米新聞社のペイウォール導入は500社超え——海外メディアが有料購読に踏み出すいくつかの背景
定額制読み放題やペイウォール(月に〜本以上読むには有料)、コミュニティ型課金、寄付型、記事ごとの課金など、海外メディアでは読者が有料課金をするためのさまざまな選択肢があります。アメリカだけでもペイウォールを採用する新聞社が500以上あるそうですので、その背景をいくつか紹介します。
①フリーミアムの普及
フリーミアムとは、「フリー(無料)」と「プレミアム(割増料金)」の造語で、基本サービスを無料で提供することで顧客を広く集め、その何割かに有料で高機能のプレミアム版に移行してもらうビジネスモデル。
最近では音楽ストリーミングサービスのSpotifyなどが有名かもしれません。ちょうど今週、課金ユーザー1500万人、アクティブユーザー6000万人を超えたことが発表されました。20%以上が有料会員というのはものすごい数字です。
(出典:Statistic)
いまでは楽曲数3000万曲を超え、1日2万曲が追加され、プレイリスト数は15億個を数えるほど。200億ドル(収益の70%)を権利保有者への使用料として支払っているそうです。Facebookに誰がどの曲を聴いているのかというフィードを流したことでグロースしていったことも有名ですね。
②紙媒体の売上不調
(出典:journalism.org)
アメリカにおけるニューススタンド での雑誌売上(1号あたり)を示したデータ。タイムやエコノミストなどの有名誌でさえ、部数が半数程度に落ち込んでいることがわかります。
こちらのデータは有名紙の広告と販売の収益比率を示したものです。どの媒体も2003年年にくらべて2013年のほうが広告費が減っていることがわかります(あくまでも額ではなく割合)。
こちらのデータはアメリカにおける、メディア別の広告費と時間消費の割合を比較したもの。紙媒体の広告費の高さと時間消費の少なさを一目で実感することができそうです。
③オンライン広告効果の減少
「2018年には米広告費の26%を占めるモバイル広告、半分以上が表示されないディスプレイ広告」という記事でも紹介しましたが、2014年にグーグルが「ディスプレイ広告の*インプレッションの56.1%は目視不能 」というデータを出しています(*スクリーン上に広告の50%以上が画面に1秒以上(動画は2秒以上)露出するインプレッション)。
もっと前の2010年にはテッククランチが、インターネット広告(バナー+検索連動型)は63%の人に無視されているとの記事を出しています。
3つの背景を紹介しました。海外メディアでは有料課金/継続的な課金で読者やコミュニティが支え豊かにするところが増えているように思います。実際、読者からお金を集める割合は増えているようです。
(出典:Pew Research Center's Journalism Project)
具体的な事例についてはまた別の機会に取り上げたいと思います。