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「記事をじっくり読めば、価値が伝わるはず」という考え方はダメ? 伝わる文章を書くために必要なこと

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プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』という本を読みました。「ライフハッカー日本版」で書評を書かれている印南敦史氏による著書です。

著者は書評を書くにあたり、プレスリリースを見ないで、読者がどう感じるか、伝えたいことが伝わるかどうかを考えながら書いているそうです。

実際に本の内容を見てから判断したいから。ページを開いて目次を眺め、読みはじめ・・・というプロセスが大好きで、そのたびにワクワクするので、自分で確認する前にプレスリリースで情報を得たくないのです。そして、自分で感じたことを書評に落とし込みたいのです。(中略)自分が感じたことを書かないかぎり、それは書評とはいえないはずです。

本の最初には、ウェブメディアで書評を書いている著者ということもあり、読者を意識して書かないと届くものも届かない、ということが強調されていました。

「読んでもらう」という目的が多少なりとも存在するのであれば、どの文章には必ず読み手が存在することになります。だとしたら必要なのは、まず「誰が読むのか」「誰に読んでほしいのか」をはっきりと意識すること。つまりは、ターゲットを見極めることです。

著者の場合は、性別、年齢、立場、という3点をもとにターゲットを考えているとのこと。ターゲットがはっきりすることで、文章に強さや説得力が加わるといいます。また、「なんのために」「なにを」「どのように」「誰に」伝えたいのかを考える重要性にも触れています。

加えて、時間のない読者には記事を読んでもらうためにフックのあるタイトル付けなどを書いており、よくないことも挙げています。

いちばんよくないのは「記事をじっくりと読んでもらえれば、その価値はきっと伝わるはず」という身勝手な考え方です。

読者の効率的な情報収集に貢献するための工夫もあるそうです。一般的な書評では引用が少なく、本の印象や著者の意見なども交えられているのに比べ、具体的な情報を得てもらうべく引用を多くし自己主張をしないようにしているとのこと。

印象的だったのは、伝えるための文章表現についての箇所。「冷静さ」「客観性」「わかりやすさ」の3つを挙げ、「本当にいい文章とは、平易なことばを使った、読みやすく、理解しやすいもの」と書かれています。

引用と地の文のバランスといった書評に関するもの以外にも、斜め読みなど本の読み方やライティングの基礎などについても触れている著書です。メディアにかかわらず、仕事でもなにかしら書いたり、まとめたりすることがある人でもためになりそうだと思いました。