読者に適切なコンテンツを提供する「アダプティブ・ジャーナリズム」とは何か?
「アダプティブ・ジャーナリズム」とは何か?
デジタルメディアの動向を伝えるメディア「Digiday」やストーリーテリングプラットフォームの「Contently」にて続けて目にした言葉(コンセプト)ですので、ざっくり紹介したいと思います。
読者に適切なコンテンツを提供するということ
ボストングローブ紙のプロダクトマネージャーであるDamon Kiesow氏は、「ユーザーにフォーカスしたジャーナリズムのあり方」という風に捉えています。
ワシントンポスト紙でデジタルニュース編集者を務めるCory Haik氏は、「その瞬間瞬間に情報に接するユーザーに向けたストリーテリングを提供する際の究極形」が「アダプティブ・ジャーナリズム」ということを言っています。
また、ワシントンポスト紙Chief Revenue OfficerのKevin Gentzel氏は、新聞社は「アダプティブ・ジャーナリズム」を実行しないと、永遠に読者を失うとまで言っています。そして、読者が読んでいるプラットフォーム/デバイス/環境/時間を考慮することについても述べており、特にデバイスファーストの重要性を説いています。
特に新聞では、紙面と同じようにウェブで見れるようにしても、それが読者の求めているものとは限りませんし、必ずしも読みやすいものとは限りません。
となると、ある種のコンテンツのパーソナライゼーションやモバイル最適化によって、どのデバイスで読んでいるのか、どういう環境下で読んでいるのか、いつ読んでいるのかなど様々なことを念頭に置きながらデータも取りつつ、ユーザーに合わせたコンテンツの最適提供を考えていく必要があります。
まだまだ知られていない「アダプティブ・ジャーナリズム」という言葉ですが、これから見かけることが増えると思いますので注目していきたいです。
EdTech分野における「アダプティブラーニング」
しかしながら、「アダプティブ」という潮流はジャーナリズムだけに起こっているものでもありません。
例えば、EdTech分野。「アダプティブラーニング(適応学習)」のプラットフォーム「Knewton」などの登場によって、その重要性が語られるようになってきています。
アダプティブラーニング(適応学習)とは、教材を各生徒それぞれのニーズ、特徴、理解度に合わせてカスタマイズする教育/学習方法だ。個人指導をテクノロジーの活用(主にビッグデータ)によって高度化した教育方法だ。教材も難易度もフォーマットも、すべてを個人の特徴に合わせて調製し、その生徒個人にとっていちばんよく分かる学習の仕方を提供する。
つまり、「ビッグデータ」やテクノロジーなどを活用し、ターゲットに最適なコンテンツを提供するということです。
その有用性の一方で、「アダプティヴ」については考えるべき難しい問題もあり、WIRED.jpの記事では、さまざまな「アダプティヴ」の存在についても少し触れられています。
このような教育界での動きもある中、メディア業界でも「アダプティブ・ジャーナリズム」というコンセプトは浸透していくものと思います。
Gunosy(グノシー)なども遠からず一つの例となりそうですが、メディア企業がどのように読者に合った最適なコンテンツ提供を実践していくのか、とても興味深いところです。
【参考記事】
- Thinking Device First: Time for Adaptive Journalism | Digiday
http://digiday.com/publishers/adaptive-journalism-in-a-device-first-world%E2%80%A8/
- Adaptive Journalism
http://coryhaik.tumblr.com/post/49802508964/adaptive-journalism
- Adaptive Journalism: A Publishing Trend That’s Not Going Anywhere
- 一人ひとりにあった学習を実現! 教育業界の新潮流「アダプティヴラーニング」|WIRED.jp
http://wired.jp/2013/04/27/adaptive-learning/
- アダプティブラーニング(適応学習)のプラットフォーム「Knewton」とは