新しいジャーナリズムの形か? ワシントンポストが打ち出したキュレーションメディア「Know More」の正体
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新聞もオンラインも不調のワシントンポスト
今年8月、ワシントンポスト紙はAmazonのジェフ・ベゾスCEOによって買収されました。80年以上続いてきたグラハム家による経営が終わり、メディアとしての転換期を迎えています。
1990年代以降のネットの普及によって、新聞は売れなくなり、この6年間を見ても新聞部門は44%もの営業利益の減少という現状なのです。さらには、オンライン版も今年のデータだけでも7%減少となっています。
新しいキュレーションメディア「Know More」の登場
そんな状況のワシントンポストですが、オンラインでは新しい取り組みも始まっています。例えば、今年10月7日に立ち上がったばかりの新メディア「Know More」は、今後のワシントンポストの可能性にもかかわってくるものです。
ワシントンポストの人気ブログの一つに、政策好きの人をターゲットにした「Wonkblog」があります。その新たなスピンオフメディアとしてはじまったのが「Know More」です。
知識や好奇心の入り口となるようなメディアとなっていて、チャートやグラフ、写真に少しのテキストを加えたものがコンテンツとなっています。運営はWonkblog編集のEzra Klein氏とライターのDylan Matthews氏の2名体制です。
「Know More」 or 「No More」
基本的に外部の媒体からキュレーションしてきたもので、詳しく知りたいときは「Know More」ボタンで外部サイトに行き、別に知りたくない場合は「No More」ボタンで記事を閉じることができます(言葉遊びがいいですね)。
知識探求、そして情報過多ではなくシンプルな1枚のコンテンツによるスローウェブ体験の楽しさを感じてもらうことも狙いの一つ。そしてツイートボタンとシェアボタンのみの設置でソーシャル上へのシェアを促すような設計になっています。
キュレーション/タイトル/前書きの3点が重要
また、1枚のビジュアルで勝負しているので、記事をクリックしたもらったり、さらに外部サイトに飛んでもらうためには記事タイトルや前置き文が重要です。サイトの作りやタイトルが重要なことなどはバイラルサイト「UpWorthy」とも似ています(実際同サイトから着想を得ているそうです)。
リリース3週間でトップアクセスを獲得
まだ始まったばかりですが、どれほどの成果を見せているのでしょうか。
11月にはライターのDylan Matthews氏が、ワシントンポスト発行人からの「Publisher’s Award」も受賞しています。
そして、すでに「Know More」はワシントンポストのブログの中でもトップレベルのアクセスを稼いているそうです(10月3週目はトップ/常にアクセスランキング5番目以内)。
新興メディア「Upworthy」、そして老舗メディアが仕掛ける「Know More」。どちらもタイプの似たメディアですが、アクセスをしっかり稼ぐことができています。大手メディアのウェブ戦略のヒントは、これらメディアにあるのではないのでしょうか。
【参考記事】
- Introducing Wonkblog’s newest site: Know More
- WASHINGTON POST LAUNCHES VIRAL SITE KNOW MORE
http://jimromenesko.com/2013/10/07/washington-post-launches-knowmore/
- Does WaPo‘s “Know More” Blog Represent the New Journalism?
http://www.mediabistro.com/10000words/does-wapos-know-more-blog-represent-the-new-journalism_b23410
- Washington Post Launches “Know More” Service Aimed At Social Sharing
- More pictures, less policy: Ezra Klein’s Wonkblog launches viral site Know More
- Memo: It Took Three Weeks For The Washington Post’s Viral Site To Become Its Biggest Blog
http://www.buzzfeed.com/jwherrman/memo-it-took-three-weeks-for-the-washington-posts-viral-site
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