メディア激変の10年〜スマホとSNSがルールを書き換えた
という内容の原稿を「クーリエ・ジャポン」のメディア特集に寄せました。
スマホとSNSがメディアの世界をどのように書き換え、今はどのような時代で、これからはどういったことがやってくるのか。そういったことを1万2千字くらいで綴っています。
以前書いた「2016年の『メディア進化論』~プラットフォームのニュース争奪戦と伝統メディアの必死の抵抗」よりもう少し時間軸を長めにとっているので、また違ったおもしろさがあるかもしれません。
2005年以降のプラットフォームやテクノロジーによって駆動されるメディア世界については、もう少し精緻かつ大胆に書けるようにまた切り口を練ってみたいと思います。
2015年、いちばん印象強くエグられた記事/佐藤慶一 #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け
みんなの「これだ」という1本が知りたい
先日、「北欧、暮らしの道具店」の長谷川賢人さん、「サイボウズ式」の藤村能光さん、「隠居系男子」の鳥井弘文さんとWeb編集者飲みをしているなかで、誕生した企画が「ハイパーリンクチャレンジ2015」です。ひとことでいえば、Webコンテンツのアワードになります。
特にSNSが普及して、記事に接する機会は増えましたが、以前に見た記事を思い返したり、ストックとして整理したりすることはあまりないように思います。そこで、いろんな人が印象に残った記事を1本挙げていったらそれ自体おもしろく、また、ストックとしても意味があるものになるのではないかというわけです。
ハイパーリンクチャレンジ2015 開催概要
【開催趣旨】
「SEOでは計れない、価値がある。」
「ウェブだって、すごいんだぞ!」
「ウェブメディアだって、むくわれたい。」現状ではウェブメディアに対するアワードがない。しかし、作り手は日々葛藤しながら多くのコンテンツを作り出している。それらが時代の流れに乗って刹那的に消費されるだけではなく、その年ごとの記録を残すことで、資料的価値を持たせる(映画の「日本アカデミー賞」、ユーキャンの「流行語大賞」、書店員が決める「本屋大賞」をあわせもったイメージ)。
アワード形式にすることで、担当編集者・ライターを表彰することも目標のひとつ。
【概要】
・その年(前年12月〜本年11月)までに公開されたウェブコンテンツから印象に残った記事を2本だけピックアップする。1本は自らが執筆・制作に関わった記事、もう1本は他媒体で公開された記事とする。
・参加者はそれぞれの記事を選んだ理由を、ブログやSNS等にまとめて発表する。選考した理由もあることが望ましい。また、次にチャレンジを受けてもらいたい人物、印象に残った記事を聞いてみたい人物も2人〜3人程度指名する。なお、指名がなくとも、開催趣旨への理解があれば自発的な参加も歓迎する。
・記事制作後、次のハッシュタグを付けてTwitterにて報告ポストを投稿する → #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け
・なお、「孫まで届け」には、いずれ日本のソーシャルヒーロー孫正義さんまで参加してくれたら嬉しい、孫の代まで読まれていきたい、参加していただいた方に“ソン”はさせない、という気持ちが込められている。
・投票は、12月20日を持って集計〆切とする。
【評議会】
本年は(言い出しっぺの)下記4名により評議会を開催。有効得票数による部門別アワード(※予定)と、印象に残ったコメントをピックアップして(何らかの形で)報告する。
・長谷川賢人
・藤村能光
・鳥井弘文
・佐藤慶一
今年いちばん印象に残った記事
ぼくが選ぶのは、慎泰俊さんがnoteに書かれた「歯」という文章です。
ぼくは 「うんうん、わかるわかる」という感じよりも、「(いまの自分では)わかるようでわからない」文章が好きです。この文章は、まずたった1文字のタイトルで惹きつけられ、淡々とした筆致で徐々に引き込まれ、最後まで読んでしまいました。
(独身の)いまはこの文章の意味をうまく捉えることはできないけれど、結婚したり子どもを持つようになったりすると、じわじわと自分のなかに吸い込まれてくるのではないかと感じました。数年後も読み返すことになりそうです。未読の方は、完読すると違和感なのか共感なのかそれ以外なのか……なにか強く感じるものがあると思います。
上の記事を選ぶ際に、最後まで悩んだ記事も箇条書きで共有します。以下のどれも、それぞれのかたちで強く印象に残っています。
自分が関わったなかで、いちばん印象に残っている記事
自分が書いたなかでは、夏にオランダのメディアに取材にいったときのことが印象に残っています。全部でレポートを4本書いたのですが、「無料情報があふれても、若者は記事を買う! ジャーナリズムに足りない「ユーザー体験」の考慮 「Blendle」国際担当に聞く」を選びます(現代ビジネスの設計上、会員以外は1ページ目しか読めないようになっています、、、)。
20代のジャーナリストたちがテクノロジーを味方につけながらジャーナリズムを持続可能にしようと取り組む姿がとてもカッコよかったです。また取材に行きたいです。ほかのオランダ取材レポートは以下になります。
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「超地域密着」で月間450万UU、年間売上13億円を実現――信頼と愛着あるメディアのつくりかた オランダ最大のローカルメディア「Dichtbij」に聞く
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最大手メディアから独立、第一人者が目指す新しい報道 「人材・お金・時間ない地方でもデータジャーナリズムはできる」 「LocalFocus」共同創業者に聞く
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2025年、過去にこだわるメディアは消える――「オランダジャーナリズム基金」が描いた4つの未来予想図(この記事のみまだ全ページ読めます)
このブログでいえば、自分の原点を見つめ直す「『メディアの輪郭』のつくりかた——リサーチをはじめた理由とこれまでを振り返る」というエントリーが印象に残っています。海外メディアに詳しくなった背景には、地方、途上国、NPOでのそれぞれの原体験があることを書き記しました。
今年印象に残った記事を聞いてみたい3人
一人目は、「ギズモード・ジャパン」元編集長でいまは「healthy living」という新メディアを準備中の大野恭希さん。Web編集者として先輩ということもありますが、なによりガジェット好きな大野さんの1本はぼくが見えていない領域になんじゃないかと勝手に予測しています。ちなみに、新メディアやコンテンツマーケティング支援に向けて編集者などを募集しているとのことです。
