"スローメディア"を体現する海外ウェブメディア3選
ソーシャルメディアの普及によって、普段接する情報量も莫大なものとなってきています。そのため、海外ではゆったりと情報更新をするメディアやじっくり読んでもらう長文コンテンツ(ロングフォーム)を発信するメディアが増えています。
この記事では、前者のスローメディアについて3つのメディアを取り上げてみます。
1. Just The News
スローメディアというと、まず「Just the News」が頭に浮かびます。このメディアはとあるシカゴのデザイナー・Max Temkin氏がはじめたニュースのキュレーションサイトです(実験的な取り組みだったので今は更新されていません)。
更新されていたときは、毎日5本のニュースと1本の長文記事のリンクを紹介してくれるというものでした。サイトを見ると分かりますが、真っ白なTumblrのテーマに、シンプルに記事リンクのみの構成。
広告もなし。ソーシャルボタンもなし。コメントもなし。そんな静かなキュレーションサイトですが、とても好きでした。Just the News的な静かなサイトはいつかやってみたいメディア形式の1つです。
2. Very Short List
「Very Short List」は2006年に立ち上がった無料ニュースレターサイト(キュレーションメディア)です。毎日違ったキュレーターが丁寧にトピックを選んでいます。
特徴は平日それぞれの曜日で発信テーマが決まっていること。主に、月曜のテック、水曜のカルチャー、金曜の食が中心となっています。
ウェブデザインもミニマムで、かつ、カラフルでとても好きです。
2009年には、New York ObserverのオーナーであるJared Kushner氏によって買収されました。この時点で、購読者は20万人以上いたとのこと(現在はわかりません)。
このサイトをつくるにあたって参考にしたとされる同じモデルの「Thrillist(男性向けライフスタイルメディア)」や「DailyCandy(女子向けライフスタイルメディア)」は、現在300万人を超えるほどになっています(もちろん情報発信量が多いこともあり)。
しかしながら、このミニマムさ、スローさで更新を続けるVery Short Listには引き続き注目したいです。
3. MATTER
オンラインジャーナル「MATTER」もスローメディアを体現していると思います。このメディアはクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で14万ドル以上集めて立ち上げ、月に1本、主に科学系のトピックを長文コンテンツで発信していることで注目を集めていました。
しかしながら、当初は課金メディアだったため、マネタイズが難しく、ブログプラットフォームの「Medium」に買収されました。その後、無料化となっています。
買収されたことである程度マネタイズも気にせず、更新頻度高めでコンテンツ発信がされているようです。1年目では12本の特集記事を出し、3つのアワードを受賞したMATTERですが、編集者を増員して、長文ジャーナリズムに挑戦しています。
日本でも、ソニーのオウンドメディア「Sony Select」なんかは静かにキュレーションされているような気がします。今後ファストなメディアに疲れた人が見るようなスローメディアが生まれるようになったらいいなと思います。