ニューヨークタイムズがニュース解説サイト「The Upshot」をリリースーーVoxやFiveThirtyEightを追う
ニューヨークタイムズが以前より準備してきた新サイト「The Upshot」が正式リリースしました。データとグラフィック、テクノロジーの力で"ニュースをナビゲート"していくことを目指しています。
2014年の中間選挙を見据え、主に政治や政策、経済に関してデータジャーナリズムとニュース解説/分析をしながら、とらえていくのです。編集にはピューリッツァー賞受賞経験もあり、前NYTワシントン支局長のDavid Leonhardt氏が就任。グラフィックエディターもいるとのことで、これからの発信が楽しみです。
リリースの挨拶記事「Navigate News With The Upshot」では、「The Upshot」をはじめた二つの理由を挙げています。人々がニュースを理解していないこと(しかし理解したいし、説明したい欲求がある)、そしてデジタルデータの広がりがジャーナリストに新しい機会をもたらしていること(データジャーナリズム)です。
また、元々ニューヨークタイムズでデータジャーナリズムや統計を活用した記事を発信し、大量のトラフィックを集めていた天才統計家ネイト・シルバーが抜けたことも、その他の要因としてあげることもできるかと思います。
シルバー氏は独立し、スポーツチャンネルESPNをパートナーに、元々ニューヨークタイムズのコラムだった「FiveThirtyEight」をオリジナルサイトとして、リニューアルしました。
これまで政治や政策に活用することが多かったデータジャーナリズムの手法を、スポーツや科学、暮らしに関するコンテンツにも応用し、ニュースに新しい視点をもたらす取り組みを行っているのです。
また、4月にVox Mediaが新たに立ち上げたニュース解説メディア「Vox.com」も大まかな方向性としては似ています。「Understand the News(ニュースを理解する)」というコピーを掲げ、編集長にはワシントンポストの人気コラムニストだったエズラ・クラインが就任。
このメディアでは40名弱の編成でメディアづくりを行い、様々な発信方法で、ニュース解説のアプローチを開発している。「カード」という、ニュースのキーワードを細かく分け、まとめたページなどはとても実験的な方法だと思います。
今回リリースされたThe Upshotをはじめ、VoxやFiveThirtyEightもデータや分析を武器にニュース解説に取り組んでいます。
大手メディアやメディアスタートアップに限らず、この分野に注力していくのは多いに可能性のあるところだと思います(継続的にリソースを割くのですら難しいですが)。