二人目は、牧浦土雅(ドガ)くん。途上国や教育分野での活躍のほか、ニューズピックスのプロピッカーのひとりとしても知られています。ただ個人的にはそういった派手目な側面よりも、彼が毎日、地道に大量の情報を収集していることにいちばん注目しています。そんなドガくんのチョイスはまったく予想できません。
三人目は、三宅瑶ちゃん。 インドにいたり、タイにいたり、渋谷にいたり、いまはなにをしているか詳しくはわからないのですが、言葉へのこだわりとか広告への関心とか好奇心の強さとか、自分にはない視点や姿勢が素敵だなあと思うので、ぜひ1本選んでほしいです。
突然振ってしまいましたが、もしご興味があれば参加してくださるととても嬉しいです(お忙しいなかすみません...!)。現状、「ハイパーリンクチャレンジ2015」にはすでに多くの方が参加してくださっています。
もちろん、自主的な参加も大歓迎です。ブログでもツイートでもお気軽に投稿していただけたらと思います(この企画が始まってから、想像をはるかに超えて、いろんな方の印象に残った記事を知るのはとても刺激的だと実感しています)。このブログをここまで読んでくださった方は、ぜひ「これだ!」という1本を教えてください〜。
ブログプラットフォーム「Medium」が新メディア「Bright」を公開——教育イノベーションを伝える
ブログプラットフォーム「Medium」が3月31日、新メディア「Bright」を公開しました。テーマは「Innovation in Education」、教育におけるイノベーションです。
We're proud to introduce Bright, a new pop-up publication about innovation in education and edited by @sarika008. https://t.co/2HIwT4kzLQ
— Medium (@Medium) 2015, 3月 31
編集を担当するのは、課題解決型ジャーナリズムを提唱する「Solutions Journalism」に務めるSarika Bansal氏。ハーバード大学卒、マッキンゼー勤務やニューヨークタイムズでのインターンを経て現職という人物です。
ピンタレストが子どもたちの授業にもたらす革命、科学的にみた完璧な教室、戦争ゲームの影響で歴史専攻した人の話・・・など興味深い切り口のメディアが揃っています。このメディアでも、課題解決寄りのストーリーを提供していくようです。「The New Venture Fund」からの資金提供、ゲイツ財団のサポートなどを受けながら運営していくとのことで、教育に関心のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
Mediumについてはこれまで何度か伝えてきましたが、当初のプラットフォーム戦略からどんどんと編集の色を強めています。いわゆるプラティッシャーという志向です。
Mediumの思想については、WIREDの「ミディアムは世界の何を変えるのか:Twitterをつくった男の次なる挑戦」という記事にくわしいです。「新しいアイデアを生み出す」、そして「アイデアは交換したほうが、社会全体がより良い場所になる」ということだそう。
「いま、この世の中に生まれるメディアの量は多すぎる。それに比べて、新しいアイデアの創造は足りない。いまぼくらが暮らす世界を説明し、よりよい決断を下すための新しいアイデアを生み出すために、何ができるか、というところが起点になったんだ」
「ミディアムを立ち上げようと思ったときにもっていたヴィジョンは変わらない。そのヴィジョンを実行に移すための商品は大いに進化してきたけれど。立ち上げのときに実現したかったヴィジョンは、人がひとりで考えるアイデアよりも、人が集まったときのほうが良いアイデアを思いつくことができる、という考えが軸になっている。アイデアは交換したほうが、社会全体がより良い場所になる」
実際のところ、Mediumが立ち上げている特定のジャンルに絞ったメディアは記事も強烈で濃いです。ジャーナルメディア「MATTER」(正確には買収してリニューアル)、テックメディア「Backchannel」、音楽メディア「Cuepoint」、 スポンサードメディアにはBMWをスポンサーに迎えた「Re:form」やホテル会社マリオット・インターナショナルがスポンサーについた「Gone」 などがあり、今回の「Bright」を加えると6つとなります。
今後どのようなジャンルを押さえていくのか、そしてBackchannelでは『グーグル ネット覇者の真実』『マッキントッシュ物語―僕らを変えたコンピュータ』などの著書でも知られるジャーナリスト、スティーブン・レヴィを起用したように人材の獲得にも目を向けていきたいですね。
「メディアの輪郭」のつくりかた——リサーチをはじめた理由とこれまでを振り返る
(Photo by Aleks Dorohovich/Creative Commons Zero)
「メディアの輪郭」というブログを開始してもう1年半ほどになるようです。はてなブログの管理画面を見ていたら、ブログ作成日が2013年10月22日。これまでに300本近くの投稿をしてきたとのこと。開始は同年11月12日。初日に以下にある3本を投稿していることから、どこか力が入っている気がします。せっかくなので、自分の整理も兼ねて1年半をざっくり振り返ってみます。
「メディアの輪郭」をはじめた3つの理由
もともとの経歴は2012年はNPO法人グリーンズが運営するgreenz.jpというメディアでライターインターン、企業のコンテンツマーケティングを手がけるメディア企業で編集アルバイトを経験し、就活もせずどうしようかと思っていたときに、Wantedlyで求人を見つけた「現代ビジネス」で2013年6月からエディターをしているという流れです。
非営利/営利メディアのどちらも経験したことで、いろいろ考えたのがブログの開始時期に重なっているのかもしれません。大学は英語学科を出ているんですがなぜか編集の仕事をしているのには、いくつかの理由があり、それもブログをはじめたことにつながっています。
(タイ最大の難民キャンプであるメーラキャンプで撮った写真)
ひとつは新潟県佐渡島が出身であり、地方と都市の情報ギャップを感じたこと。ふたつは大学でミャンマーの難民研究をしていてタイとミャンマーの国境にある難民キャンプに行ったときに、先進国と途上国の情報ギャップを感じたこと。最後に大学後半でNPO/NGOの活動にも参加するなかで、社会課題に取り組む人は多いものの、課題やソリューションなどが思いのほか伝わってないと思ったこと。これらがメディアにかかわることになった主な理由です。
地方、途上国、NPO・・・どれも情報発信が遅れていたり、編集するものはあるものの編集する人がいなかったり。そんなことをひしひしと感じていました。まわりは就職で英語教師やホテル、航空・外資系企業などが多かったように思いますが、それでも編集を選んだのには情報発信におけるビハインドの実感が大きかったのでしょう。
