ワシントンポストが昨年10月にスタートした「Know More」というメディアがあります。大手/伝統メディアによるバイラル/キュレーションの取り組みにおいて、早い方だったと思います。
手がけたのは、ウォンクブログという政策ブログで執筆していたコラムニストのエズラ・クライン氏とライターのディラン・マシューズ氏の2名。コンテンツは、外部の媒体からキュレーションし、詳細が気になる場合は「Know More」ボタン、知りたくない場合は「No More」ボタンで記事を閉じるという仕組み。
さまざまなトピックの知識や情報の入り口となるようなサイトです。なお、エズラ・クライン、ディラン・マシューズの両氏は現在、ヴォックスメディアにて、ニュース解説メディア「ヴォックス」を立ち上げ、運営しています。
ミラー:Us Vs Them
100年以上の歴史を持つ英トリニティ・ミラーが立ち上げたのは、「Us Vs Th3m」という実験的なサイト(2013年5月設立)。若い読者層をターゲットに据え、ユーモアやエンタメ色の強いコンテンツを展開しています。
BBCやガーディアンにいたマーティン・ベラム氏やMSN Internationalの編集者だったトム・フィリップス氏、そして「B3ta」というユーモアサイトをつくったロバート・マニュエル氏らによって立ち上げられました。Tumblrを使っているところも特徴的。
モバイルやタブレットを意識し、ビジュアル重視、ストリーム型なメディアです。すでに300万人以上の読者が集まるなど実験の域を抜けるようなものとなっています。
インディペンデント:i100
英インディペンドが立ち上げたのが、「i100」というサイト。今月スタートしたばかり。
スマホにも適応した、クオーツ型のタイムラインの形式をとっています(右カラムには100本の記事がリストとなっており、右側にはストリームでコンテンツが掲載されているという形)。インディペンデントのもつ「i Newspaper」からインタラクティブやチャートなどウェブで活用できるコンテンツを再パッケージ/記事化するというもの。
また、「Upvote」ボタンもついていて、読者による投票が、100本の記事のランキングを左右します。伝統メディアが、デバイスや関心が全く違う読者層(若年層)にアプローチする手段としてこのようなサイトを別ブランドとして立ち上げるのはアリだと思いました。
今回の3つのほか、1998年設立のジ・オニオン(社会風刺メディア)もClickHoleというサイトを立ち上げたりしています。BuzzFeedやUpworthyなどを中心としたバイラルメディアの基礎知識については、スライドを参照ください。
海外メディア「BuzzFeed」と「Upworthy」のルーツとは?
先日、「キュレーションメディアサミット」というイベントに登壇してきました。
国内外でキュレーションメディアやバイラルメディアが勃興し、注目を集めています。僕は「BuzzFeed(バズフィード)」「Upworthy(アップワーシー)」という2つのメディアからキュレーションやメディアを考えるといった内容の発表を行いました。
この記事では、両メディアのルーツを簡単に紹介したいと思います。
バズフィードを共同創業したのは、ハフィントンポストの創業にも参画した、ジョナ・ペレッティという人物。彼がMIT在籍時に、感染メディアについていろいろと実験していたことがきっかけの一つです。
ウェブ上でのバイラルや、無関心層に関心を抱かせたり、議論を巻き起こすことを追求していました。このように研究からはじまったのがハフィントンポストであり、バズフィードなのです。
一方、2013年に最も注目を浴びたであろうアップワーシー。
同メディアは、グーグルをはじめとする検索やフェイスブックなどのエッジランク、ニュースアプリのアルゴリズムによって、偏った情報ばかり摂取することを問題とする「フィルターバブル」に対抗するべく、立ち上がりました。 このような現代ならではの課題解決を志向するメディアも重要ですね。
バズフィードとアップワーシー、どちらのメディアも研究や現象に対するプロダクト/ソリューションとして生まれており、メディアとしての強さと魅力を感じます。発表内容はスライドでも、読むことができます。