アムネスティ・インターナショナル、動画のファクトチェックサイトを公開
アムネスティ・インターナショナルが動画のファクトチェックサイト「Citizen Evidence Lab」を公開しました。人権侵害にかかわる証拠や事実を集め、真偽を確かめることが目的です。
創設者兼編集者を務めるのは、Amnesty International USAに所属するChristoph Koettlさん。主に、人権問題の研究者たちが、確かなファクトを得るサイトとして活用される一方で、一般ユーザーがファクトチェックをできるようにさまざまなツールや手順が共有されています。
たとえば、「The YouTube Data Viewer」を使うと、YouTube動画のURLをいれるだけで、アップされた時間や動画のサムネイルを抽出することができます。ねつ造する場合は、同一時間で多くのコピーが行われていることが多く、簡単なものでは時間やサムネイルなどで判断していくこともできるようです。
このようなツール以外にも、ハウツーやケーススタディ、練習用の問題まで用意されています。人権と大きな問題のすそのに広がる細かいファクトのチェック。このような意欲的な取り組みは素晴らしいですし、公開後、どのような成果を生むのかにも注目したいです。
NGOとジャーナリズムの交差点のような取り組みで、特に世界規模の問題をかかえる国際NGOではファクトチェックなどは欠かせません。しかしながら、実際に今回のアムネスティのような体制をもつことができるところは少数でしょう。
ファクトチェックに関連して、海外においては、さまざまなサイトが登場しています。有名なのは、選挙時に活用されるものですね。
CNNのアンカー、マイルズ・オブライエン氏は、30年以上も前のベトナム戦争に関するジョン・ケリー米大統領候補の議会証言を攻撃する「反ケリー広告」の背後にある事実関係を知りたいと考え、従来とは異なる情報源にあたることにした――ウェブサイトの『ファクトチェック』だ。
オブライエン氏は自身のニュース番組に、ファクトチェックの責任者を務めるブルックス・ジャクソン氏を招いた。オブライエン氏は先月には、ジャクソン氏のウェブサイトが根拠のない中傷をふるい落とす「真実の測定器」として機能していると報じた。
海外情勢についてもファクトチェックサイトが立ち上がる事例も出てきています。
キエフ・モヒーラ・アカデミー国立大学ジャーナリズムスクールでディレクターを務めるYevhen Fedchenko(イェウヘン・フェドチェンコ)さんを中心に、ジャーナリストや学生たちが今年3月に立ち上げたのが「StopFake.Org」。英語とロシア語で発信する、国内外のウクライナ報道に対するファクトチェックを行うメディアです。(中略)
StopFake.Orgでは、これまでにフォトショップによって加工された写真やNYTの編集主幹が交代したのはウクライナに関する報道が原因だという誤ったニュースを指摘。主なターゲットはウクライナ東部に住むロシア語を話す住民だそうですが、ロシアからのアクセスも多いといいます。そして3月にローンチしたサイトは3ヶ月経った今、月間のユニークビジター数が約150万になるとのこと。
また、シリアの化学兵器問題に関する動画をファクトチェックする個人もいます。専門家や記者よりも多くの時間をかけて多くの動画を観ていくと、オープンジャーナリズムの新しい地平が現れてくるのかもしれません。
エリオット・ヒギンズというその筆者は、国際政治、シリア、軍事のいずれの専門家でもなく、ジャーナリストでもない。「ブラウン・モーゼス」という名前でブログを運営する34歳の英国のブロガーで、無職のゲーマーだ。
爆発的に情報が増え、リテラシーが問われていると言いつつも、真偽を見分けることはなかなか難しいです。その意味で、ファクトチェックの需要は増えていくことでしょう。以下は、今回のサイトの紹介動画です。ぜひご覧ください。