「グッズ販売」「個人を全面に」「そもそも体制や目的が・・・」 Webメディアのブランド化に関するいくつかの考え方
(本文とは関係ない、ニコニコ超会議でのラジオ体操の図)
ニコニコ超会議でのWebメディアに関するトークのなかのトピックを拾い、「Webメディアはスマホ時代にどのようにブランド構築していけばよいのだろうか?」という記事を書いたところ、いろんな反応が寄せられ、とても勉強になりました。
上記のエントリーでは①ロゴの露出、②連載/特集、③コピーできないもの(イベント体験やコミュニティ/コミュニケーションなど)をアイデアとして挙げました。今回はさまざまな反応のなかからいくつか紹介してみます。
「なんのためにブランドを構築するの?」
どういうトークしたのかわからないけど、目的から逆算しないといかんと思う / Webメディアはどのようにブランド構築していけばよいのだろうか? - メディアの輪郭 http://t.co/upNX19XBpm
— 松浦 茂樹 (@shigekixs) 2015, 4月 26
クックパッドニュース編集長の草深由有子さんはNewsPicksで「なんのためにブランドを構築するのか。そしてそのブランドとは、コンテンツなのか読後体験なのかはたまたUIなのか。これからの大きな課題です」とコメント。ブランドづくりの目的とそもそも何をもってブランドなのか、ということを課題としています。
「雑誌メディアから得られる知見が多そう」
Webメディアはどのようにブランド構築していけばよいのだろうか? - メディアの輪郭 http://t.co/1jniW5Uiec ブランドロゴの露出、連載を持つ…など、Webメディアがスマホ向けにブランド構築する上では雑誌メディアから得られる知見が多そう。
— какunо (@kknmsm) 2015, 4月 26
フェイスブックでは「ロゴ露出と似ているが、グッズを販売はどうか。『ロゴ付きグッズが売れるメディアを目指すべき』と誰かが言っていた」といったコメントもあり、この延長線上にあるのはほぼ日手帳などもそうだと思いました。雑誌メディアもいろんなブランドとコラボして商品づくりもしているなあ。
「足りないのは、良質なライターやデザイナーを抱え込む体制」
いまのウェブメディアに一番足りないのは、単に質の良いライターなりデザイナーなりを抱え込む体制なのよね。それが可能な体制の構築がアルファにしてオメガであって、実は超会議も特集記事の施策もそこから見なきゃ意味がない。
— 稲葉ほたて (@jamais_vu) 2015, 4月 27
たしかに、Webメディアにはいい人材を抱え込めているところは少ないなあと思います。収益化の問題にもつながりますし、紙媒体の人もあまり積極的にWebに進出していませんね。
「『個人』を前面に押し出した記事は媒体名と合わせて印象に残る」
大きなメディアでは難しいのかもしれないけれど、「個人」を前面に押し出した記事は媒体名と合わせて印象に残る気がする。“AppBankのマックスむらい”みたいな。 / “Webメディアはどのようにブランド構築していけばよいのだろうか?…” http://t.co/TaOlCbNRs0
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2015, 4月 26
人軸というのは重要ですね。トークの際にも人軸の話は出ましたが、雑誌編集長が変わると雑誌やブランドまで落ちていくこともありえるので、そのへんをうまくやらないとなあという印象です。さまざまなプラットフォームが出て、アルゴリズムとメディアが接近し、効率化や自動化が進めばすすむほど、人の感覚(特にトリッキーさや逆張り)は生きてきていると思います。
「今の時代、ブランドとか信頼って言葉はどれだけ意味を持つのか」
今の時代にブランドとか信頼って言葉はどれだけ意味を持つんだろうなあ。 / “Webメディアはどのようにブランド構築していけばよいのだろうか? - メディアの輪郭” http://t.co/iMLgzesAuj #media
— やまぐち りょう (@d_tettu) 2015, 4月 27
この点もすごい重要だなあと。現在進行形でメディアのブランドづくりがむずかしくなっているので、解体された先になにがあるのか、もしくは再構築の手法を編み出すのか、さまざまな選択が迫られそうです。差別化を図り、リピーター率向上からの長期的なファン獲得につながっていくのでしょう。ブランドの求心力がないと、低価格競争ではないですが、効率化であり、ムダを省いていくようなかたちになりそうです。
このほかにも「耳が重要。発音できない言葉は忘れる」「とがった記事を書く」といったコメントなども見られました。実際、Webメディアではブランドづくりがかなりむずかしい状況になりつつあるので、確立手法を摸索しつつも、紙媒体の編集者やプロデューサーの方などにヒントを求めてみたいですね。
メディアのブランド化というと、LINE社で上級執行役員を務める田端信太郎さんの著書『MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体』にもある「FTの紙はなぜピンク色なのか」ということにもつながりそうです。
ブランドがブランドたり得るためには、消費者が、作り手に対して、底の見えない深い井戸を覗きこんだように、得体のしれない尊敬や信頼を感じさせることが理想的です。メディア業の提供物は、手にとって触れたり、匂い嗅いだり、出来ないわけなので、読者から見た「メディアの品質」とはつまりは「その作り手を信頼できるかどうか。リスペクトできるかどうか?」問題とイコールになります。
そして、この文脈で言えば、日本のWebメディアが、クリック幾らインプレッション幾らの焼畑ビジネスになってしまっていて、ブランド化できていない原因は、根本的には、メディアの作り手である、編集者やライターが、読者や広告主から獲得している畏怖の念にも似たリスペクトの量が足らないことが根本の原因ではないのだろうか、と私は思っています。
「メディアの品質=作り手を信頼できるか、リスペクトできるかどうか」というのはとてもシンプルで分かりやすいです。