「フェイスブックでは1日40億回閲覧」「ネット上のトラフィックの6割が動画」 モバイル動画という大波は来ているのか?
「モバイル動画」という大波は来ているのでしょうか?
たとえば、フェイスブックでは1日40億回閲覧(うち75%がモバイル)、スナップチャットでは1日20億回閲覧という数字があります。
このあたりのプラットフォームがYouTubeを超えたとき、広告主の大移動が起き、本当の意味でモバイル動画の大波がきたということになるのでしょう。YouTubeはモバイル比率は明らかではありませんが、1日70億回の閲覧数、2015年中には80億回となる予測だそう。
フェイスブックが発表した、同サービス上でそのまま記事が読める「Instant Articles」やスナップチャットがメディアと協業した「Discovery」では、縦長サイズでの動画閲覧なので、PC時代の横長サイズの動画を視聴するという習慣に変化が起き、急速にスマホ時代にフィットした動画視聴が当たり前になりそうです。
また、毎年恒例となっているアナリスト、メアリー・ミーカー氏によるレポート「Internet Trends」2015年版でもトレンドのひとつとしてモバイル動画が挙げられています。
トラフィックの内容では、動画の増加が著しい。2014年のインターネット・トラフィックの64パーセント、モバイル・トラフィックの55パーセントを動画が占めていたという。特にFacebookには現在、高度に進化した動画サーヴィスがあり、1日に40億ヴューを獲得しているとミーカーは指摘する。
なお、IT企業のCiscoが同日に出した年次報告書にも、同じようなことが書かれている。「今後5年で、インターネット全体の80パーセントがオンライン動画になる」と予測しているのだ。
(How Technology Is Changing Mediaより)
月間2億人以上が訪問するニュースサイト「バズフィード」でも2014年夏から動画部門を立ち上げるなど、動画への投資が盛んです。「How Technology Is Changing Media」という広告関連資料にて、2013年と2014年の比較をしていますが、閲覧数は8倍、購読者は9倍となっています。閲覧数は2015年に入り、すでに月間10億回を超えているのでさらに伸びていきそうです。
ただ、モバイルでの動画閲覧については先述のフェイスブックやスナップチャットが圧倒的なので、サイト内ではなく、プラットフォーム上へとこれまで以上に溶け込んでいくのでしょう(だから分散型が起きているのですが)。
どうやら動画の総量や視聴トレンドという意味では、モバイル動画の波が来ているようです。では、ビジネスという意味で、モバイル広告についても少しだけ見てみましょう(以下に紹介するものは、モバイル「動画」広告に特化したものではない)。
e-Marketerによれば、広告費についてもモバイルが急伸しているようです。2014年時点の米メディアにおいて、テレビの広告費が占める割合が約4割。一方でモバイルは1割ほどです。しかし、2018年の予測で見ると、前者が4割弱、後者が3割弱となり、その差は10%ほどに縮むようです。
(The Bad News About the News | Brookings Institution)
「The Bad News About the News」というレポートでは、テレビや新聞、ラジオ、ネット、モバイルなどのメディアでの時間消費と広告費の割合をグラフにしているのですが、とても興味深いです。たとえば、真ん中の紙媒体は時間消費が少ないのに、広告費が高い。一方で、モバイルは時間消費が多いにもかかわらず、広告費が少ない。このあたりがちゃんと釣り合ってくると、モバイルに特化したメディアが適切に力を持っていくのだと思います。
個人的な興味からいくつかの海外メディアに尋ねたことがあるのですが、まだまだ動画広告の売り上げが売上全体のうちの多くを占めるまでには至ってないようです。単価は高いものの、視聴トレンドだけではなく、広告を含めた市場という意味ではあと1〜2年ほどはかかるのかもしれません。
だからこそ、海外ではバズフィードやヴァイス、ヴォックスなどの有力な新興メディアが2014年から動画に注力し、市場の成熟を待つための体制を整えているのでしょう(一方の伝統メディアは・・・)。
最後に、国内では2013年から2014年にかけて、スマホからの動画視聴が約1000万人増えています。今年に入ってからもC CHANNELなどが新しい文化とルールを生み出そうとしており、モバイル動画ならではの視聴習慣や広告のあり方にも注目していきたいです。