ピューリッツァー賞受賞レポーターがバイラルメディアの世界へーーBuzzFeed、非営利メディア「プロパブリカ」記者を調査部門に迎える
先日、アメリカ発のバイラルメディア「BuzzFeed(バズフィード)」が「ブックエディター」という役職を設置したことについてお伝えしました。
まとめ色の強い、ソーシャルメディア上で広がりを見せるコンテンツをひたすら発信しているウェブメディアの新しい一面として注目の動きでしたが、今回はまた別の動きについてお伝えします。
調査部門にピューリッツァー受賞記者を迎える
バズフィードが調査報道に注力し始めたのは、2011年末のことでした。ポリティコの政治ブロガーBen Smith氏を迎え入れ、長い論考記事なども掲載するようになったのです。
それに加えて、2013年10月末、調査報道で知られる非営利メディア「プロパブリカ」においてピューリッツァー賞受賞した記者を調査部門に迎え入れました。
このたび、5〜6名の調査部門を率いることになったのは、Mark Schoofs氏。プロパブリカからバズフィードに転職しました。
彼が元々、プロパブリカに加わることになったのは2011年。それ以前は、ウォールストリートジャーナル紙の報道レポーターで活躍し、それよりももっと前、「The Village Voice」在籍時の2000年にはアフリカにおけるエイズに関する報道で、ピューリッツァー賞を受賞しているのです。
移籍した理由については、バズフィードがアメリカの伝統的なジャーナリズムとデジタルの融合を図りたいと考えていること、そして調査部門をイチから立ち上げることにチャレンジしたいという2つを挙げています。
バイラル性と調査報道の交差点
ソーシャルウェブ時代の筆頭メディアにおける調査報道がどのようになるのか、非常に興味深いところです。130名以上のジャーナリストを抱える同メディアが、バイラル性という強みとそれによって収益を上げ、堅めの調査報道的な部分にどれだけお金をかけていくのか、記事の発信を楽しみにしていきましょう。
特に政治的な分野では、ハフィントンポストやポリティコ、さらにはイーベイ創業者のピエール・オミディアさんが立ち上げるニュースベンチャーなども競合にあたりそうです。
調査報道こそシェアされるべきコンテンツ
バズフィード編集長のSmith氏は、調査部門の設置についてこれまでのコンテンツ同様に人々が知らないことを伝えるので"シェア"されるからだと言います。
検索でなく、口コミで月間8000万人以上の読者を集めているバズフィードが、調査報道にも乗り出していく強い姿勢を見せていることは非常に注目です。
アグリゲーションサイトのハフィントンポストも2012年には、ブログとしては初となるピューリッツァー賞を受賞しています。
優れた報道に贈られるピューリッツァー賞を、ブログメディアが初めて受賞した。
受賞したのは米AOL傘下のメディアブログサイトのHuffington Postで退役軍人に関するブログを掲載している元戦争特派員のデビッド・ウッド氏(66)。国内報道部門での受賞だ。イラクとアフガニスタンの戦場で負傷した米国軍兵士のその後を追った連載「Beyond The Battlefield」が評価された。(IT media ニュース)
ページビューを稼いだ後、調査報道に注力するスタイル
ハフィントンポストのエンタメ系コンテンツでページビューを稼ぎ、広告売り上げを立てて、そのお金を調査報道につぎ込むスタイルは、バズフィードでも可能だと思います。
スポンサードコンテンツやメディアパートナーとのコラボレーションなどもあり、2013年は6000万ドルほどの売り上げが見込まれているそうで、かなりの額をつぎ込むことが可能ではないかと思われますね。
ハフィントンポストやバズフィードなどに見られる、一定のPVを稼いだ後に社会派コンテンツの発信に力を入れる流れは、日本でも参考になりそうです。
【参考記事】
- BuzzFeed Hires Pulitzer Winner to Head Investigative Unit
- Rieder: Quirky BuzzFeed has its serious side
- MARK SCHOOFS LEAVES PROPUBLICA TO HEAD BUZZFEED’S INVESTIGATIVE UNIT
- The BuzzFeed Numbers Jonah Peretti Won’t Talk About
http://allthingsd.com/20130905/the-buzzfeed-numbers-jonah-peretti-wont-talk-about/
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