ビハインドが大きいからこそ、メディアの最先端を知らないといけないのではないか。徹底的にリサーチをしてくわしくなって、そのなかで地方、途上国、NPOの情報発信で生かせることがなにかあるのではないか。そんな思いで開始し、いまもその思いの延長線上にいます。
メディアの輪郭をやっていると、ものすごいメディア好き(関心対象がメディアそのもの)な人と出会うことも多々ありますが、そのたびに自分は関心対象がメディアではなく、メディアというツールを使ってなにを実現するのかという方向に関心があるのだと再認識しています。メディアにあまり関心がなく勉強の意味合いが強いからこそ、リサーチを続けられているのです。
当初のテーマは「新興メディアの視点」と「大手メディアの実験」
「メディアの輪郭」というネーミングは、ただ自分がメディアについて本質的なことは書けないということや、そもそも意見や議論とかの発信が苦手なこともあり事例や取り組みを淡々と紹介するスタイルで長い目で多くの投稿を見ていったときに読者の方にとってなにか気付きがあればといった冗長でアバウトな由来です。
あと「メディアの本質」とかにしてしまうと、毎回ちゃんと書かないといけなくなる気がして、力を抜いていつでも書けていつでも辞めることができるように輪郭という言葉を選びました。独自ドメインをとっていないことやブログ専用のSNSアカウントをつくっていないことも上記の理由からです。ニッチなので無理せずじわじわと広がればいいなあと思っています。
ブログをはじめるにあたり、次に決めたことは「なにを書くか」ということ。メディアの輪郭の場合、「新興メディアの視点」と「大手メディアの実験」という2つのテーマを掲げました(いまでは書評や取材後記のような使い方もしています)。新興メディアはたとえばバズフィード、大手メディアはニューヨーク・タイムズというと分かりやすいでしょうか。新興か大手かどちらかに絞ればもっとエッジが利いていたかもしれませんが、あくまで輪郭であり勉強であるので、まんべんなく取り扱う必要がありました。
新興メディアはテクノロジーを活用したり、SNSで流通を獲得したり、大手メディアにはできないメディアのあり方や未来を見つめていて、逆に大手メディアは資金や人員がいるからこそできるトライもあり、それぞれを見ることはいまでも非常に興味をそそるものです。
書くことを決めたあとは、いろいろと調べました。国内ではどんな人が海外メディアについて情報発信しているのか、海外ではどんなメディアや人がメディアについて情報発信しているのか。この2つについてざっくり調べた気がします。
前者は「海外メディアについて知りたい時に必ず読むブログ7選」という投稿で紹介。後者はツイッターのリスト(MEDIA INFOと 海外メディアが気になるときにサクッと見るリスト)とグーグルアラートで追うようにしています。グーグルアラートは50個ほど登録していて、主なものだと「BuzzFeed」「Vice Media」「Future of Media」「Audience Development」「Journalism startup」「Investigative Journalism」「Long Form」など。最近だと「Decentralized Web」とかも気になって登録しました。
グーグルアラートで1年間バズフィードの情報を追っていたこともあり、1万字を超えてしまった「収益1億ドル超え、ニュースアプリ開発、社長・発行人交代、新たな国際展開---米ニュースサイト『バズフィード』の2014年を振り返る」という記事を時系列順で書くこともできたりしました。また、ブログで情報収集・発信を続けるにつれて、ブログやメディアでも紹介いただくようになりました。
転載、イベント登壇、寄稿、連載について
外部転載がはじまったのは、2013年11月12日にブログをはじめて2週間後の11月27日。BLOGOSにて「ニッチな穴を狙え! ジャーナリスト、ネットニュース編集者らが語った『新しいネットメディアの可能性』」という記事がはじめてでした。BLOGOSがきっかけでいろんな人に知ってもらうことができました。その後、ハフィントンポスト日本版やAll About News Dig、Fashionsnap.comなどに転載されています。今後もできるだけ外部配信は増やしていけたらと思っています。
また、メディア関連のイベントで登壇する機会もたまにいただくようになりました。国内外のバイラルメディアを初期の頃から追っていたこともあり、2014年夏ごろには「キュレーションメディアサミット」「バイラルメディア祭り」といったイベントに登壇。
これまでスライドを3つ公開しているのですが、以下のものは7万回閲覧されています。3つ合計では11万閲覧ほど。イベントとは別に友人・知人からメディア相談を受けたときに、気分でオリジナルのスライドを用意してカフェで話したりすることもあったりするので、情報をまとめるのは好きなのかもしれません。引き続き勉強も兼ねてスライドはつくっていきたいなあと思います。
メディアの輪郭をはじめてから、現代ビジネスでも編集の傍ら「デジタル・エディターズ・ノート」という連載をもたせていただいています。国内外のメディア動向を追っていて、海外はこのブログよりも長めに書き、国内においてはあまり取り上げられていないけれど自分が注目している人やメディアをじっくり紹介することを意識しています。国内はいくつか例を挙げると以下のあたり。
- 「ウェブメディアは儲からない」への挑戦---nanapiがグローバルメディアを打ち出す理由と現在地を聞いた
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「ポジティブなアイデアを取り上げ、メディアをおもしろくするヒントが見つかるサイトにしたい」---News of News運営・宮本裕人
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「世の中から『生きづらさ』をなくすために、解散を目指して活動したい」---「Plus-handicap」編集長・佐々木一成氏インタビュー
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神田エリアで「動く街づくり」を目指す「THINK! TOKYO LOCAL」プロジェクト---EDITORY・河原田保彦氏に聞く
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「暮らしを見つめ直すきっかけをそっと置いて、小さな循環を生んでいきたい」---「灯台もと暮らし」編集長・佐野知美さんインタビュー
ブログの話に戻ると、転載以外にも寄稿なども増えました。紙媒体では、『新聞研究』 『事業構想』、ネットメディアではTechCrunch JapanやJapan In Depthなど。そのほか、個人や企業のメディア関する相談が増え、週に数回ほどヒアリングを受けたりアドバイスをする機会があります。多様なメディアの状況を聞くことで視野が広がるのでとても楽しいです。そういえば、朝日新聞の記事でコメントが掲載されたこともありました。
