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米ニュースサイト「バズフィード」が将来有望なライターのためのフェローシップ開始

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月間訪問数が2億人を超えるアメリカの大手ニュースサイト「バズフィード」が将来有望なライターを育成するためのフェローシップ開始するようです。サイト上で発表しています。「BuzzFeed Emerging Writers Fellowship」と名付けられたフェローシップは、次世代を担うライターの発掘や育成のために設けられました。

4ヵ月のプログラムでは、ライティングや編集スキルについてはもちろん、キャリアに関するメンタリング、金銭的なサポートまであるようです。エッセイライティングやカルチャーに関するルポなどを集中的に学び、ライティングワークショップやメディア業界で働く編集者やライターとのディスカッション、フリーランスとしての食い方なども用意。

選出されたライターはBuzzFeed Newsのシニアエディターとともにニューヨークで働くことになるそうです。金銭面については1万2000ドルを給付予定。フェローシップから生まれた記事はバズフィードでも掲載される予定とのことです。スキルや姿勢を学び、実際にバズフィードという巨大メディアで記事も掲載される、駆け出しのライターなどにとっていい条件な気がします。

フェローシップの合格者は10月に決定し、それから4ヵ月の2016年の1月までフルタイムで働く予定。志願者はアメリカでの労働認可を受けている人でなければないといけないそうです。

今回の募集記事を投稿しているのは、バズフィードでLGBTを立ち上げ、現在はLiterary Editorを務める方。2013年秋には「ブックエディター」という役職も設置していたバズフィードが文学・文芸にもぐっと力を入れていくようです。Electric Literatureのインタビューによれば、2016年3月には文芸カテゴリーを設けるとのこと。

今回のフェローシップは考えていることのはじまりにすぎず、文学・文芸のムーブメントを同メディアにもってきたい、という発言もあるため、楽しみな動きになりそうです。21世紀の文芸誌のあり方を見つけることを目標に据えながら、まずは短いフィクションや詩、エッセイなどを届けていくことを目指します。フィクションもノンフィクションも読み物がバズフィードで息を吹き返すとしたら、出版業界にも大きなインパクトを与えるのではないでしょうか。

ところでバズフィードは昨年10月、ジャーナリズムの名門であるコロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールが共同で調査報道のフェローシップを開始しています。こちらはメディア機関にマイノリティの人材が少ないことを問題意識として置いていたようですが、今回のフェローシップと合わせてメディア業界の課題にチャレンジしていることは評価できるのではないでしょうか。

またハフィントンポストも同様に、「米ハフポストがクラウドファンディング実施ーー『ファーガソンの暴動』の継続的報道に向け」という投稿で紹介した通り、クラウドファンディングを通じたライター育成をおこなったことがありました。

Webメディアは紙媒体と違い、基礎を学ぶ機会があまりなかったり、原稿料が安かったり、じっくり時間をかけた原稿がなかなか出せないこともあります。新聞や出版社などが力を落としている海外において、「ライター育成」というのは大きな課題のひとつでしょう。また、あまり収益にはつながらないけれどエンターテイメントとしてはニーズがありそうな文芸コンテンツの拡充を新興メディアが進めていくというのも重要なポイントだと思いました。

ぼく自身がWebメディアしかやったことがなく、編集やライティングをじっくり学んだことがないため、国内外のWebメディアがどのように実力のあるライターを育てていくのかはとても気になるところです。