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メディアの輪郭

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日本ではなぜWeb専業のジャーナリズムメディアが生まれないのか?

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最近、「日本ではなぜWeb専業のジャーナリズムメディアが生まれないのか」と聞かれる機会がありました。難問というか、答えられたらこんなブログはやっていないわけですが、いろいろ考えてしまいました。

ただよくよく考えてみると、海外でもピューリッツァー賞を獲得したことがあるのは、ハフィントンポストやプロパブリカ、InsideClimate News、The Center for Public Integrityあたり。それ以外の有力なオンラインジャーナリズムメディアというと、ポリティコやテキサストリビューン、ファーストルックメディアなどはありますが、意外と少ない印象です。

Webかジャーナリズム、どちらかしか知らないバランスの悪さ

こういうアメリカのメディア状況と見ると、テクノロジー企業とメディア企業の近さと、紙とWebメディア間での人材移動、ジャーナリズムや調査報道への理解などはポイントになるのかなと思います。また、テクノロジーやメディア企業とジャーナリズム業界がお互いに理解して、協働することも重要になりそうです。

ウェブメディアやソーシャルメディア時代の情報発信をわかっていてもジャーナリズム(の意義や価値)を知らない、逆にジャーナリズムをわかっていてもウェブを知らないという状況のバランスの悪さは日本にはあると思います。

たとえば、ハフィントンポストはアリアナ・ハフィントンという政治や経済界に強いパイプをもつアイコンと、バイラルの専門家であるジョナ・ペレッティ、SEOやシステムに力を入れたポール・ベリー、現在は投資家やバズフィード会長としても影響力をもつケネス・レラーなど、新旧の人材がうまく混ざっています。もちろん、ハフィントンポストが存在感を表すことができたのには、保守系のアグリゲーションサイト「ドラッジレポート」の逆が空いていたという市場の関係もあるでしょう。

ジョナ・ペレッティとケネス・レラーが率いるバズフィードでも、編集長はポリティコ出身のベン・スミスがいる一方、パブリッシャーにはグロースを担当してきたDao Nguyenがいるなど、新旧の強みが合わさったチームとなっています。

生活動線に沿ったところで、ジャーナリズムは存在すべき

では、日本ではどうか。やはり紙メディアがまだ強いことや、Webメディアでジャーナリズムをやるとしたら、儲かるモデルがないことは冒頭の問いに対して大きなハードルになっているかもしれません。海外ではハフィントンポストもバズフィードも清濁を併せ呑み、ライトな記事でお金を稼いでから、速報ニュースや調査報道に投資してきました。

日本だとライトな記事で収益化に成功している媒体は多くあると思いますが、そこでは別にジャーナリズムをやろうと思っていなかったり、そういうライトな印象がある媒体にジャーナリストが参加しない(しづらい)ような感じもあります。

ただ、堅いニュースでもWebメディアやSNS上で消費されるようになっています。今春のピューリサーチによる調査ではミレ二アル世代の6割がフェイスブック経由で政治ニュースを得ているという結果も出ています。新聞や雑誌などの紙よりも、WebメディアやSNSのほうが生活動線に沿っているいま、Web専業のジャーナリズムメディアが生まれる必要はやはり感じるところです。

垂直統合型か分野特化型のメディア

とはいえ、実際どうすればいいのか考えてみても、採算度外視でオンラインジャーナリズムをやるのは限界があります(やるならプロパブリカのような財団をバックに抱えるようなかたち?)。

ちゃんとジャーナリズムと収益ともに成立するメディアを目指すのであれば、バズフィードがメディアではなく「プロセス全体」を取ろうとしているように、垂直統合型(開発、制作、販売、流通)のメディアビジネスを展開するか、気候変動だけに振り切ったInsideClimate Newsのように分野特化を攻めるかのどちらかになる気がしています。答えは出ないですが、引き続き、考えていきたいトピックです。

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最近、これからのメディアのあり方を考えるために、「ぼくらのメディアはどこにある?」というメディアの編集をはじめました。メディア業界の外にあり、生活に溶け込むメディアをどんどん取り上げていきます。