地道に続けていると、読んでくださる方は増えるみたいで、「Feedly Subscribers Checker 2」で購読者を見てみたところ、1400人以上の方がFeedlyで購読しているようでした。ニッチなトピックにかかわらず、この数字はとても嬉しいです。引き続き、仕事以外の時間で地道にリサーチを続けていきたいと思います。
続けられた理由は先述の地方、途上国、NPOという3つの軸での情報発信に向けてということや、自分が気になったものをそのときの気分の文量でしか書いていないこと、意外と海外メディアを追っている人が少なくてもったいない気がすること、紙/Web/スマホなどメディアのあり方が大きく変わろうとしていること・・・などいろいろありそうです。グリーンズのインターンを卒業するときに共同編集長の鈴木菜央さんからもらった「どこでもいいから(情熱的な)ニッチナンバーワンになれ」という言葉も影響しているのかもしれません。
改めて振り返ってみると、ブログ開設してからは情報源の確保と執筆くらいしかしていないですね。海外メディア事情については上の世代の方々に解説や持論を発信している人はいるため、基本的に自分の意見は伝えず情報を提供するスタンスをとっています。そういう意味ではこのブログは楽なのかもしれません。今年は本もなんとか読めているので紹介したり、もっと内容のある決定的な記事も書いたりしたいです。
読者が絞り込まれた価値あるメディアづくりには、「声なき声」に耳を傾けることが大切
「Chikirinの日記」というブログを書かれているちきりんさんの『「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記』という本を読みました。
「考えたこと、書いたことをそのまま受け止めてほしい」
インプットよりアウトプットが好きで紙の日記帳を書いていたちきりんさんがブログをはじめたのは2005年のこと。行動の記録ではなく、思考の記録として日々書き記しているようです。また、匿名での活動を選んだ理由については以下のようなことからとのこと。
私としては、そんな先入観を持つことなく、ぜひ私の考えたこと、書いたことをそのまま受け止めてほしいと考えていました。肩書きによる信用補強がなくても、読む価値がある文章だと思ってもらえるのかどうか、それが知りたかったのです。(36ページ)
賞味期限の長い記事を書くことでも知られるブロガーのRootportさんも「ネットでは『誰が言ったか』よりも『何を言ったか』/匿名主義の信条」と書かれていたことを思い出しました。Rootportさんは「ブログは共感と代弁のメディアだから」「ネットでは『誰が言ったか』よりも『何を言ったか』が大切だと信じているから」という理由を挙げています。
価値あるメディアとは「読者ができるだけ似通っているメディア」
また、ちきりんさんがブログを書くときには「1エントリにつき1メッセージ」ということを心がけているとのこと。文章だけなら30分、図表や写真修正・加工などがあればさらに30分ほどかけて書いていると紹介されています。
ブログの起点は、「これについて書く」とか「この本を紹介する」ではなく、「このことを伝えたい!」というメッセージの発生なのです。(46ページ)
伝えたいメッセージを決めて、そのための論理構成を決め、必要な情報を集め、書く、という流れで作業しているそうです。ちきりんさんは自身のブログのゴールを「価値あるメディアに育てたい」と設定。本書のなかでは、その定義を「読者ができるだけ似通っているメディア」「何らかの共通点を持って、読者が絞り込まれているメディア」としています。
また、ちきりんさんの掲げる自分メディアをつくるための5か条も参考になる部分でした。それぞれ「コンテンツを散逸させない」「ネットの中の人にはならない」「つながる世界でつながらない」「オープンな場所に居続ける」「信用力を売らない」というものです。
これらの項目をくわしく読むと、個人的な日記としてブログをはじめていますが、きわめて読者の目線を大事にされていると強い印象を受けました。その後の項目でも、ブログに反応する読者ではなく、とくにひっそりと読んでくれているサイレントマジョリティを気にしていることも書かれています。
これまで紹介してきたことは本書の前半の内容なのですが、後半にはベストエントリ集も収録されているので、いろんな読み方ができます。ちきりん年表やこれまで43社から出版依頼があったというタイムラインも表で見ることができておもしろかったです。
また、この本が『「Chikirinの日記」の育て方』という電子書籍をもとにした「電子書籍の紙化」ということも興味深いと思いました。
「ライバルサイトにリンクする」ーー海外スポーツサイトのメディア戦略
海外では新興スポーツサイトも続々と立ち上がっています。
「求められる記事フォーマットの開発と解説(コンテクスト)、バイラルの使い方」という記事で紹介したRookieというスポーツメディアや、テレグラフ・メディア・グループが立ち上げたモバイルに特化したサッカーメディア「Project Babb」など実験的な要素も含めたものが多いです。
今回紹介するのは、積極的にライバルサイトにリンクする戦略をとっているスポーツサイトです。最初はしぶしぶだった社内を、新聞でスポーツをよんでいるようなファンは、ウェブメディアを読んだときに記事の多様性のなさに満足できないということを説明。
そんな着想のもと、今週できたばかりの「OU Sports Extra」と「OSU Sports Extra」というスポーツサイトは、ほかのメディアやツイートを活用しながら、学生スポーツについての情報を発信しています。
アグリゲーションに近いですが、14人のライター、アナリスト、コラムニストで運営しています。一応、各メディアの承諾を得て、リンクしているとのこと。
ハフィントンポストのモットーに「Do what you do best and link to the rest(ベストを尽くして、あとは他サイトにリンクする)」という言葉があるように、今回紹介した戦略もユーザーに満足してもらうための手段としてアグリゲーションを使っている点はいいなと思います。
日本のスポーツサイトはあまり知らないのですが、onyourmarkはたまに記事を読んだりします。おすすめのスポーツサイトがありましたら教えてください。
ブログプラットフォーム「Medium」、編集を入れてジャンル特化の動き
プラットフォームとパブリッシャーの中心にある「プラティッシャー」。メディアの「プラティッシャー化」はしばらくは注目の動きとなりそうです。
そんな中、Digidayの記事にTwitter共同創業者エヴァン・ウィリアムズとビズ・ストーンが立ち上げたブログプラットフォーム「Medium」のプラティッシャーの動きについて書かれていましたので紹介します。
日本語のでは、「新しいブログのプラットフォームMediumがその存在感をどんどん増している件」という記事にその特徴や思想がまとまっています。同記事で紹介されているMediumのラディカルさは以下の点です。
