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メディアの輪郭

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コピーできないウェブコンテンツづくりに必要な考え方とは? 『WIRED』創刊編集長ケヴィン・ケリーの視点

メディア コンテンツ 編集 書評 ケヴィン・ケリー

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(photo credit: Kevin Kelly — photo by Per Axbom via photopin

雑誌『WIRED(ワイアード)』創刊編集長を務めたケヴィン・ケリー氏によるエッセイ25本を収録した『ケヴィン・ケリー著作選集 1』を読みました。彼はLong Now Foundationの役員を務めていることもあり、長期的な視座をもちながら文章を書いており、インターネット/テクノロジーに関して、さまざまな示唆を得ることができます。

コピーできないものはなにか? その価値とは?

「無料より優れたもの」という章ではじまる本書。コンテンツのコピーもあるネット世界では、コピーできないものが貴重で価値あるものになると唱えます。コピーできないコンテンツ、というのはメディアの議論でよく出てくる言葉。ケリー氏はその例として「信頼」を挙げます。理由は、時間をかけて獲得するものだから。

このようなコピーできない価値を「生成力」と名付け、「種をまき、育てていかなければいけない性質または特性である」と定義しています。具体的には即時性、個人化、解釈、信憑性、アクセスしやすいこと、具体化、後援、見つけやすいこと、という8つのカテゴリーを提示。このように細分化すると、わかりやすいですね。

これらの八つの性質は、新しいスキルを必要とする。無料コピーの世界での成功は、流通に関するスキルからは生まれない。(中略)必要なのは、豊富さが共有という態度を生み出すこと、気前の良さがビジネスモデルとなること、マウスのクリックでは複製できない価値の育成が不可欠であること、などに対する理解である。(26ページ)

無料コピーの世界での成功は、流通に関するスキルからは生まれない」という言葉が非常に印象的。ではどのようなスキルや姿勢が求められるのか、についても考えられているのがさすがです。第5章「コピーの盛衰」でもわかりやすい例が示されています。

あるものが無料になり、普遍的なものになったとたんに、その価値は逆転する。夜間の電灯が珍しい時代に、普通のろうそくで明かりをとるのは貧しい人たちであった。ところが、電気が普及してほとんど無料になると、電球は安っぽく感じられ、ろうそくはディナーの席で豪華さを示すものになった。(57ページ)

「技術からの贈りものは、可能性、機会、思考の多様性である」

本書は、テクノロジーについての考えかたも多く掲載されています。特に「技術からの贈りものは、可能性、機会、思考の多様性である」という言葉。テクノロジーが人間を向上させるのは、機会の提供によって、さまざまな選択の可能性を広げ、新しい思考とその多様性を生み出していくのです。

テクノロジーの定義についてもさまざま紹介されています。アラン・ケイ氏の「テクノロジーとは、あなたが生まれた以降に発明されたものである」、ダニー・ヒリス氏の「テクノロジーとは、まだ動いてないものである」など、独自の視点でテクノロジーへのまなざしをもっていることは、テクノロジーに関する議論をするうえで改めて重要なのではないかと思いました。

 

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