ウクライナ情勢のメディア連携にみる、「オブセッション」戦略の可能性

ウクライナ情勢をめぐって、海外の新興メディアが中心となり、報道の連携をはじめました。その名も、「Ukraine Desk」。
連携するのは、ニュースメディア「Vice News」を筆頭に、テックメディア「Mashable」、アグリゲーションサイト「Digg」、非営利ニュースサイト「Mother Jones」、速報ニュースサイト「Breaking News」そしてビジネスメディア「Quartz」の6つのメディアです。
各メディアがハッシュタグ「#UkraineDesk」を用いて発信し、Ukraine Deskのアカウントにまとめっていきます。速報ニュースはもちろん、多面的なコンテンツが集まってくるため、ウクライナ情勢をいまを知ったり、理解していくことの一助になりそうです。
この中に、Vox.comやFiveThirtyEightなどニュース解説よりのメディアが加わったり、BuzzFeedなどバイラルに強みを持つメディアが参加すると、重要なトピックが多くの人に届き、理解されるのかなと思いました。
具体的な情勢などについては、国内ではThe New Classicが継続的に追っているので、関心のある方はご覧ください。

今回の取り組みにも加わっているQuartzは、ストレートニュースは通信社などからアグリゲーションを行い、メディアとして追いたいトピックを集中的に報じることに注力しています。Quartzではこれを「Obsession(オブセッション)」と読んでいます。
先日、Quartzは「テレビの未来」をテーマにした新サイト「Glass」をリリースしたばかりで、こちらはオブセッションをメディアにしてしまった例もあります。
Quartzは現在、ウクライナ情勢やテレビの未来以外にも、インド選挙やエネルギー危機、モバイルウェブなど、様々なトピックを継続的に報じているのです。
Quartzのような単体のメディアがオブセッションを行っていくことはもちろん、今回のようなウェブメディアでしかできない連携の形で、特定のトピックを報道していく取り組みは有意義だと思います。
テキサス・トリビューンが論説サイト「TribTalk」をリリース

「Web編集者やジャーナリストが参考にしたい5つのスライド」という記事で紹介したスライドにも出てくるNPOメディア「テキサス・トリビューン」。
テキサスを拠点としつつも、38人のスタッフで、55万人UU、年間120万ドルの売り上げを記録しています(インタラクティブなデータを集めたページが多くのトラフィックを得ているようです)。
そんなテキサス・トリビューンが論説サイト「TribTalk(トリブトーク)」をリリースしました。
テキサスの政治や政策を中心に、外部の寄稿者の記事を集めています。書き手のページを見ると現在時点では16名おり、政治家や弁護士、起業家、コンサルタントなど様々です。
記事ページもQuartz(クオーツ)のようにスクロールでURLが変わるデザインなので、タップやクリックがほとんどいらないサイトなので、スマホのトラフィックに比重を置いたのでしょう。

マネタイズはスポンサードコンテンツで行っており、上記の写真右が、スポンサードコンテンツで、一目で分かるようになっています。
媒体資料によれば、スポンサードコンテンツは1本2500ドルとのこと。非営利メディアにも関わらず、社説ではなく、論説サイトを立ち上げ、なおかつスポンサードコンテンツで稼ぐ戦略をとる、テキサス・トリビューン。
注目ではありながら、なかなか真似はできないメディア戦略だと思いました。