- 価値のある記事は、誰が書いたかは関係ない
- 価値のある記事は、いつ書いたかは重要ではない
- ひとりの最高の書き手の100の記事より、100の書き手の最高の記事のほうが価値がある
- 記事の価値は、共有された「数」などで計ることはできない
- ひとりの読み手は、限られた数の記事しか読むことはできない
この点を知るだけでも、十分おもしろいのですが、このたび編集を入れて、ジャンル特化の動きにも出ていくMedium。現状では、毎日1200本ほどの記事が投稿され、そのうちの90%が無償での投稿とのこと(つまり120本ほどが有償で書かれた記事)。
これまでも一部の寄稿者に報酬も支払っていたMediumですが、まずはスポーツに特化したメディア「The Cauldron」をつくり、50名ほどの編集者やライターを用いて、コンテンツをつくっていくようです。
良質なプラットフォーム上で、良質なコンテンツをパブリッシュしていく。スポーツ以外にも、様々なジャンルに進出するようです。
ユーザー投稿型と、パブリッシャーの境界線の非常にあいまいなところにいるMedium。そのバーティカルメディア戦略には注目したいですね。
ビジュアル・ストーリーテリングに最適なプラットフォーム「Exposure」
最近知った「Exposure」というプラットフォームが非常に美しいデザインだったので紹介します。
ブログプラットフォーム「Medium」もデザインの美しさ、利用のシンプルさが特徴ですが、Exposureは写真家向けにつくられているため、なかなかです。まずはスタッフピックスをいくつか見ていただけたらと思います。
利用に際しては、無料版と有料版の2つがあります。無料版は3投稿まで、有料版については月5ドルの「Plus」が投稿制限なし、月9ドルの「Pro」は独自ドメインやアナリティクスの利用が可能になります。
タイトルやサブタイトル、写真の挿入、キャプション、テキストなど、要素が少ないので利用も簡単です。僕も無料版で登録してみましたが、日本では使っている人が少ないのか「sato」で登録できました。
Exposureは「長編記事でも没頭してしまう? 海外のイマーシブ・ジャーナリズム事例5選」という記事でも述べたジャーナリズムの文脈に沿ったデザインとしても注目したいです。
個人で使うのもよさそうですが、MATTERがMediumをプラットフォームとして活用しているように、メディアがExposure上で発信していくのも多いにありだと思います。Exposureの紹介動画もぜひご覧になってみてください。
国内ではnoteなどもありますが、 ストーリーテリングすることには向いていないので、MediumやExposureのような美しいプラットフォームがあればいいなあと思います。
米テックメディア「PandoDaily」、調査報道に注力へ
米テックメディア「PandoDaily(パンドデイリー)」が、デジタル出版を手がける「NSFWCORP(Not Safe For Work Corporation)」を買収し、調査報道にも力を入れる動きを見せています。
パンドデイリーは、元テッククランチ編集者Sarah Lacy(サラ・レイシー)が設立したメディアで、シリコンバレーのエコシステムを日々伝えています。
一方の「NSFWCORP」は、元テッククランチコラムニストであるPaul Carr(ポール・カー)によって2011年に設立されたウィークリーデジタルマガジンや月刊誌を発行している出版社。特に長い記事が多く、長文ジャーナリズムが特徴でした。
テックメディアが調査報道部門を立ち上げ
買収によって、同社の代表ポール・カーのみならず、スタッフや寄稿者、デザイナーなどもパンドデイリーに引き継がれることが発表されています。
買収の背景には、2つの媒体社がどちらも調査報道に注力しようとしていたことです。そのため、これを機に調査報道部門を立ち上げ、毎週1〜2本の長文記事(ロングフォーム)を発信していく予定だそうです。
以前、バイラルメディア「バズフィード」が「プロパブリカ」記者を調査部門に迎えたことを紹介しました。海外では、ハフィントンポスト、バズフィード、そして今回のパンドデイリーと調査報道に力を入れる新興メディアが増えています。
「新興メディア×調査報道」については引き続きアウトプットも含めて注目ですね。
【参考】
成長止まらない「バズフィード」ーー月間訪問者数が1.3億人を突破!
12月3日、急成長を続けるバイラルメディア「バズフィード」の月間訪問者数が1.3億を突破したことが発表されました。
昨日も「月間読者8500万人を超えるサイト「バズフィード」に見る、これからのウェブメディアに重要な7つのポイント」という記事で紹介しましたが、2006年のローンチ以来、かなり伸びているようですね。
毎年350%成長で1.3億訪問数に到達
この数字は毎年350%成長なのだとか。恐ろしい成長率ですね。訪問数などが計測できる「quantcast」を使って、2009年あたりからの成長具合も見てみてました。
2009年は月間訪問数がだいたい100万ほど、2010年は300万ほど、2011年は1000万ほど、2012年は3500万ほど(PCとモバイルが半々)、そして2013年11月が1.3億訪問数(PC5700万、モバイル7700万)となっています。
Facebookとその他SNSからの流入が成長要因
この1.3億という数字の背景には、Facebookのアルゴリズム、特に良質なパブリッシャーのコンテンツを評価するようになったことが関係しているとのこと。12月2日にFacebookはニュース重視のアルゴリズムに変更したことを発表しています。
同社が「高品質なコンテンツ」と呼ぶ内容、つまりその時に話題となっているイベントやスポーツ、人々の関心を引く出来事に関連したニュース性の高い記事へのリンクを今より多く表示しようとしている。記事へのリンクをクリックすると、News Feedに表示されていた記事と一緒に関連記事が最大3件表示される。
BuzzFeedの記事でもグラフを交えてFacebookからの流入が急増していることが触れられています。グラフを見てみると、2013年9月を境にかなりトラフィックが増えており、10月には1600万件ほどになっています(数値はバズフィード+ニューヨークタイムズやハフィントンポストなどの提携メディアを含めたもの)。
このFacebookの変化はウェブメディアに関わる方は見逃せない部分になりそうですね。
11月のバズフィードはFacebook以外にもTwitterやGoogleからの流入もこれまでで一番多く、Twitterからの流入はこの一年で180%も増えたとのこと。
また、11月は30記事が100万PV越えを達成し、動画コンテンツも1.1億回再生、300万人以上の購読者、そして11本のコンテンツが100万回再生越えとのことです。動画に力を入れていることはこれからもバズフィードの強みになることでしょう。
非英語圏への展開でさらなる成長となるか?
