朝日新聞グローブの特集「メディアが、溶けていく」をいま改めて読む
Media Meltdown. メディアが、溶けていく: インターネットは革命をもたらした。世界はフラットになった。メディア<媒体>という言葉も、いまではその定義すら難しい。
2008年の朝日新聞グローブの特集「メディアが、溶けていく」を読んでみました。リアルタイムでは読んでいないので、当時のメディア環境を知るために、また、どれだけ進歩したのかも把握することができる記事が集まっています。
記事が多くあるので、印象的な記事やフレーズを紹介します。
「紙は『WHY?』には答えられるが、『WHAT?』を伝えるにはタイムリーじゃなかった」
「気がつけば「紙」はなくなっていた」というチャプターから、紙からウェブに移行したクリスチャン・サイエンス・モニター紙の発行責任者の言葉です。
最近ではVox.comやFiveThirtyEight、The Upshotなどニュース解説、つまり「WHY」に答えるようなメディアがウェブ上でも存在し、そのニーズをつかんでいるように思います。
速報も解説もウェブで完結するようになった時、海外における新聞の役割はなんなのか、いま一度問いたいです。
個人の<頭の中の地図>にあわせて情報を流すメディア
2004年11月にロビン・スローンとマット・トンプソンが公開したFlashムービー「EPIC2014」。その作者のひとりであるロビン・スローンが語ったのが上記の言葉。
架空の企業「グーグルゾン(グーグル+アマゾン)」が個人向け情報収集送信システムを進化させた「EPIC」を発表するという内容も含まれており、現在のパーソナライゼーションの文脈ともいうことができます。
今年は2014年。答え合わせの意味も込めて「EPIC2014」を一度見てみてはいかがでしょうか。
本好きな人たちがカップルになれるチャンスを提供するのも今日の出版社の役割のひとつ
イギリスのペンギンブックスがかつて立ち上げた恋愛・結婚相手とのマッチングサービス「ペンギン・デーティング」。メディアとして情報を届けるだけなのか、どの程度読者のアクションにつなげるのかなど、メディアの役割などを考えることは重要です。
このペンギンブックスの例はユニークですが、どのようなことを提供していくのか、考えるきっかけになりました。詳細はこちらの記事。
読者が行くところに行かなくてはなりません
年配の読者の中には寂しいと思う人もいるでしょう。でも我々は、新しい読者を求めないといけない。人々はたくさんの新しいやり方でニュースを得るようになっています。私たちは、読者が行くところに行かなくてはなりません。次の100年も続いていくためです。もちろん、簡単な決断ではありませんでしたよ。
最初に紹介したクリスチャン・サイエンス・モニター紙の発行責任者が別の記事で発した言葉です。先日の朝日新聞社×MITメディアラボのイベントでもザ・ハフィントン・ポスト プロダクト部門統括責任者のニコ・ピットニー氏が「読者のいるところに情報を届けること」というようなことを言っていました。このあたりの意識も徹底したいなあと改めて思いました。