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メディアの輪郭

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答えのない問いに向き合い、本質を考え続けるということーーコルク代表・佐渡島庸平氏の「5つの発想の種」

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「TOKYO DESIGNERS WEEK.tv -茂木健一郎の発想の種 IMAGINE-」にて、作家エージェンシー「コルク」代表で編集者の佐渡島庸平さんが取り上げられていました。これまで、バガボンドドラゴン桜働きマン宇宙兄弟などヒット作を手がけ、5000万部以上を売り上げています。

この番組の中で、発想の種として5つのことが語られていたので紹介します。それぞれ、「答えのない問い」「全部一緒」「超一流」「その人だけの好き」「まっさらな場所」というものでした。

大きな問いからドラゴン桜も生まれた

「作家の生み出したものを広めるゲームをしているだけ」と自身の仕事について語る佐渡島さん。まず、「答えのない問い」については、小学生高学年のときに遠藤周作の『沈黙』にハマったことで、何で人は生きるのか、といった大きな答えのないような問いを考えるようになったとのこと。

このような哲学的な問いは、マンガともつながっており、ドラゴン桜では、「教育って何だろう、いい教育とは」といった問いが根本にあったそう。

感情を揺さぶるものは、時代を超えている

次の「全部一緒」というのは、南アフリカにいた時代にメイドが黒人の方で、密入国していて、子どもたちのために収入を仕送りしていたという状況があり、親と子の関係やそれに付随する感情が世界で一緒だと感じたことに由来します。

そのことは、多くの人に読まれる作品を生み出していることにもつながるのだとか。佐渡島氏はヒットの要素として、「設定でヒットするもの」と「感情を揺さぶるもの」の2つに分類。

特に、作家とものづくりするときに、自分の感情が揺さぶられているかを気にするとのことでした。「感情を揺さぶるものは、時代を超えている」という表現も出ていました。

編集者の仕事は「情報の順番工学」

「超一流」については、講談社時代に最初に出会ったのが、井上雄彦さんと安野モヨコさんなどの一流の方々と出会ったことが大きかったと言います。作家と関わる中での自身の役割や存在意義を「最初の理解者、共感者」「ハードルという役目」と表現。つまり、それぞれの作家の状況に合わせてハードルを設定することです。

佐渡島さんは、過去のインタビューなどでも、編集はどういう仕事かという問いに「情報の順番工学」と答えています。どういう順番で情報を出すのかが、編集者として重要だということです。しかしながら、入社したばかりのころは編集という言葉が曖昧で、編集者という職業の本質を考え続けたそうです。

4番目の発想の種は、「その人だけの好き」。これをどれくらいだけ持っているのかという例で、宇宙兄弟などを描いている小山宙哉さんが挙げられました。初期にはフリーハンドで線を引いていたため、定規で真っすぐの線を引いてほしいと佐渡島さんが言ったそう。

すると、小山さんは、定規にギザギザを細かく付けて線を引いていたそうで、自分の好きやこだわりの重要性を感じました。また、「一流の作家は、好きなものを正確に把握している」という言葉も印象的でした。

ユーザーとクリエイターにとっていいポイントを探る

最後は「まっさらな場所」という言葉。出版業界の転換期に、だれも経験したことのない(まっさらな場所での)案件をやることが多いというコルク。アメリカの音楽ビジネスの流れを例にとり、ユーザーにとってはいいけど、クリエイターにとってはよくない状況ができていると言います。

そこで、「両方にとっていいポイントを探していくことが必要」と佐渡島さんは語ります。プラットフォームが圧勝の時代が続いたり、フリーミアムモデルなども多く採用されるなら、コンテンツに関わる方々にとってどこが適切なポイントなのかは、考えつづけるべき大きな問いだなあと感じます。

佐渡島さんの手がける作品もヒットするまでに3〜5年はかかっているそうで、最後の「世の中を変えるものは、すぐに受け入れられるものではない」という言葉も頭に強く残りました。

これからの編集やメディアを考える際に意識したいキーワードがたくさんありました。動画もご覧になっていただくと、さまざまな発見があるかと思います。