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BuzzFeed(バズフィード)直近の3つの動き:発行人交代と記事フォーマット・ニュースアプリ開発

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バズフィードが大きく、かつ、着々とさまざまな動きを見せているので、3つにしぼって紹介します。それぞれ発行人交代、フォーマット開発チーム、ニュースアプリ開発(とそれに合わせた人材獲得)です。 

1. グロースハッカーを発行人に

バズフィードのグロースを担当していたDao Nguyen氏が発行人になりました。月間訪問者を2800万人から1億5000万人へと伸ばした立役者の就任は、新しい発行人像としても注目が集まります。

スマートニュースの藤村さんも、「次にメディア組織の中心に座る者/グロースハッカーがメディアを変える」と題した記事で、バズフィードのグロースを支えた彼女の抜擢に注目されています。

今回、BuzzFeed が読者開発に次いで、重要な職責としてグロースハッカーを打ち出したことは、21世紀型のメディア運営にとりデータを駆使して読者を拡大する施策とそれを推進できる能力に大きな注目が集まってきていることを示す動きとして注目すべきです。

次にメディア組織の中心に座る者/グロースハッカーがメディアを変える | 藤村厚夫 Media Disruption

今回はバズフィードCEOによる内部メモが出ているのですが、海外はよくこういったメモが記事になっていることが多い気がします。日本だとあまりないような。

また、こちらも本題と関係ないですが、国内におけるメディアやアプリのグロースハック関連では、よく以下の記事あたりを読み返しています。

2. イギリスにフォーマット開発チーム設置

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28 Before And Afters That Show The Transformative Power Of Makeupより)

バズフィードは、新しいストーリーの伝え方、読者へのエンゲージメントの手法を考える開発チームをロンドンに置きます。率いるのは、バズフィード英国版の編集ディレクターのTom Phillips氏。実験的で新しい記事フォーマット開発に取り組みます。

同氏は、バズフィードの前にはトリニティ・ミラーの実験的なメディア「Us Vs Th3m」にいた経験をもつので、まさに今回のチームを主導するのに適任だと思います。

また、上記の画像は、夏くらいに生まれたフォーマットのひとつ。ビフォーアフター的なコンテンツで活用しているスライド式の画像コンテンツです。バズフィードの創業時にはリスト記事などを積極的に発信してきましたが、ソーシャル時代にはクイズをはじめ、さまざまなコンテンツを試しています。

そのほか、広範囲のコンテンツに(再)利用できるツールCMS開発もおこなうと同時に、来年にせまった選挙など一度きりのツールも開発していく計画です。

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この記事を書くのにバズフィードのサイトを見ていると、ページの右側に、画像について「すばらしい」「つまらない」の2択を選び、結果をシェアできるというシンプルなコンテンツも現れていました。昔はなかったので、最近できたのでしょうか。nanapiがかつてやっていた「まるばつnanapi」みたいですね。

今後のフォーマット開発からには注目です。読者開発も重要ですが、メディア全体としてはフォーマット開発のインパクトのほうが大きい気がしています。

3. ニュースアプリ開発に向け人材獲得

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ニュースアプリ「BuzzFeedNews」の開発にも動きがでています。

9月にはThe New RepublicからNoah Chestnut氏をプロダクト責任者として、直近ではフィナンシャル・タイムズでコミュニティづくりを担当していたStacy-Marie Ishmael氏の参画が明らかになりました。Ishmael氏は編集・編成を担当します。

ニューヨークタイムズもニュースアプリ「NYT Now」などをリリースしたりと大手紙も続々と新しいアプリを出しているなかで、バズフィードがどのようにアプローチしていくのかは興味深いです。

すでに長らくバズフィード単体のアプリはあるため、ニュースキュレーションアプリとなります。そういう意味では、米国進出をしているグノシーやSmartNewsなどにも領域的にかぶるので注目です。

 

このようにさまざま動いているバズフィード。過去にいくつか記事も書いているので参考までに。また、先日のピュー・リサーチセンターの調査によれば、バズフィードはリベラルからも保守からも信頼されていないというデータも出ていて、なんとも興味深いです。