ウェブメディアの未来を探るーータイム誌が選ぶ「2013年のベストウェブサイト」から4つを紹介
タイム誌が発表した今年の「ベストウェブサイト50」。色んなウェブメディアを日頃読んでいる人は見ておいて損はないリストです。
選ばれた50サイトの中からユニークなウェブサイトを4つ取り上げ、それぞれの特徴見ていき、未来のウェブメディアの形について少しでも考えていけたらと思います。
Upworthy
先日、立ち上げ2年経たずに月間訪問数8900万人を突破したことをお伝えしたアップワーシー。10月は4000万訪問数だったものが、11月にFacebookのアルゴリズム変更の影響などもあり、8900万訪問数に達しました。
たった1本の記事で1700万PV超えるなど、コンテンツのキュレーションとタイトル付けには素晴らしいものがあります。今年に入って、ワシントンポストが打ち出した「Know More」など、アップワーシーの影響を受けたメディアも立ち上がっている状況です。
日本でも、刺さる動画メディア「dropout(ドロップアウト)」などが登場していますし、今後このようなタイプのメディアは増えていくことでしょう。
Quartz
ページ型でなくストリーム型、バナー広告でなくネイティブ広告、記事下部でなくパラグラフごとのコメント、レスポンシブWebデザインの採用、速報はアグリゲーションでカバーし特集記事に注力、そんな特徴を持っているメディアが「Quartz(クオーツ)」です。
『クオーツ』は「オブセッション」という方式を取っている。常時、重要トピックを1ダースほど設定し、集中的に詳しく伝えている。これは雑誌スタイルとも言える。そしてまた、「クオーツ・カーブ」という編集哲学に基づき、記事を送り出している。
アメリカの新聞の平均的な記事の長さは、紙面の上から下までの一段の記事で、語数にして700語台である(日本語に訳すと2千数百字になる)。だが、『クオーツ』は、500語よりも短い記事と、800語よりも長い記事に特化している。
この哲学に行き着いたのは、トラフィックを分析したところ、デジタルでよく読まれるのは短い記事か長い記事のどちらかだという分析結果を得たからでもあり、700語台の記事は無駄が多いと考えるからでもある。
以前、記者に「専門分野」は求められなくなるのか? 「Quartz」が志向する未来のメディア像という記事でメディアの掲げる思想の一つを取り上げましたが、メディア設計やメディア体験について参考になることの多いメディアです。
ChartGirl
「ChartGirl(チャートガール)」は、タイム紙が選ぶ「2013年のベストウェブサイト」に選ばれた中では珍しい個人ブログです。
名前の通りですが、主に時事的なトピックを深く掘り下げ、それにまつわる多くの情報を1枚のチャートにして発信しています。ハフィントンポストをはじめ、大手ウェブメディアにも取り上げられており、その資料価値の高さが伺えます。
日本でも日経新聞による経済ニュースを写真や図を使って解説するサイト「全図解ニュース解説」や社会経済の実情を統計数字など客観的なデータにもとづくグラフで伝える「社会実情データ図録」や個人ではTokyo Graphic Recorderの清水さんなどが価値ある発信を行っているので、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
NowThis News
2014年、日本でも動画ニュースが来るかもしれないとも言われています。東洋経済オンラインも参入したり、YouTubeを活用するメディア運営者も増えていきそうです。
海外に目を向けると、ハフィントンポストを共同創業し、バズフィードの会長を務めるケン・レーラーがつくった動画ニュースサイト「NOWTHIS NEWS(ナウディス・ニュース)」があります。
昨年秋に立ち上がったこのサイトは、大手メディアから優秀な人材をとってきており、30名ほどの編集&技術チームを形成。1日に20〜25本の動画ニュースを配信しています。
スマホ時代、ソーシャル時代のニュースを目指しており、アプリはもちろんのこと、ツイッター、フェイスブック、Vine(ヴァイン)、Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)など多様なメディア展開をしている徹底ぶりです。
最近では、ニュース映像とCGアニメをうまく組み合わせた台湾発の「TomoNews(トモニュース)」なども動画ニュースサイトとして頭角を現しています。トモニュースもコンテンツは切り口や見せかものユニークで中毒性があります。
今回紹介したのは、バイラルメディア、ストリーム型(タイムライン型)、チャート(グラフィック)ブログ、動画ニュースとどれもこれから増えてくるであろうメディアです。ぜひじっくりご覧になってみてください。