価値あるコミュニケーションなしに、価値あるコンテンツが生まれない時代

文化系トークラジオ Lifeの「里山ウェブ」に関する回が面白かったので、少し書いてみます。里山ウェブとは、以下のようなことを指しています。
小難しい思想が好きな人向けに言えば、資本主義の原理の中で自らの作品がよそよそしいものに感じられてしまう労働疎外の状態にあるクリエイターたちが、創り手と受け手のよりよい関係を目指して築き上げようとしているウェブ共産制が「里山ウェブ」って感じでしょうか。
「良さを分かってくれる人に、割高で提供して食っていく。ネット上の手段を使ってかき集めていくことで有名になった人がコアなファンを囲い込むのではなく、自分の出している物の価値の関係を築いていき、価値を聞いてもらったり知ってもらうことが重要」と、放送でも話されています。サロンやコミュニティ、小額課金などにもつながる話ですね。
近年、ウェブ上のコンテンツはコモディティ化し、すぐ飽きられるという大きな問題があります。さらに、ウェブでは継続的にコンテンツを追ってもらうことも難しいです。
たとえば、UU100万、PV2000万、登録ユーザー10万人を超えるnote(ノート)では、フォロー機能をつけ、コンテンツを継続的(自動的)に見つけることができるようにしています。加えて、マガジン機能でコンテンツを束ねて、パッケージとしてみせることもできます。
また、面白かった話としては、「コンテンツよりコミュニケーションが重要」ということ。コンテンツはコピーできるけれども、コミュニケーションはコピーできないことがその理由です。ただのコンテンツ課金がうまくいかず、コミュニケーションのためにコンテンツ、さらには体験への課金が増えていくのでしょうか。
また、いくらコミュニケーションが重要だからといって、総量が増えれば、コンテンツ同様、コモディティ化する未来が来ます。「価値のあるコミュニケーションをしないと、価値のあるコンテンツが生まれない」という言葉が刺さりました。逆説的ですが、コンテンツの質を上げるのは、その先のコミュニケーションだという仮説ですが。
いまのウェブ(メディア)環境を考える上で、はずせない回、聞いて良かった回です。どこか頭のなかでつっかえていたことについて、いくつかヒントを得ることができました。
ワシントンポスト、ストーリーを重視した新メディア「Storyline」を公開

ワシントンポストが、新メディア「Storyline(ストーリーライン)」を公開しました。人や政策、データに関する記事を発信しているのですが、ストーリーを重視している点が特徴です。
記事や動画、グラフィック/チャートなどを活用して政策を伝えていきます。エディターを務めるのは、Jim Tankersley氏。本紙のほうでは経済ライターをしています。
仮説に基づいた政策に関する議論から脱却することも、ストーリーラインの大きな目的です。ミッションは「all about people and policy.(人と政策に関するすべて)」。人の個性や物語、そして政策に関するファクトやデータを交えた記事をつくることで、新しい政策メディアを目指します。
また、メディアに関する簡単なガイドも公開されているのも興味深い点。人々の暮らしに関わることを、疑問/質問を基点とした記事作りを掲げています。
長文メディアのNarrativelyのように、ビジュアルやライティングにも力が入っていますし、それほど更新頻度も多くなさそうなので、じっくり政策や人にせまる記事を読めるのかもしれません。
ワシントンポストは早い時期からバイラルメディア「KnowMore」を立ち上げるなど、新しいトレンドに応じたメディアをつくっている印象があります。今回のストーリーラインも注目したいです。紹介動画もぜひご覧ください。