国連も乗っかるバイラルメディアの波! 「UN Free & Equal」を知っていますか?
メディアの輪郭では、これまで約9000万人の月間読者を抱える「Upworthy」やワシントンポストの「KnowMore」などの海外におけるバイラルメディア、そして日本におけるバイラルメディアの勃興についても取り上げてきました。以下の記事でもバイラル系をメインに紹介しました。
自由と平等を目指す国連のバイラルメディア
今回紹介するのは、2013年7月に国連が立ち上げたバイラルメディア「UN Free & Equal」です(ワシントンポストでさえ10月にバイラルメディア立ち上げたので、国連のトレンドの先取りが伺えます)。人権や平等をテーマに、動画やインフォグラフィックなどを発信して、問題認知の向上を目指しています。
いまだに世界では、性差や同性愛、LGBTなどを理由とした差別などが残っています。いまでも、76ヵ国では同性愛が刑罰の対象になり、5ヵ国では死刑となるそう。
このような現状に変化を起こすべくリリースされたメディア「UN Free & Equal」は、国際連合人権高等弁務官事務所(UN High Commissioner for Human Rights=OHCHR)が主体となって、運用されています。
メディアを通じて展開するグローバルキャンペーン
具体的な目的は、特にゲイやレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーの方々の権利を尊重することを促進するためのグローバル規模での啓発です。しかしながら、問題の認知向上や、人々のアクションを促すことの難しいトピックでもある性や差別。
そこで、このメディアを活用して、データや動画、インフォグラフィック、そして証言など、様々な形のコンテンツを発信することでアプローチしています。
パートナーには、人権キャンペーンなども仕掛けている「Purpose Foundation」が就き、さらにミュージシャンのリッキー・マーティン氏や南アフリカの歌手イヴォンヌ・チャカ・チャカ氏、ボリウッド(インド映画)女優セリナ・ジェートリー氏、ブラジル出身の小説家パウロ・コエーリョ氏、ブラジルの歌手ダニエラ・メルキュリ氏などセレブらも協力者として名を連ねているのです。
UN Free & Equalで発信しているコンテンツ例を以下に記しておきます。動画やインフォグラフィックで問題を認知してもらうことを意識した作りになっています。
- THE HISTORY OF LGBT RIGHTS AT THE UN
- THE MOST SHOCKING MAP YOU’LL SEE TODAY
- THIS IS WHAT GOOGLE SUGGESTS WHEN YOU TYPE GAYS
NPOや財団とのコラボでもう一歩先の価値を生み出す
国内ですと、「dropout(ドロップアウト)」というメディアが社会的な問題や可視化されていない、気付いていないようなイシューに関する動画をキュレーションしています。
問題の認知が広がっていくことは、解決の第一歩だと思いますので、ドロップアウトとNPOがコラボするような動きがあったりするとかなり有意義だと思います。例えば、社会問題に取り組むNPOがゲストキュレーターとして参加したり、その団体のオリジナルの映像を制作したり。
Upworthyはゲイツ財団とコラボしていますし、今回のUN Free & Equalは国連が運営していたりという文脈を日本でも汲むことができるならば、バイラルメディアの可能性はさらに広がっていくのかもしれません。
日本ではUpworthy的なフォーマットの採用が多いようです
日本では特に最近になって、バイラル系のメディアが増えてきて、10を超えるほどになっています。なぜかUpworthy的に、動画のキュレーションメディアの形をとっているところがほとんどのようです。
海外のバイラルメディアを見ると、圧倒的に成長しているのは月間訪問者が1.3億人を超えた「バズフィード」や20歳が立ち上げ、たった1ヵ月で月間読者数が2100万人と記録した「Distractify」、1人で運営して3000万PV規模の「ViralNova」あたりだったりします。
このあたりも参考にすると、単なるYoutubeやVimeo、Vine動画のまとめサイトから脱却できるのかもしれませんね。引き続きどのようなバイラル系メディアが出てくるのか楽しみです。