さて、気になるのは、どこまでバズフィードが成長していくのかということ。10〜11月にかけて、フランス、スペイン、ブラジルの各国版を公開していますので、さらに多くの読者を巻き込んでいくことは間違いなさそうです。
今年はハフポスト日本版が立ち上がった年でしたが、どこかの日本メディアが動いて「バズフィード日本版」立ち上げなどもあったら面白くなりそうですね。
バズフィードについてはこれまで何度か紹介していますので、いくつか記事をチェックいただけたらと思います。
ハフィントンポスト、総コメント数が3億件を突破ーー良質な言論空間とウェブメディアの未来
3億件のコメントが集まるハフィントンポスト
世界に広がるソーシャルニュースサイト「ハフィントンポスト」の総コメント数が3億件を突破したとのことです。
I’m delighted to announce that @HuffingtonPost just reached 300,000,000 comments today. Thank you to our amazing community!
— Arianna Huffington (@ariannahuff) 2013, 11月 22
アグリゲーションでウェブ上の良質なコンテンツをひたすら発信するとともに、オバマ大統領をはじめ多くの政治家のブログ記事を主力に成長してきました。
コメントコミュニティへのこだわり
そのような中で、コメントの数はもちろんのこと、「ネット上に良質な言論空間」をつくることを目指しているため、コメントコミュニティの構築や管理にも非常に力を入れている同サイト。
「ハフィントン・ポストがアメリカの社会にもたらすことができた最も大きな功績は、彼らが読者を惹きつけることによって、より一般の人々の意見にも注目が集まるようになったこと」
月間訪問数が4000万人ほどでコメントは月間で1000万件を超えるほど。不適切なコメントの削除や良質なコメントを読んでもらうために、自動解析エンジンを活用しています。
日本版のコミュニティ成熟はこれから
一方で、2013年5月にローンチされたハフィントンポスト日本版は、半年たったいま、良質なコメントが来ているものの、コメント数がまだまだ足りないようです。
日本のウェブメディアで、多くのコメントに対してファシリテーションできるようなことができたら、ネットの言論がリアルにも反映されるようなことがどんどん起きていくのでしょう。
ハフィントンポストのコメントガイドラインを見てみるだけでも、他のサイトよりもコメントについてよく考えられていることがわかりますし、コメントに力を入れたいサイトを運営するときなど参考になりそうです。
世界中のメディアがコメント欄に悩む現状
では、ハフィントンポスト以外の海外メディアのコメントに関する取り組みはどうなのでしょうか。
ジャーナリスト・小林恭子さんが書かれた『「コメント欄」に悩む世界のメディア』という記事では世界のメディアの取り組みと葛藤が紹介されています。
例えば、米科学誌「ポピュラー・サイエンス」は悪質コメントを防ぐためにコメント欄を廃止、ベルギー日刊紙「デ・スタンダード」は人材不足により、論説記事のみコメント可能、などメディアによって様々。
編集者が確認するのか、読者が自由に投稿できるのか、いつでも削除できるのか、コメントの責任は誰にあるのか、ソーシャルログインでのコメントか無登録でのコメント可能なのか、悩む要素はたくさんあります。
良質な言論空間の構築に向けて
ネット上の良質なコンテンツを集め、良質なコメントで議論を深め、リアルへと反映していくハフィントンポスト。これからも同サイトのアグリゲーションとブログ、そしてコメントコミュニティに注目していきます。
最後に、今回の内容とはあまり関係ないですが、アリアナ・ハフィントンのTED Talksを張っておきます。
Arianna Huffington: How to succeed? Get more sleep | Video on TED.com
【参考記事】
- 刻一刻と変わるストーリーを:創設者が語る「ハフィントン・ポスト」のアイデンティティ « WIRED.jp
- (29)「コメント欄」に悩む世界のメディア : 企画&リポート : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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【過去記事】
- 海外メディアについて知りたい時に必ず読むブログ7選(+最近気になったメディア関連記事25本)
- 「要するに」がより求められるスマホ時代、アメリカの注目ブログ「ChartGirl」は一つの答えだ!
- 市民が支える調査報道! ジャーナリズムを促進する海外クラウドファンディングサイト3選
- 月間読者数4600万人を突破したメディア「Upworthy」がゲイツ財団とコラボーースポンサードコンテンツで世界の健康と貧困を伝える
- 繰り返し読みたいメディアや編集に関する記事9本
- たった1本の記事で1700万PV超え! 米メディア「Upworthy(アップワーシー)」のヒットコンテンツ5選
- 動画ニュースサイトの幕開けとなるかーー元ハフィントンポストCEOらが立ち上げたメディア「NOWTHIS NEWS」とは
-
「発行部数は20%増、ウェブ読者数は3倍に」 Facebook共同創設者クリス・ヒューズが雑誌「The New Republic」買収から1年半を振り返る
バイラルメディア「BuzzFeed(バズフィード)」、フランス、スペイン、ブラジルの各国版を公開
10月上旬の話題ですが、メモ的に残しておきます。
BuzzFeedのグローバル展開
バイラルメディア「BuzzFeed(バズフィード)」が現在の英語に加え、フランス、スペイン、そしてポルトガル語(ブラジル)の3ヵ国語へと展開していくようです。
英語で発信していて、月間8500万人以上の読者を集めているバズフィード(2013年8月)。「ブックエディター」を設置して本のカテゴリーをつくったり、非営利メディア「プロパブリカ」記者を調査部門に迎えて調査報道に注力する姿勢を見せたりと様々な方向に動いています。
翻訳プラットフォームとのパートナーシップ
そんな中で、さらなる拡大を目指して計画されているのが、今回の非英語圏への展開なのです。
具体的には、ウェブで翻訳作業を手伝いながら英語が学べるサービス「Duolingo(ドウリンゴ)」を活用してコンテンツを翻訳していくのに加え、展開国の言語が堪能なエディターを雇用してオリジナルコンテンツの発信もしていくとのこと。
主にブラジル人をターゲットにしたポルトガル語版は10月18日、スペイン版は10月21日、そしてフランス版は11月4日に公開されました。
メディアのグローバル展開と翻訳(学習)プラットフォームのコラボレーションというのはこれからのメディア運営における一つのヒントになりそうです。
【参考記事】
- BuzzFeed to launch French, Spanish and Portuguese editions
http://www.rawstory.com/rs/2013/10/14/buzzfeed-to-launch-french-spanish-and-portuguese-editions/
- The Virality of Evil. How BuzzFeed’s translation project will hurt foreign news.
