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月間読者500万人超えたデジタルメディア「Quartz(クオーツ)」が2014年に見据えること

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以前に、記者に「専門分野」は求められなくなるのか? 「Quartz」が志向する未来のメディア像ウェブメディアの未来を探るーータイム紙が選ぶ「2013年のベストウェブサイト」から4つを紹介という記事でも触れた先進的なデジタルメディア「Quartz(クオーツ)」。

18ヵ月で500万人の読者を抱えるビジネスメディア

このメディアは、アトランティックメディアが2012年にモバイル/タブレットファーストを掲げたビジネスメディアとしてスタートしたものですが、立ち上げから18ヵ月経ち、1月の月間読者が500万人を抱えるまでになりました(12月にはメルマガの読者が5万人を突破)。

しかしながら、6割の読者がパソコンから読んでいるので、思ったよりモバイル/タブレットファーストの実現には至っていないよう。それでもレスポンシブデザインはきれいですし、タイムライン型のメディアとして、無限スクロールやスクロールで次の記事を読むと勝手にURLが変わる仕組みなども秀逸です。

そんなクオーツのトラフィックの半数がソーシャル経由とのこと。 パソコンからのトラフィックは9〜17時の日中のワークタイムが多いよう。

短長の記事を織り交ぜて特定のトピックを追う

特徴は、500ワード以下、もしくは800ワード以上という、短い記事とより長い記事をうまく混ぜて特定のトピックを追っていること。記事はすべて無料で読むことができ、スクロールすると時々ネイティブ広告が入り込んでおり、そこでマネタイズを図っています。

『クオーツ』は「オブセッション」という方式を取っている。常時、重要トピックを1ダースほど設定し、集中的に詳しく伝えている。これは雑誌スタイルとも言える。そしてまた、「クオーツ・カーブ」という編集哲学に基づき、記事を送り出している。

アメリカの新聞の平均的な記事の長さは、紙面の上から下までの一段の記事で、語数にして700語台である(日本語に訳すと2千数百字になる)。だが、『クオーツ』は、500語よりも短い記事と、800語よりも長い記事に特化している。

この哲学に行き着いたのは、トラフィックを分析したところ、デジタルでよく読まれるのは短い記事か長い記事のどちらかだという分析結果を得たからでもあり、700語台の記事は無駄が多いと考えるからでもある。

アメリカで躍進中のビジネスニュースサイト『クオーツ(QUARTZ)』 その編集方針と経営戦略を聞いた 

広告売り上げの額は分かりませんが、2013年の第1四半期から400%成長を遂げているとのこと。

2014年はデータビジュアライゼーションと米以外の読者獲得

2014年はデータビジュアライゼーションにも力を入れていくようです(現状でも多くの記事にインフォグラフィックやチャートを見かけます)。

同時に、アメリカ以外の読者獲得も目指すのだとか。1月は40%以上がアメリカ以外で、そのうち15%がイギリスからだったとのこと。現在は30名以上の記者を抱えているのですが、昨年9月にイギリスのジャーナリストも雇用し、同国での読者開拓も行っています。

現状は、まだまだパソコンからの流入が多いようですが、今後スマホタブレットユーザーが増えるにつれて、クオーツの戦略は成熟していくことでしょう。先進的なデジタルメディアとして、その戦略を追うことで参考になることは多いと思います。

 

【参考】