- Associate Editor in French, Spanish or Portuguese at BuzzFeed in New York, NY
【過去記事】
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新しいジャーナリズムの形か? ワシントンポストが打ち出したキュレーションメディア「Know More」の正体
photo credit: taberandrew via photopin cc
新聞もオンラインも不調のワシントンポスト
今年8月、ワシントンポスト紙はAmazonのジェフ・ベゾスCEOによって買収されました。80年以上続いてきたグラハム家による経営が終わり、メディアとしての転換期を迎えています。
1990年代以降のネットの普及によって、新聞は売れなくなり、この6年間を見ても新聞部門は44%もの営業利益の減少という現状なのです。さらには、オンライン版も今年のデータだけでも7%減少となっています。
新しいキュレーションメディア「Know More」の登場
そんな状況のワシントンポストですが、オンラインでは新しい取り組みも始まっています。例えば、今年10月7日に立ち上がったばかりの新メディア「Know More」は、今後のワシントンポストの可能性にもかかわってくるものです。
ワシントンポストの人気ブログの一つに、政策好きの人をターゲットにした「Wonkblog」があります。その新たなスピンオフメディアとしてはじまったのが「Know More」です。
知識や好奇心の入り口となるようなメディアとなっていて、チャートやグラフ、写真に少しのテキストを加えたものがコンテンツとなっています。運営はWonkblog編集のEzra Klein氏とライターのDylan Matthews氏の2名体制です。
「Know More」 or 「No More」
基本的に外部の媒体からキュレーションしてきたもので、詳しく知りたいときは「Know More」ボタンで外部サイトに行き、別に知りたくない場合は「No More」ボタンで記事を閉じることができます(言葉遊びがいいですね)。
知識探求、そして情報過多ではなくシンプルな1枚のコンテンツによるスローウェブ体験の楽しさを感じてもらうことも狙いの一つ。そしてツイートボタンとシェアボタンのみの設置でソーシャル上へのシェアを促すような設計になっています。
キュレーション/タイトル/前書きの3点が重要
また、1枚のビジュアルで勝負しているので、記事をクリックしたもらったり、さらに外部サイトに飛んでもらうためには記事タイトルや前置き文が重要です。サイトの作りやタイトルが重要なことなどはバイラルサイト「UpWorthy」とも似ています(実際同サイトから着想を得ているそうです)。
リリース3週間でトップアクセスを獲得
まだ始まったばかりですが、どれほどの成果を見せているのでしょうか。
11月にはライターのDylan Matthews氏が、ワシントンポスト発行人からの「Publisher’s Award」も受賞しています。
そして、すでに「Know More」はワシントンポストのブログの中でもトップレベルのアクセスを稼いているそうです(10月3週目はトップ/常にアクセスランキング5番目以内)。
新興メディア「Upworthy」、そして老舗メディアが仕掛ける「Know More」。どちらもタイプの似たメディアですが、アクセスをしっかり稼ぐことができています。大手メディアのウェブ戦略のヒントは、これらメディアにあるのではないのでしょうか。
【参考記事】
- Introducing Wonkblog’s newest site: Know More
- WASHINGTON POST LAUNCHES VIRAL SITE KNOW MORE
http://jimromenesko.com/2013/10/07/washington-post-launches-knowmore/
- Does WaPo‘s “Know More” Blog Represent the New Journalism?
http://www.mediabistro.com/10000words/does-wapos-know-more-blog-represent-the-new-journalism_b23410
- Washington Post Launches “Know More” Service Aimed At Social Sharing
- More pictures, less policy: Ezra Klein’s Wonkblog launches viral site Know More
- Memo: It Took Three Weeks For The Washington Post’s Viral Site To Become Its Biggest Blog
http://www.buzzfeed.com/jwherrman/memo-it-took-three-weeks-for-the-washington-posts-viral-site
【過去記事】
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- 繰り返し読みたいメディアや編集に関する記事9本
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- 動画ニュースサイトの幕開けとなるかーー元ハフィントンポストCEOらが立ち上げたメディア「NOWTHIS NEWS」とは
繰り返し読みたいメディアや編集に関する記事9本
以前、自分が読んでいるメディア関連のブログを紹介しました。
今回は、自分が繰り返し読むことがあるメディアや編集に関する9本の記事を印象的な部分を引用などしながら紹介します(もちろん紹介したい者はもっとありますが)。
ところで、編集ってなんでしょう。僕は、「その場にいたい」「この目で見たい」「誰彼かまわず話したい」「そしてウケたい」、この4つが大事な部分だと思います。最後の「ウケたい」が編集者として1番大事だけど、1個でも欠けたらBRUTUSは作れないのです。雑誌には編集長、編集者の性格が明らかに出ます。だから、作っている人間は「人より多く笑い、泣き、怒り、悲しむ」ぐらいで走り続けているのが理想です。
「好奇心を人任せにしてはいけない」という言葉も印象的です。
「速い」「フラット」「ファン目線」の3つで「ナタリー的」という部分やビジネス面などもとても参考になります。この記事は無料で読めるのがすごいくらいで、かなり読み返してます。
友だちに話しかけるように書け
「書く」というよりは「指でしゃべる」。くだけた調子でいいし、文章も下手くそでいい。時には実験的な書き方でも構わない。
そうすることで、その記事自体がとても読者に身近になる。
記事をn次利用しろ
読者はそのサイトのほとんどの記事は未見だ。一度書いた記事を何度も表示して、1人辺りのページ数を増やせ。
「関連記事」「人気記事」「1年前の同日の記事」など、出し方はいくらでも考えられる。
これからのメディア戦略の12のポイントがでてきています。
- 希少価値を発揮するコンテンツ
- 体験的価値がもたらすインパクト
- ブランドを通じ読者との関係性を築く
- 複製不可能な人間の才能を重視する
- ライブイベントがもたらす絶頂感
- コンテンツと流通を融合する
- 最重要なのはイノベーション
- 広告価値の減少は継続する
- 消費者に支払わせる能力を築く
- パーソナリティほどユニークなものはない
- 適合力が必要
- それらすべて……
2012年1月から12月までの1年間のPublickeyの売り上げは、合計で835万8819円でした。内訳は、バナー広告やテキスト広告などが473万1300円、タイアップ広告が276万4661円、グーグルのAdSenseが64万9086円、Amazonアフィリエイトが5万3772円、記事ライセンスなどその他が16万円でした。
ひたすらにすごいです。。
「自社サイトをメディア化する」にあたって、LIGが意識したことは以下のようなことだそう。
- オリジナルのコンテンツを常に発信し続ける事
- 社内の雰囲気や情報を垂れ流す事
- ユーザーと交流する事
- ファンを作る事
メディアメーカー田端信太郎さんのインタビュー記事より。
ネットメディアの編集者には、もっと気構え、矜持、モラル、プライドをもってほしい。自らの影響力を自覚せず『俺らが楽しければいいよね』という考えでメディアを作っていては、読者からのリスペクトは得られないし、媒体としてのブランド価値は上がらない。紙メディアのすべてを肯定するわけではないですが、ネットメディアが学ぶべきところはたくさんあります
イケダハヤトさんのブログより。ヤフトピ掲載を目指すコツとして以下の3点を上げています。担当者のお墨付きでもあるそうです。
- 資料価値の高さ
- 意見の独自性
- 「Yahoo!ニュース個人」のオーサーになる
greenz.jp編集長のYOSHさんのスライドより。
編集長の仕事=コミュニティの温度を温かくすること。そのために、「らしさ」「可能性」「居場所」をつくる。
コンテンツディレクター=コンテンツが世に出るまでの設計図を描くこと&流れを整えること。
また、読み返しながらがんばろうと思います。みなさんの読んでいる記事などもぜひ教えてください:)
たった1本の記事で1700万PV超え! 米メディア「Upworthy(アップワーシー)」のヒットコンテンツ5選
先日、史上最速スピードで成長を遂げているバイラルメディア「Upworthy(アップワーシー)」についてお伝えしました。
10月は1週間だけで2500万訪問数を記録するなど勢いがあり、30名ほどのキュレーターたちのコンテンツづくりによって、Time.comやFox Newsなどの老舗メディアよりも遥かに多くのトラフィックを集めています。
注目のマネタイズについても上記記事で紹介したようなスポンサードコンテンツを展開することで収益を上げていく方向性を取り始めたところです。
感動を呼んだ18歳少年の動画
では、実際どのような記事が読まれているのでしょうか。
アップワーシーはスタートしてからまだ1年半(17ヵ月)。それにもかかわらず、1000万PVを超える記事を2本出しています。そのうちの1つは1700万PVを上回っているものです。内容はミネソタのガンで亡くなってしまったとある高校生の物語(動画)でした。
ザックの夢をかなえたのは、彼の噂を聞きつけた日産のマーケティング・コミュニケーション部門担当者マイク・ディザー氏だ。同氏は「日産のスタッフは皆、ザックの話に心を打たれました。GT-Rを貸し出すことで彼の夢をかなえ、ザックにエールとご褒美を贈りたかったのです」と語った。
ザックは14歳で骨肉腫と診断されてから、闘病を続けてきた。その間、常に笑顔を絶やさず、動画にあるように「死ぬことを考えながら生きなくてもいいでしょ」と前向きな姿勢を貫いてきた。だが、病魔に打ち勝てず、今月20日についにこの世を去った。
この動画は彼が亡くなる数週間前、18歳の誕生日を迎えた5月3日に投稿されている。ザックがGT-Rへの熱い思いを語るのは、5分30秒あたりからだ。ぜひ、お手元にハンカチを用意してから、22分間の全編をご覧いただきたい。観る人の心にザックの温かさがいつまでも残り続けてほしいと切に願う。
トップのコンテンツ以外にも、600万PV周りの記事も出していて、ヒット記事を連発しているのがアップワーシーのキュレーション力とタイトリングのセンスなのです。
ぜひいくつかご覧になってみてはいかがでしょうか。
アップワーシーのヒットコンテンツ5選
- This Kid Just Died. What He Left Behind Is Wondtacular. (1700万PV)
- See Why We Have An Absolutely Ridiculous Standard Of Beauty In Just 37 Seconds. (1180万PV)
- Dustin Hoffman Breaks Down Crying Explaining Something That Every Woman Sadly Already Experienced.(780万PV)
- 9 Out Of 10 Americans Are Completely Wrong About This Mind-Blowing Fact.(630万PV)
- A Boy Makes Anti-Muslim Comments In Front Of An American Soldier. The Soldier’s Reply: Priceless.(630万PV)
参考:アップワーシーのコンテンツ制作の極意(スライド)
【参考記事】
- Upworthy, closing in on 50M monthly uniques, lists 11 greatest hits
http://pandodaily.com/2013/11/12/upworthy-closing-in-on-50m-monthly-uniques-lists-11-greatest-hits/
- Upworthy Goes Viral by Optimizing Optimism
http://www.businessweek.com/articles/2013-08-01/upworthy-goes-viral-by-optimizing-optimism
【過去記事】
- 海外メディアについて知りたい時に必ず読むブログ7選(+最近気になったメディア関連記事25本)
- 「要するに」がより求められるスマホ時代、アメリカの注目ブログ「ChartGirl」は一つの答えだ!
- 市民が支える調査報道! ジャーナリズムを促進する海外クラウドファンディングサイト3選
- 月間読者数4600万人を突破したメディア「Upworthy」がゲイツ財団とコラボーースポンサードコンテンツで世界の健康と貧困を伝える